事業活動を通じてSDGsに代表されるような社会課題の解決にも貢献すべく、減塩の取り組みを強化しているキッコーマン食品株式会社様。自社だけで生活者の意識や態度変容を促すのは限界があるとして、産官学連携により減塩の啓蒙活動も行っています。今回は、その中でも自治体と共創し、神奈川県の公立小学校で実施した「減塩教室」授業の事例をご紹介します。
- 関連動画
-
こちらの事例をご紹介する、約16分の動画がございます。キッコーマン食品株式会社のご担当者様にご登場いただき、事例についてお話いただきました。併せてご覧ください。
JTB for Business第1弾「キッコーマン食品株式会社様の減塩授業」
一般企業様とJTBの、旅行以外の「共創事例」を紹介するJTB for Business 。第1弾は、キッコーマン食品株式会社様が小学校で実施した「適塩授業」のご紹介です。詳しい経緯やポイント、マーケティングの視点での効果について、ご紹介します!
- 背景
-
日本での大きな社会課題とされている健康寿命の延伸。日本人の平均寿命は伸びている一方で、健康寿命との差は10歳近くもあると言われています。キッコーマン食品株式会社様は、「食」でこの社会課題に貢献すべく塩分の過剰摂取に着目。塩分を減らしながらも美味しい食生活を過ごしていただくために、減塩メニューの提案や減塩のコツなどを発信する「レスソル・ライフプロジェクト」を立ち上げました。
ですが、減塩を日頃から意識してもらうように意識や態度変容を促すには、自社だけの取り組みでは限界があると考えており、特に「減塩」という社会課題においては、産学官連携で進めるほうが世の中への発信力も高まるため、自治体との連携を求めていました。一方、小学校ではSDGsを可視化した学びの機会がほしいという課題があり、民間企業との連携による学習機会を求めていました。そこで、JTBがもつネットワークを活用いただき、神奈川県の公立小学校で「減塩教室」の授業を実施することとなりました。
- 課題
-
キッコーマン食品株式会社様
- 事業活動を通して、社会課題の解決に貢献していきたい
- 産学官連携により、減塩の啓蒙活動に力を入れていきたい
神奈川県の公立小学校
- 児童の探求心を育みたい
- SDGsという概念的なものを可視化した学びの機会がほしい
- 実施内容
-
「減塩教室」授業
- 日程
- 2022年6月29日(水)
- 場所
- 神奈川県三浦市立初声小学校
- 参加人数
- 小学6年生2クラス
- 内容
- 小学6年生に対する減塩教育の授業の実施
まず授業を行う前に事前ワークシートを配布。食に含まれる栄養素と健康の関連について興味を持ってもらい、減塩の重要性について理解し自身の健康や家族の健康を考えるきっかけを作りました。当日は、事前に取り組んでもらった課題から減塩の大切さや興味・探求心を引き出す授業を実施。いくつかの商品を自分たちで塩分の多い順に並べていくクイズも取り入れ、楽しく学べる授業構成としました。さらにSDGsにおける「すべての人に健康と福祉を」に繋げていくため、家の中やお店で減塩商品を探すことで、さらなる理解や身近な関心事として体感してもらう事後課題を配布しました。
また、今回は保護者の方々にも減塩の大切さを理解して、それを食生活に取り込んでいただくという目的もありました。そのために、授業の中で説明した内容を盛り込んだ資料やサンプル商品を封入した紙袋を生徒に配布し、家庭での減塩醤油に対する認知拡大と購買に結びつくような仕掛けを実施しました。
- 導入効果
-
減塩の大切さをSDGsの視点から説明する内容にしたため、授業中も生徒たちから積極的に手が上がっていました。授業後のアンケートでも、「塩分の少ないしょうゆや調味料を使ってみたい」「家族にも減塩に気を付けてほしい」と回答した生徒が多く、授業が減塩の啓蒙学習に留まらず、実際の態度変容への繋がりを見せています。
また、生徒への授業だけで留まらないように事前・事後のワークシートや、サンプル提供品を通じて保護者との関わりを持たせることで、家庭内で減塩の話題を生んでいます。生徒の関心、納得を得られたことで、子どもの発言を通じて実際の調理者・商品購入者である保護者にも減塩商品の推奨を伝えることにも成功しました。
- おすすめポイント
-
今回の事例では、JTBがもつ自治体・教育委員会とのつながりを活用していただくことで、キッコーマン食品株式会社様と公立小学校との新たなつながりが生れました。
『交流創造事業』を事業ドメインとするJTBグループは、「産」(企業・団体)/「官」(自治体・行政機関)/「学」(学校・教育機関)のそれぞれの領域で、人と人、人と場所、人とコトをつなぎ、新たな価値を創出しています。
そして「産」「官」「学」それぞれとのつながりを活かし、今回の事例のように各領域を超えて各者をつなぐ架け橋も担っています。
- 関連情報
-
ホワイトペーパー(お役立ち資料)【JTBビジネスソリューションEXPO2022 セッションレポート】共創事例キッコーマンxJTB
この取組みの後、 (株)JTBコミュニケーションデザインが受託運営しているアジア栄養士会議にもご出展頂き、この小学校との取り組みを全国の管理栄養士の皆様に発信し、全国における『適塩』『減塩』を啓発するプロジェクトをご一緒させて頂いております。
キッコーマン食品株式会社様のご担当者様と一緒に、減塩しょうゆの未来を考えながら、一つのアウトプットとして、今回の取組みに至りましたことはとても嬉しく、やりがいの感じるお仕事でした。