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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 BPR(業務改革)を担う「戦略総務」の3つの役割や事例、ポイントとは?

2023.02.17
HR(Human Resources)
生産性向上
人材・組織力強化

少子化による労働人口減少などを背景に、企業は「働き方改革」などの変革に迫られています。その一環として、これまでは各部署のサポートがメインだった総務部が、そのあり方を変え「戦略的かつ積極的に社内に働きかけ業務改善を率先していこう」という考え方が広まりつつあります。この新しいあり方を「戦略総務」と言います。本記事では、業務改革(BPR)にあたり、戦略総務の必要性とともに業務改革について欠かせないポイントをご紹介します。

「戦略総務」となって業務改革(BPR)を推進すべき理由

なぜ今、各企業には積極的な業務改革(BPR)が求められているのでしょうか。その理由と業務改革を担うべき「戦略総務」とは何かについて解説します。

「戦略総務」とは?

従来の総務部の業務は、部署間の調整、業務支援、管理などがメインでした。企業によっては、それに加えて人事や経理などのバックオフィス関連業務全般を担っているところもあります。そのため、総務部に対して「縁の下の力持ち」というイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。

総務などのバックオフィス部門では、経費削減の一環として業務の一部をアウトソースすることも少なくありません。IT・ロボティクスの発達によりRPAを導入する企業が増えるなど、総務の負担は以前と比べると減少しています。しかし、減少した仕事量の人材を、そのまま削減してしまうのは、実はもったいない話です。なぜなら、総務は、経営陣やすべての部署とつながりがあり、会社全体を見渡すことのできるポジションだからです。「戦略総務」とは、従来から持つ広い視野を生かし、会社のイノベーションの先陣に立つことで、「能動的に業務改革を行おう」という考え方です。

「業務改革(BPR)」とは?業務改善との違い

「業務改革」とともによく聞く言葉に「業務改善」があります。「業務改善」は、ある業務の中で発生している無駄な業務や重複事項を見つけ出し、効率化することです。「業務プロセスの一部を改善する」ことを意味します。一方、「業務改革(BPR)」とは、業務プロセスの抜本的な見直しに加え、人事管理・評価など「企業活動のすべてを顧客志向に、一貫して抜本的に改革していく」ことを指します。

働き方改革が進む昨今、業務の一部を見直すだけでなく、企業全体を見直す「業務改革(BPR)」に注目が集まっています。

なぜ戦略総務による業務改革(BPR)が必要なのか?

日本は、人口減少により慢性的な人財・労働力不足に陥っています。そのため、各企業は人財の確保と定着のため、長時間労働の削減やワークライフバランスの実現が急務となっています。一生を一社で過ごす「終身雇用」の考え方は廃れつつあり、社員満足度の高い企業での就労を希望し、必要とあれば転職をいとわない人は少なくありません。社員の定着率を上げるため、また、限られた人数で生産性を向上させていくために、抜本的な業務の見直しが求められています。業務改革(BPR)は必須事項なのです。

その重要なポジションを担うにふさわしいのが、各部署と横断的につながり、組織全体を俯瞰して見られる総務です。全部署の現状を把握しているので、一部の部署への過度な偏りを防ぎつつ、会社全体に目を配ることでバランスのよい業務改革(BPR)に取り組むことができます。

戦略総務が業務改革(BPR)で担う役割とは?

実際に戦略総務が担う業務改革(BPR)にはどのようなものがあるのでしょうか。全体的な業務を根本から見直し、再構築していくのはもちろんのこと、改革に必要な「つながり」を作ることも大切になります。そのつながりを作るためは、総務の力が必要です。

戦略総務が業務改革(BPR)で担う3つの役割

戦略総務が担う役割として、①社内環境・体制の整備  ②従業員と経営層のパイプ役 ③社外との関係性構築 があります。

役割01社内環境・体制の整備

社内の業務フローや制度、安全管理、社員のコミュニケーション活性化や健康管理なども含めた社内環境や体制の整備が必要になります。不満を持っていても、部署単位で現状を変えるのは困難です。そのため、各部署の現状を把握している総務が適任です。各部署の現状と社員が抱えている悩みや要望を聞き出し、把握することで新たな環境に必要なものが見えてきます。

役割02従業員と経営層とのパイプ役

総務は経営層と従業員、どちらともつながりの深い部署です。両者の声を聞き、パイプ役になりその声を伝えるのはもちろんですが、それだけでは足りません。双方の考えや問題点をくみ取ったうえで、両者へ最善策を提案することが求められます。

役割03社外との関係性の構築

従来の総務は、社内に目を向けがちだったのではないでしょうか。しかし、業務改革という前例のない業務に取り組むときは、業界内をはじめとした他社からの情報も必要になります。今後は積極的に社外との交流を深めることで、最新情報など広く取り入れ、それを自社の課題解決に役立てていくことが重要です。

戦略総務が行う業務改革(BPR)の事例を紹介

事例01外回り営業が業界の常識だったA社

一つ目の事例の企業では、営業の外回りに時間とコストがかかりすぎるといった課題がありました。総務の発案により、社内に営業部門が利用するプレゼンルームを作りました。プレゼンルームのおかげで、これまでのように毎回営業が得意先に出向くのではなく、得意先から自社に訪問してもらう機会を増やすことに成功。これにより、自社営業担当者の時間とコストの削減につながっています。

それまで、営業部門の社員は皆、お客様のところに出向くのは当然と考え、疑うことはありませんでした。戦略総務という、営業とは一歩離れた視点を取り入れることで新しいアイデアを取り入れることができた事例です。

事例02社員同士のコミュニケーション不足が課題のB社

二つ目は、戦略総務が小規模な打ち合わせスペースをオフィス内に複数設けることにより、社員同士のコミュニケーション量を増やすことに成功した事例です。この企業では1on1ミーティングなどの制度はあったものの、会議室予約の手間や時間の縛りなどから、有効に活用できていませんでした。そこで、気軽に利用できるスペースを複数設けたところ、小規模な打ち合わせも頻繁に行われるように。社員同士での業務相談がしやすくなり、コミュニケーションが増えた結果、若手社員のモチベーションも上昇しています。

戦略総務が業務改革(BPR)を進めるためのポイント

業務改革(BPR)を推進していくためには、どのようなステップを踏むことが重要なのでしょうか。ここからは、業務改革実施の一般的なステップとポイントについてご紹介します。

業務改革(BPR)5つのステップ

業務改革(BPR)には大きく分けて、5つのステップが必要です。

STEP01 検討

さまざまな部署の異なる立場の人から現状や課題を聞き出し、集めた意見をもとに業務改革(BPR)の目的や目標を定めます。対象範囲を設定することが成功率向上につながります。

STEP02 分析

目標を定めたうえで、業務内容やフローの状況、組織のあり方について現状分析や課題を分析します。

STEP03 設計

分析で洗い出した課題を解決する戦略や方針を定め、具体的に実施するにあたりプロセスを設計します。このとき、必ずしも社内だけで設計を完結させる必要はありません。必要に応じて、外部の会社に業務を委託する「BPO(アウトソーシング)」や、グループ内の企業や子会社に業務委託する「シェアード・サービス」といった手法も検討するとよいでしょう。

STEP04 実施

設計に基づき、業務改革(BPR)を実施します。経営陣から社員一人ひとりまで、改革の必要性を認識することが大切です。規模や内容によっては、多くの時間や労力が必要となることも押さえておかなければなりません。

STEP05 モニタリング・評価

業務の進捗状況をモニタリングし、定期的に評価します。目標クリアの方向に向かっているのか?計画との相違はないか?などの確認は欠かせません。問題が見つかった場合は、必要に応じて軌道修正を行います。成功したときはもちろんのこと、残念ながら失敗に終わった場合でも、改革終了後も引き続き定着度や周囲への影響などを評価します。これが次の課題の洗い出しにつながります。

出典:総務省、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「民間企業等における効率化方策等(業務改革(BPR))の 国の行政組織への導入に関する調査研究」

業務改革(BPR)を推進する際のポイント

業務改革(BPR)を実践するうえでのポイントを4つ紹介します。

ポイント01全社ではなく、部門ごとなどスモールスタートで

業務改革(BPR)は、最初から会社全体で一気に行うのは大変です。社員全体に意思疎通を図るのも、目的の絞り込みや分析にも大きな時間や労力を要します。まずは部門ごとなど小さく区切り、スモールスタートしてみてはいかがでしょうか。

手始めに、総務として「戦略総務」へ移行することから始めてみるのもおすすめです。現状把握のあと、IT化やBPOなどを導入し、総務部の業務を効率化します。そのうえで、空いたリソースを会社全体の業務改革へと割り振ります。このように、実現可能な部門から少しずつ改善を重ねることで経験値が上がり、それが効果的な業務改革(BPR)の実現につながります。

ポイント02ゴールを明確にする

ゴールを明確にすることで初めて、社員間で共通認識を持てます。それぞれに考えるゴールが異なると、検討や分析の段階で方向性にズレが生じることになりかねません。業務改革(BPR)に取り組む際は、会社全体で目指すべきゴールを明らかにすることが重要です。

ポイント03業務改革(BPR)の重要性・必要性を社内で共有する

社員の中に不安が生じると、業務改革(BPR)は前に進みません。その重要性、さらには目的達成後の会社のあり方について、社内で丁寧に共有しておくことが大切です。さらに、一度でうまくできるものではなく、試行錯誤が必要であることも念頭に置きましょう。

業務改革(BPR)を推し進めるうえでは、想定外の不具合が発生することもあります。慣れない業務により、個人的なミスが発生することもあるかもしれません。その際、社員が速やかに不具合やミスを上司に報告できる、風通しのよい職場づくりができていないと、業務改革(BPR)への取り組みは困難になるでしょう。

ポイント04PDCAサイクルを実施して分析する

業務改革(BPR)は一度で終わりではありません。放っておくと、以前の状態に戻ることも懸念されます。定期的に何度もPDCAを回し、改善を重ねることが大切です。


まとめ

今回は、「戦略総務」による業務改革(BPR)についてお届けしました。少子化による労働人口減少などを背景に、企業は「働き方改革」などの変革に迫られています。その一環として、これまでは各部署のサポートがメインだった総務部が、そのあり方を変え「戦略的かつ積極的に社内に働きかけ業務改善を率先していこう」という『戦略総務』の考え方が広まりつつあります。

総務部は経営陣をはじめ、すべての部署と関わりがあります。会社全体を把握できるポジションであるからこそ、能動的に企業を引っ張っていくには最適な部署なのです。

業務改革(BPR)を推進する際、業務改革(BPR)に必要な5つのステップ「検討→分析→設計→実施→モニタリング・評価」に則り、進めていくことをおすすめします。特に、ゴールを明確に社内全体で共有することや、小さなステップから取り組むことがポイントです。

しかし、これまで社内で誰もやったことのないことに、ゼロから取り組むのは大変なことです。本記事を参考に他社との情報交換も行ったり、専門家の助けを借りるなど、積極的な業務改革(BPR)を検討してみてはいかがでしょうか。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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