閉じる ✕
  • サービス・ソリューションから探す
  • 課題・目的から探す
学校・教育機関向け
自治体・行政機関向け
閉じる ✕
  • サービス・ソリューションから探す
  • 課題・目的から探す
自治体・行政機関向け
学校・教育機関向け

企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 心が動けば、組織は動く。~『実感価値』が生み出す従業員エンゲージメント~

2025.10.21
HR(Human Resources)
人材・組織力強化
従業員満足(ES)向上

「経営理念が社員に届かない」「組織に一体感が生まれない」──そんな課題に直面していませんか?日本企業の従業員エンゲージメント率はわずか5%。従来の情報伝達型アプローチでは限界があります。本記事では、心に響く『実感価値』によるエンゲージメントの高い組織づくりについてお伝えします。

 

1章 理想と現実の狭間で揺れる組織

パーパス経営、人的資本経営──これらの言葉が当たり前のように語られる現代です。しかしながら、多くの企業が理想と現実のギャップに直面しているのではないでしょうか。
苦労して経営理念を作り上げ、様々な制度を整備し、一生懸命に情報発信・伝達をしても、なかなか社員の心に届かない、響かない。それゆえ、組織に一体感が生まれない。
その背景には、働く人々の価値観が多様化し、従来型のアプローチでは個々の価値観・ニーズに応えきれなくなったことがあげられます。特に、デジタルネイティブ世代(Z世代以降)は、情報の一方的な伝達よりも、双方向性や体験を重視する傾向が強まっています。このため、従来の「情報伝達型」から「体験実感型」への転換が急務となっていると考えられます。

2章 二重の人材危機が組織を蝕む

現在、日本企業は、慢性的な人材不足に加え、採用した従業員においても、深刻な人材課題に直面しています。厚生労働省の調査によると、Z世代の3年以内離職率は32.3%。約3人に1人が採用コスト回収前に退職している状況です。転職理由の第1位は「成長実感が得られない」(34.8%)となっており、従来の長期育成アプローチとのミスマッチが浮き彫りになっています。
また、もう1つの課題は、辞めずに働いているので見過ごされがちですが、ミドル層の「静かな退職」問題です。辞めはしないが最低限の業務しかこなさない状態の社員が増加しており、組織全体の生産性に重大な影響を与えていると言われています。そして、皆様もご存じと思いますが、海外の調査機関の調査では、日本の従業員エンゲージメント率はわずか5%と世界最低水準であると言われています。
もともとエンゲージメントが低い日本企業において、Z世代、ミドル層、この次世代を担う働き盛りの世代における二重ともいえる人材危機の根本原因としては、世代間の価値観の違いや、画一的な評価・動機付け手法が、求める多様な個人ニーズに対応できていないことが挙げられます。従来の情報伝達型の手法だけでは、もはや従業員の心を動かすことは困難になっていると言えます。

静かな退職

会社を辞めないが、最低限の役割しか果たさず、努力や貢献をしない働き方

特徴 必要最低限の業務遂行、残業・休日出勤をしない、会議や発言への消極性、キャリアアップへの無関心、社内コミュニケーションの希薄化
背景 過剰労働への疑問、ワークライフバランスの重視、公正な評価制度への不信感、キャリアの停滞、心理的な負担
影響 組織全体の生産性低下、イノベーションの停滞、職場文化の悪化

3章 『実感価値』が組織変革の鍵を握る

従来、エンプロイーエクスペリエンス(EX:従業員体験)の向上が組織課題解決の重要な要素として注目されてきました。しかし、単に体験を与える、質を高めるだけでは十分ではありません。真に重要なのは、従業員一人ひとりの心にどのような変化をもたらすかという、その体験が生み出す『実感価値』なのです。
『実感価値』とは、5つの価値から構成される価値創造アプローチです。単に情報を伝達し理解するのではなく、体験を通じて何かを実感してもらうことで、個人の中に深い感情を生み出し、共感・共鳴へと発展します。この感情の動きが具体的な行動変容を促し、繰り返し実感することで、やがて習慣化され、最終的には企業文化の礎となっていくのです。
例えば、Z世代においては、入社年次の浅い時期に、ある業務やプロジェクトに抜擢し、支援を行い、仲間とともに成功体験を得る、失敗から学びを得る、それらを通じて、社会的意義を実感させ、共創の体験を提供することが効果的です。彼らが顧客や企業の課題解決に主体的に関わり、その成果を実感することで生まれる達成感や誇りは、単なる個人の満足にとどまらず、組織全体の文化形成に大きく寄与します。
また、会社を支える働き盛りのミドル層に対しても、蓄積された経験やスキルの価値を会社としてしっかりと把握、再認識し、本人のスキルやキャリアにあった(新たな)役割での貢献実感を得られる場を創出することで、同様の効果が期待できます。
このような『実感価値』に基づく体験設計が、世代を超えたエンゲージメント向上を実現し、持続可能な企業文化の構築につながるのです。

4章 理念との共鳴を生み出す組織づくり

『実感価値』のアプローチは、企業理念やビジョンとの関係性においても革新的な変化をもたらします。重要なことは、従来の伝達や繰り返しによる“浸透”という一方向的なアプローチから、いかに“共感・共鳴を生み出す”か、へ変革することです。これからの時代は、会社が社員に理念を浸透させるのではなく、個人のキャリア観や人生観と企業理念が響き合う関係性を築くことが必要です。
この実現には、理念を知識として学ぶ機会だけでなく、実感する具体的な体験機会の設計が不可欠です。非日常空間での協働体験や、理念を体現する実践的なプロジェクトを通じて、社員一人ひとりが理念との接点を見つけることができます。そして、この個人レベルでの共鳴が組織全体に波及し、真の企業文化として定着していくのです。

5章 『実感価値』体験づくりへの挑戦

人材不足が深刻化する中、従業員一人ひとりが持つ力を最大限に引き出すことが、企業の競争優位の源泉となります。そのためには、従来の枠組みを超えた新しいアプローチが必要です。『実感価値』の5つの価値創造アプローチを統合的に実現するには、戦略的な設計が不可欠です。
まず個人の内面の価値を創出する体験設計から始まり、それが個人の行動変容の価値へと発展するよう継続的な支援を行います。変容した個人の行動が周囲への伝播の価値を生み出すよう、組織内のコミュニケーション環境を整備し、さらに組織文化共創への意欲醸成の価値が育まれるよう、全社的な取り組みとして推進します。最終的に、これら4つの価値が統合的に作用することでエンゲージメント向上の価値を実現するのです。

『心が動けば、組織は動く。』従業員一人ひとりの心を動かすこと、するとその集合体である組織が動き出します。単発の体験提供にとどまらず、5つの価値が連鎖的に作用する統合的な組織変革に挑戦する時が来ています。

最後に 『心が動けば、組織は動く。』

JTBは、長年、企業・組織の旅行・イベントに携わらせていただく中、そこで出会った数々の共感・共鳴、感動の経験から、非日常体験創造のノウハウを蓄積してまいりました。そして今、その非日常での盛り上がりを、社会的合理性とZ世代的合理性を加味した日常化(共創的企業カルチャー醸成)への橋渡しを行う、統合的なソリューション設計のノウハウも構築しています。

感動と共感を生み出す手法を組織運営に応用し、さらにそれを持続的な企業文化として定着させることで、従来にない、より効果的なソリューションをご提供します。心に響く『実感価値』によるエンゲージメントの高い組織づくり、ぜひご用命ください。

「心が動けば、組織は動く。~『実感価値』が生み出す従業員エンゲージメント~」をテーマにした関連セミナーはこちら

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

#Think Trunk

WEBマガジン「#Think Trunk」とは

人と人、人と組織、人と社会とのコミュニケーションのヒントをお届けする
WEBマガジンです。

人間・組織の悩みは、コミュニケーション・関係性の場づくりで解決できる。
〜JTBは、新しい形の交流のあり方を創造し、社会に貢献していきたいと考えています〜

JTB法人事業のお客様へお役立ち情報や課題解決のきっかけとなる知見、経験、アイデアを紹介するWebマガジンです。また産・官・学の皆さまとの接点があるJTBならではの垣根を越えた共創のヒントをお届けしたいと考えています。