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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 Withコロナとテレワーク環境整備、その次に総務人事が取り組むべきこと。

2020.07.30
生産性向上
HR(Human Resources)

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、多くの企業がテレワークの導入を進めるようになりました。

NHKのアンケート調査によると、国内の大手企業の8割以上が「テレワークの活用など新しい生活様式に対応した働き方を検討中」と回答しています。また別の調査でも、「コロナ禍が収束してもテレワーク中心に働きたい」と考えるビジネスパーソンが4割に達していることが明らかになっています。

そのような現象面の変化の裏で、従業員の心理にどのような変化が起こっているのでしょうか?そして、その変化に対して、総務人事の役割はどのように変わっていくのでしょうか?

 


 

テレワークの急速な普及拡大は、企業にどんな変化をもたらすのか?

テレワークの急速な拡大は、企業にどんな変化をもたらすのでしょうか?一般社員・管理職それぞれの変化について考察します。

テレワークというワークスタイルの普及によって、一般社員はどう変化するのか?

 

最初にテレワークが普及することによる一般社員の変化について見てみましょう。

さまざまな調査でテレワークのメリット・デメリットが明らかになっていますので、ここでは省略しますが、特筆すべき点は仕事に対する「価値観が変わった」という声が挙がっていることです。
 

【価値観の変化】

  • これを機に、「自分に適した仕事は何なのか?」を考えることが多くなった
  • 家で普通に仕事ができると気づいたので、田舎に移住してもいいのではと思うようになった
  • 上司の指導や同僚の励まし、後輩との談笑など、何気ないコミュニケーションの大切さを実感した。


「新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、キャリア観が変化した」「企業に依存しないキャリア形成が必要」といった声に代表されるように、今後、自身のキャリアや働き方に疑問を持ち考える人はより増えていくことでしょう。

テレワークというワークスタイルの普及によって、管理職はどう変化するのか?

一方、管理職はどのように変化していくのでしょうか?

 

管理職はテレワークの良い側面として「部下のワーク・ライフ・バランスを改善する機会」「自己管理の習慣をつける機会」「自身のマネジメント能力を高める機会」と前向きに捉えていることがわかります。

 

その一方で、株式会社あしたのチームが実施した「テレワークと人事調査に関する調査」によると、7割以上の管理職がテレワーク時の人事評価が難しいと回答しています。

 
【人事評価が難しい理由】
  • 1位 「勤務態度が見えないから」
  • 2位 「成果につながる行動(アクション数、内容等)を細かく把握しづらいから」
  • 3位 「勤務時間を正確に把握しづらいから」

そして「テレワークが普及することによる不安は何か?」という問いに対しては、管理職は以下のように回答しています。
 
【テレワークが普及することによる不安】
  • 部下の心身の健康悪化の兆候を、見逃してしまうのではないか
  • 部下が必要なときに、業務指示を出したり、指導をしたりしづらい
  • チームビルディングができない 等


このように、人事評価だけではなく、部下のパフォーマンスや管理、組織力、チームの生産性への不安もあるようです。

以上のことから、テレワークの普及に伴って、管理職のマネジメントのあり方・やり方が大きく変わっていくことが予想されます。


総務人事は変化に対して、どのように対応していくべきか?

前述の通り、一般社員、管理職ともに「価値観・心理」は、大きく変化しつつあり今後も変化し続けていきます。この変化に総務人事はどのように対応していけばよいのでしょうか?「働きやすさ」と「働きがい」の2つの側面から見ていきます。

働きやすい環境の整備(衛生要因)

まず、「働きやすい環境の整備(衛生要因)」の視点で、総務人事が求められることは何かを考えていきます。

【課題】

日経Biz Gateの「日経OFFICE PASS調査」によると、従業員300人以上の大企業の担当者の9割超が、テレワーク運用面で課題を感じているという結果が出ています。具体的には、以下のような「環境に関する課題」が上位を占めています。

  • 押印作業など紙を前提としたワークフローが存在しているため、出社して業務をせざるを得ない状況がある
  • 持ち出し可能なPCやリモートで業務を行うためのシステム・ツールの導入が不十分であるため、在宅勤務ができない社員がいる

【具体的な対策】

新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の到来が指摘される中、まず総務人事の役割として挙げられるのは、テレワークというワークスタイルをより多くの人がスムーズに実現するための「働きやすい環境の整備(衛生要因)」であると言えます。

社内はもちろんお客様とのWeb会議も格段に増えています。「打ち合わせや商談中にPCが落ちてしまった」「通信状態が悪く相手の大事な話が聞き取れなかった」社内からこんな声は聞こえてきませんか?オンライン商談ツールや自宅でのテレワークの通信環境といったツール面の整備が必要とされ、総務人事ご担当の多くの方が奔走されているのではないでしょうか?

 

【課題解決を支援するHRのテクノロジー】

支援するHRテクノロジーとしては、以下のようなツールやシステムが挙げられます。
 

・コミュニケーションに関するもの:Web会議システム・グループウェア・チャットツール・SNS等

・リモートアクセスに関するもの:リモートアクセスツール・デジタルワークスペース等

・労務管理に関するもの:勤怠管理システム・給与計算システム等

・業務フローに関するもの:立案・承認ワークフロー、経費精算システム、ペーパレス化ツール等

・採用に関するもの:Web面接ツール・採用管理システム等

働きがいを高めるための仕組みづくり(動機付け要因)

さて、ここからが本題です。

テレワークが急速に普及している実態を踏まえると、多くの企業で「働きやすい環境(衛生要因)」の整備は進んでいると考えられます。そこでテレワークが常態化した次の段階として、今後、企業の総務人事が取り組まなければならない課題が「働きがいを高めるための仕組みづくり(動機付け要因)」だと言えます。

【課題】

Unipos株式会社の調査によると、テレワーク長期化に伴い、深刻化する課題として以下が上位3位に挙がっています。

 

1位 コミュニケーションの取りづらさ

2位 社内連携

3位 モチベーションの維持管理 等


【具体的な対策】

テレワークが定着してくると、次は上司・部下のコミュニケーション不足、自分自身の能力への不安、自分自身の会社への貢献度・価値などに対する不安が生まれてきます。今年、新入社員研修をオンラインに切り替えた企業が多いと思います。「配属先の上司や先輩と直接会うことができない」といったコミュニケーションに関する不安や「研修内容を正しく理解できているのか」といった不安が例年より多いと聞きます。ある調査でも「先輩・同僚とうまくやっていけるか」「生活環境や習慣の変化に対応できるか」が過去最高の数値になったそうです。

 

職場に求める風土にも変化があるようです。競い合う職場よりも、目標を明確にし、プロセスを共有し、お互いの個性を尊重しながら信頼関係がある職場を求める傾向が強いようです。従業員一人一人の価値を認める、やりがいのある仕事を与える、キャリア開発の機会を与えるなど、いわゆる「動機づけ要因」、つまり、「働きがいを高める」対策が総務人事に求められていることだと言えるのではないでしょうか?対策を講じなければ、従業員の心がバラバラになってしまう危険性があります。

 

さらにテレワーク環境では、これまでのような「会社が求める成果」を出すために、部下の一挙手一投足に対し上司がこと細かな指導をすることには限界があります。また社会の価値観も大きく変容し、新たな価値創造をし続けることが企業にとっての生き残りの条件です。そのためには、自ら気付き、考え、創造する 「自律創造型社員」の育成が求められます。

 

【課題解決を支援するHRのテクノロジー】

支援するHRテクノロジーとしては、以下のようなツールやシステムが挙げられます。

  • エンゲージメントに関するもの:社員に対する定期サーベイと課題を可視化する仕組み
  • 人財育成に関するもの:短所の克服と長所の強化のための仕組み、 eラーニング・オンライン研修・人財定着支援ツール等
  • モチベーションに関するもの:報奨や承認欲求を満たすための仕組み
  • チームビルディングに関するもの:チームワークを可視化する仕組み、相互フィードバックを可能にする仕組み等
  • 遠隔マネジメントに関するもの:業務進捗管理システム、コンディション管理システム等

従業員の満足度をさらに高めるために

今後、働き方は一層変化していくと考えられます。テレワークが進んだ結果、物理的には自宅でなくても働くことが可能になりました。自宅から顧客先へ行ったり、空いた時間にコワーキングスペースで仕事をしたりするなどオフィスに行かない日が増えているのではないでしょうか?都内のホテルでもテレワークプランを設定しているところが数多くあります。この流れはさらに進みます。国を挙げて推進し始めたワーケーションや、出張先でそのまま休暇を取るブレジャーなどを取り入れ、南国のリゾート地や避暑地で仕事をするといった働き方を認める企業も増えていくでしょう。

 

まとめ

本記事では、テレワーク拡大に伴う従業員の価値観の変化に対して、総務人事の役割の変化を「働きやすさ」と「働きがい」の2つの視点で紹介しました。このうち、オンライン会議システム・リモートアクセスツールの導入など、「働きやすい環境の整備(衛生要因)」については、すでに多くの企業が取り組みを始めていると思います。

今後働く場所を問わないテレワークが当たり前の時代がやってきます。しかしワークスタイルが変わっても、企業として、従業員の働く内容や成果は問うということに変わりはありません。

あわせて、上司部下のコミュニケーション不足、自分自身の能力への不安、自分自身の会社への貢献度・価値などに対する不安など従業員個々の心理的不安も必ず生まれてきます。

その際、紹介した「働きがいを高める仕組みづくり(動機付け要因)」について企業としてどのような取り組みをしているのかということが、社会の、そして、従業員の関心事になってきます。したがって総務人事担当者に大切なのは、自社の社員の仕事に対する価値観がどう変化しているのかをしっかり掴むことかもしれません。

優秀な人財を採用し、育成し、定着を図るためにも、総務人事は「テレワークというワークスタイルが当たり前になった社会」の到来を見据えて、すぐにでも新常態(ニューノーマル)に適合した「働きがいを高める仕組みづくり(動機付け要因)」の検討を始めるべきでしょう。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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