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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【WEBセミナーレポート】立教大学 中原淳教授登壇!サーベイを活かした「希望の職場づくり」

2021.08.30
HR(Human Resources)
人材・組織力強化
従業員満足(ES)向上
生産性向上

2021年7月14日、JTBでは「これからの企業成長に欠かせない個の力を高める組織開発とは?」をテーマに「JTB エンゲージメント Lounge」をオンラインで開催しました。現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、企業や従業員を取り巻く環境が大きく変化。それにより、組織は新たな問題に直面しています。

マーケットへの持続的な適応や生産性の向上、優秀な人財の確保のためにも、従業員の成長意欲や働きがいなど個人の力を高める組織づくりが不可欠な時代になってきました。企業が従業員へ提供できる価値「EVP(Employee Value Proposition)」の向上が求められているのです。今回は、「EVP(Employee Value Proposition)」の向上、Withコロナ時代の組織課題を解決する手段として期待されるサーベイフィードバックについて、立教大学経営学部 中原淳教授の講演レポートをお届けします。

中原教授

開催概要

開催日
2021年7月14日(水) 16:00~17:30
開催方式
オンライン開催

プログラム

第1部 主催者ご挨拶「EVPのご紹介」

第2部 ご講演 サーベイを活かした「希望の職場」づくり

第3部 従業員の能力と働きがいを高めるHRサービス「flappi」

講演者

中原 淳 教授
立教大学 経営学部 教授(人材開発・組織開発)

立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所 副所長などを兼任。

博士(人間科学)。専門は人材開発論・組織開発論。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等を経て、2017年-2019年まで立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査、2018年より立教大学教授(現職就任)。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している。

今、注目のサーベイフィードバック

企業の人財育成や組織開発を研究する立教大学経営学部 中原淳教授が、「サーベイを活かした『希望の職場』づくり」と題して講演。コロナ禍の組織課題を解決するサーベイフィードバックの意義と活用方法について解説いただきました。

コロナ禍の今、「見える化」が鍵

近年の急速な社会変化にともない、企業は自社に利益をもたらす従業員を選ぶのではなく、従業員にどのような価値を提供できるのかという視点に切り替える必要が出てきました。

新型コロナウイルスの感染拡大もこうした社会変化に拍車をかけました。コロナ禍において、テレワークの急速な普及など、人々のワークスタイルはより多様化してきています。一方で、長時間労働が慢性化してしまったり、従来行われてきた隙間コミュニケーションが失われてしまったりと、組織の生産性向上に欠かせないエンゲージメントが低下してきているのも事実です。

中原氏はそもそも「組織はブラックボックスになりやすい」と指摘します。組織の特性上、自分の職場以外で何が起こっているのかは見えづらいもの。だからこそ、組織の現状を「見える化」していくことが重要になります。

サーベイフィードバックが組織を変える3つのポイント

ブラックボックス化しやすい組織の内情を「見える化」する有効な手段がサーベイ(組織調査)です。まずサーベイを行うことで組織の現状や課題を洗い出します。続いてサーベイで出てきた課題に対し、フィードバックを通して対話を行い、組織の未来を社員とともに作っていく。このように「サーベイ」+「フィードバック」を行うことで、メンバー間の関係性が良好になり、生産性や創造性が高まるのがサーベイフィードバックの効果です。

HRTechの普及にともない、従来と比較するとサーベイが実施しやすくなり、タイムリーに結果を共有できるようになりました。また、サーベイの結果からわかる従業員の働きがいなどのエンゲージメントが、離職率や生産性など組織の経営指標に直結することも明らかになってきました。このような背景から、近年サーベイフィードバックが再び注目を浴びるようになったのです。

サーベイフィードバックを行うメリットは以下の3つです。

01コレクション効果

サーベイがメッセージになり組織が組織にリマインドをもたらす

02フィードバック効果

現場に返されたデータが組織メンバーに解釈され、そこで起こる「不一致」こそが組織を揺さぶる

03外在化効果

サーベイがあることでメンバーが不満や提案を「言える化」する

組織変革は心理戦!?データだけでは組織は変わらない

このように、サーベイを実施することは、組織にとって大きなメリットになることがわかります。しかしながら、調査を行うだけでは意味がありません。実施されているものの具体的な成果につながらない「問題だらけの組織調査」の例として、「データを放置してしまう」「調査が出ても何も対処しない」「忖度して問題を隠蔽してしまう」などがあります。調査を頻回に行ってもデータが現場に還元されないのであれば、組織は改善していきません。「データ」だけでは組織は変わらないのです。

組織が変革するのに最も重要なのが「対話」です。サーベイを通じて吸い上げた現場の課題感や提案を、対話によってフィードバックしていく。この2つがセットで行われて初めて意味のある組織調査となるのです。

サーベイフィードバックを通して組織開発を行うのは根気が必要です。中原氏は「組織変革は心理戦」とも言います。そもそも組織は事業が滞らないように、変わらないよう設計されているからです。調査で客観的データが明らかになり、それをフィードバックしていく過程では、不安や恐れ、自己防衛など負の感情がつきまといます。それを乗り越えるためにはサーベイフィードバックの型を深く理解し、武器を身につけたうえで実施していく必要があるのです。

サーベイフィードバックを使った組織変革

ここからは、サーベイフィードバックの実践方法について紹介していきます。

最初のステップは「同じ船に乗る」こと

サーベイを用いた話し合いの方法として、以下のようなステップがあります。

STEP01 目的説明
STEP02 グラウンドルールの提示
STEP03 データの提示
STEP04 データに対する解釈
STEP05 「未来」に向けた話し合い
STEP06 アクションプランづくり

この中で、ポイントとなるのは「STEP01 目的説明」「STEP04 データに対する解釈」「STEP06 アクションプランづくり」の3つ。データについてメンバーが意味づけを行い、変革を行う目線合わせがされて初めて組織は変わっていくからです。それでは順番に説明していきます。

まず、最初の「STEP01 目的説明」については「ねぎらいと感謝」が重要です。HRTechなどを用いて出てきたデータは必ずしもメンバーにとって気持ちがよい結果ばかりではありません。まずはいつも組織に貢献してくれていること、忙しい中で集まってくれたことへの感謝を述べる。そしてそのデータは何のために取得して、何を目指しているのか、「同じ船に乗る」イメージで丁寧に目的を共有することが非常に重要になります。

続いては「STEP04 データの解釈」です。出てきたデータをそのまま見ると、「悪者探し」や「こうすべき」という正論でぶつかり合ってしまう可能性があります。まずはそれぞれがデータを見て、どう感じるか、お互いが意見を述べ、違いをあぶり出すことでその後の話し合いが円滑に進みます。

実践のポイントは「アクションプランづくり」

最後のサーベイフィードバック実践のポイントとして「STEP06 アクションプランづくり」が挙げられます。前述の通り、データだけでは組織は変わりません。取得したデータをもとに対話を行い、未来につなげるアクションプランを策定することが重要です。このアクションプランは「早く効果を実感できる」という点を重視してください。そのためすぐに実行できる、ハードルを下げた施策を考えるのがポイント。プラン策定後は定期的にフォローアップの場を設け、PDCAを回していくことが大切です。

難しく考え過ぎず、日常の業務に組み込むことが実践のコツです。定例ミーティングの中で時間をとったり、メンバー・管理職での対話の時間を別で作るなど、自分の組織にフィットした方法で構いません。いずれにしても、組織変革のためには対話を通してサーベイを活かしていく必要があるのです。


まとめ 対話を通して自分たちの働き方を決めることが重要

テレワークの急速な普及により、オフィスから離れて仕事することが増えました。組織へのエンゲージメントを感じる機会が減り、組織から離れていこうとする「遠心力」が増しているコロナ禍の今だからこそ、組織への「求心力」が必要です。対話を通して、メンバーが職場に対して感じている課題感や不満、要望をすべて出し切る。そして、自分たちで今後の働き方を決めるのが組織開発にとって非常に重要です。サーベイフィードバックを適切に行うことで、「求心力」=エンゲージメントの改善が見込めます。大切なのは粘り強く対話を行い、自分たちの働き方を自分たちで決めることです。労働生産人口の減少や働き手の価値観の多様化により、企業が従業員や志望者から「この企業にはどんな魅力があるのか?」と選ばれる”時代が到来しました。これからの時代のキーワードは、「EVP(従業員が実感できる、その企業で働く価値)」。そして、EVPの考えに基づいた「エンゲージメント」醸成への取り組みがポイントです。そのエンゲージメント醸成の一つの手段がサーベイフィードバックによる組織開発です。貴社でもサーベイフィードバックを活用し、組織変革、社員のエンゲージメントを高めていきませんか?

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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