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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 MRの情報提供活動のこれからとは ~医師との持続可能な接点創出に向けて~

2021.10.08
メディカル(製薬・医療関係)
売上拡大・販売促進
人材・組織力強化

新型コロナウイルス感染症の拡大で、MRが病院の医師に医薬品の情報提供をしづらくなったとの声が聞こえてきます。発売後間もない新製品の情報提供が十分にできず、市場浸透が遅れた結果、新薬の売上にも影響を及ぼしているようです。今回は、MRの情報提供収集活動の変化について見ていきます。

MRの情報提供収集活動の変化

新型コロナウイルス感染拡大前はMR訪問による情報提供収集活動が主体でした。しかし、コロナの拡大以後はデジタルを活用した施策に加え、リモート面談や電話、郵送、電子メールといった手段を含めた活動が定常化するようになっています。

MRにとって一番の悩みは「医師に会えない」こと。製薬企業は情報提供手段の多様化によって情報提供不足を補完し、医師との接点数を維持しようと試みています。しかし、MRと医師の接点数は確実に減少しており、特に病院医師に対する情報提供は訪問規制から対面による面談を行えず、完全にコンタクトが取れない医師も存在しています。

MRからのアプローチを拒みきれずにこれまでは泣く泣く面会の時間を取っていた医師も「リモートによる面談が増えてから、MRからの面会依頼がメールによる方法となったので断りやすくなった」と明かしています。実際、製薬企業からも「医師側は限られた面談機会の中で有用な情報を提供できるMRとそうでないMRを選別するようになっている」との認識が広がっています。

もはや医師側にニーズがなければMRと面会しないのです。優秀なMRは相変わらず好成績を維持する一方で、平均的な営業成績を上げていたMRについては医師と面会できなくなり、中間層の成績が低下している状況です。

ただ、安全性情報など欲しい情報があれば、対面による面談を希望する医師は多く存在します。医師にとって満足度が高い情報提供を行えていたMRに対しては、コロナ禍でも対面での面談を継続していたと言います。初回については前述の通り、面談の機会が大幅に減っていますが、チャンスがあるとすれば、発売している薬剤の適応追加時です。医師は最初のコンタクトで有意義な情報を提供してもらえれば、その後も面会の時間を与えてくれます。

非対面・対面のアプローチの使い分け

医師への面談方法を各社に聞いてみると、医師のニーズや情報提供内容などに応じて、非対面・対面のアプローチを使い分けています。ただ、医師と話をするうちに潜在的な課題が見つかることもあり、そうなるとオンライン面談より対面による面談の方が適しています。ある外資系企業は「非対面による面談は情報提供、対面による面談は情報収集」としていました。「対面の方が情緒的な思いを双方が感じやすく、その思いが記憶に残り、情報のインパクトにつながる」(国内準大手)。「メールだと一方的な情報伝達になるが、対面なら双方向性のあるコミュニケーションが可能」(国内大手)とオンライン面談では提供できない価値を認めています。

医師との接点確保の工夫

医師との接点数確保のために外部サービスを導入する動きもあります。エムスリーの「my MR君」は、MRが「my MR君」に登録している医師と直接オンライン上でコンタクトを図ることで、情報提供を効果的・効率的に行えるため、需要が拡大。非対面と対面を組み合わせた接点数の増加により顧客との信頼関係強化につながるといった成果が得られたほか、非対面のみの対応で薬剤処方を獲得した事例も報告されています。

エムスリーは「my MR君」のほか、「Medical Marketer」というサービスも提供。製薬企業から業務委託を受け、ターゲットとしている医師にウェブや電話でコンタクトの上、情報提供を実施し、医師とMRをつなぐ役割を果たします。そこで得られた情報提供活動の結果は製薬企業にも共有されるため、医師側のニーズを把握した上での情報提供につなげやすいというメリットがあります。

そのほか、ワークスモバイルジャパンが提供する「LINE WORKS」は、製薬企業MRの「LINE WORKS」アカウントと医療関係者のLINEがつながることで、コミュニケーション手段を確保し、顧客接点を強化することが可能となります。

医薬品の提供にとどまらない情報提供も重要です。JTBでは疾患領域ごとの患者インサイトをもとにしたライフスタイルの提案を軸に、患者が医師と共通の治療目標を設定できる仕組みを提供しています。診療の現場に於いて、血糖値や血圧など定量的な目標設定を行う医師に対し、患者のインサイトは「元気になりたい」「旅行に行きたい」など定性的でギャップが存在します。ライフイベントを扱う企業として、理想のライフスタイルの実現が共通の治療目標となれば、治療満足度の向上にもつながると考えます。

治療の継続についても、観光データや、提携の旅館・ホテルなどのリソースを活用し、楽しみながら治療を継続してもらうコンテンツを作成しています。運動療法・食事療法といった医師目線でのアプローチから、患者の「自己効力感」の向上にシフトする事で、患者中心の治療を目指します。


まとめ

製薬企業の中には、患者のために何ができるのかを考え、そのために医療関係者に情報提供を検討するプロジェクトを立ち上げている企業もあります。また、他の製薬企業でも患者理解・患者貢献を実現するための患者向け資材検討、患者向けWebサイトやサプリの運用などにも取り組んでいます。患者満足度を高める医療サービスを医師に提案していくことも接点を増加させる一つのきっかけになるかもしれません。

成績が良いMRは、これまで培ってきた人脈を生かすことはもちろん、医師と接触する方法は面談だけでないということを理解しており、学会やLINEなど直接面談だけに頼らない方法で接触していることも多いのです。会えない医師には、多様なツールを駆使して興味・関心分野などニーズを把握し、面談機会を与えてもらったら、最初のチャンスを絶対に逃さないことが肝要です。

my MR君【登録商標第4611823号】

Medical Marketer【登録商標第5750925号】


ホワイトペーパー(お役立ち資料) 製薬会社のマーケティング部門の皆様必見!患者様と医師の治療満足度向上にむけた取り組み

かつてはどの領域も薬剤貢献度が低く、薬の使用における不満への対応含め、人と人の接点が必要でした。しかし、マーケットの成長による製品の競争激化や透明性ガイドラインの導入、ICTの高度化によるチャネルの拡大、コロナ禍による訪問規制など製薬・医療業界を取り巻く環境は大きく変化。それにより薬剤貢献度は充足しつつあり、今後の医師の課題解決には患者様の「治療満足度の向上」が必要と考えられます。そこで本資料では、治療満足度向上に向けたポイントをまとめました。製薬会社のマーケティング部門の皆様必見です。ぜひ、ご覧ください。

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