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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 【インタビュー】ハワイ州観光局 寺本竜太氏 ~ハワイ旅行再開、復活へ~

2022.07.25
旅行
ミーティング・イベント
従業員満足(ES)向上
売上拡大・販売促進
人材・組織力強化

2022年4月1日にアメリカの感染症危険情報レベルが引き下げられたことにより、海外旅行の再開が本格化する見込みです。JTBの調査では、「海外旅行が可能になったら、まず観光したい国・地域として全世代でハワイが1位」という結果が出ています。JTBをはじめ旅行各社でもハワイツアーの取り扱いが始まっています。コロナ前にインセンティブツアーや社員旅行を行っていた企業様、周年旅行を検討している企業様の中ではハワイ旅行再開を受けて、旅行先にハワイを検討しているご担当の方も多いのではないでしょうか。そこで、ハワイの現在の様子やコロナ期におけるハワイ旅行について、ハワイ州観光局の寺本竜太氏にお話を伺いました。インセンティブツアーや社員旅行などの検討の際の参考になれば幸いです。

コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査(JTB総合研究所)

TT_産
写真:ハワイ州観光局 提供

お話を伺った方

寺本 竜太 氏

寺本 竜太 氏

ハワイ州観光局 日本支局

ハワイの状況

テレビのニュースなどで映し出されるアメリカの様子を見ると、数カ月前からほとんどの人がマスクを着用していません。アメリカでは2022年4月時点でマスクの着用義務が全面撤廃されました。では、ハワイ州においてはどのような状況にあるのでしょうか。

新型コロナウイルスの感染対策(2022年6月17日現在)

現在ハワイ州では、マスクの着用義務が病院や一部施設のみとなっています。2022年3月25日に屋内における着用義務が解除、同年4月18日に空港や公共交通機関内での着用義務が解除され、マスクなしで過ごせるようになりました。また6月12日以降は、ワクチン接種2回以上を推奨、アメリカ疾病対策予防センター(CDC)の定めにより、出発1日前の事前PCR検査は不要となりました。飛行機などの公共交通機関では、マスク着用を推奨しています。

マスクの着用義務はなくなりましたが、ハワイ州としての「安全ガイドライン」が定められており、空港、宿泊施設、ショッピング施設、レストラン、アクティビティ、博物館など、各業界で安全・衛生対策に取り組んでいます。

日常生活

ハワイの現状について寺本氏はこう話します。

寺本氏
現状、ハワイ州においてはローカルシニア、シニア層は自主的に屋内におけるマスク着用をしておりますが、観光客、若年層はほぼマスクを着用していない状況です。感染レベルが少し上がってきているため、学校などではマスク着用を義務化する動きなどもありますが、Withコロナの概念が浸透してきており、コロナ前と変わらない日常を取り戻しています。公共交通機関などにおいてもマスク着用義務化は撤廃されています。(2022年6月17日現在)
ハワイの風景
写真:ハワイ州観光局 提供
ハワイの風景

旅行客の受け入れ状況

2019年は、ハワイへの観光客全体のうち15~17%を日本人観光客が占め、その数は実に157万人でした。22年4月の時点では、アメリカ本土からの旅行客が80~90%、日本人は5%程度に留まっています。

寺本氏
ハワイ州は2020年11月には、日本人の渡航を許可しています。国外に向けては、最初に日本からの受け入れを表明することとなりました。これは、ハワイが日本人観光客を歓迎している気持ちの表れと言えるでしょう。

しかしその時点では、日本側の出入国制限の緩和が進んでおらず、日本人観光客が戻るには至らなかったそうです。今年の4月1日に外務省は、米国の感染症危険情報レベルを「渡航中止勧告」から「不要不急の渡航を控える」に引き下げました。それを受けて、JTBをはじめ旅行各社がハワイツアーを再開しています。

ハワイの風景
写真:ハワイ州観光局 提供
ハワイの風景

入国条件(2022年6月17日現在)

ハワイへの渡航条件はアメリカ合衆国の規定に準じており、以下の手続きや書類が必要です。

ワクチン接種証明書

2回以上の接種が推奨されています。

宣誓書

アメリカ政府が航空会社に対して回収を義務付けている書類です。

コンタクトトレーシング

接触確認のためのシステムで、航空会社によってフォーマットは異なります。

アメリカ疾病対策センター(CDC)は、米国への渡航者に義務付けていた入国前の新型コロナウイルス陰性証明書の提示をアメリカ東部時間(ET)2022年6月12日午前12:01より撤廃することを発表しました。陰性証明書提示の義務化は廃止となりますが、渡航者の健康と感染拡大防止のため渡航前の検査を推奨しています。

ハワイ州観光局公式サイト「ハワイへのご旅行を計画されている皆様へ(新型コロナウイルス情報)」

旅行先としてハワイを選ぶ理由とは

海外旅行再開の動きが活発化しているとはいえ、未だ新型コロナウイルスの感染が収束していない中での旅行先選びは、慎重にならざるを得ません。ハワイには、感染リスクを抑えつつ旅行を最大限に楽しむことができる要素があります。

安心・安全な旅行ができる

コロナ禍において、ハワイ州は的確な対策により、感染拡大を抑えました。アメリカ合衆国50州の中で最もうまくコントロールし、抑止できた州といわれています。感染が収まりつつある現在も安全ガイドラインを定めるなど、感染防止対策を継続しています。

また、体調が悪くなった、コロナ感染が疑われるといった場合に、日本語対応が可能であることも安心です。観光客の4分の1が日本人だった時期もあり、ハワイには日本語を話す医師が多いと寺本氏は話します。

寺本氏
病床の状況に関しては、現時点でコロナ患者で埋まっているという病院はなく、万が一の際の受け入れ体制も整っています。

さまざまな魅力がある

ハワイといえば、なんといっても海や山などの自然、それらを活かしたアクティビティなどが大きな楽しみです。しかしハワイの魅力はアウトドア関連だけではなく、美術館や博物館、宮殿などもあります。

寺本氏
団体旅行であれば、それらを貸し切りにしてパーティをするのもおすすめです。ハワイは貸し切りができる施設が多いのも魅力のひとつです。

美術館や博物館に関しては、コロナ以前にはヨーロッパ旅行をしていた方からの問い合わせが増えているとのこと。ヨーロッパへの旅行は現時点では難しいため、ハワイへの関心が高まっているようです。

日本人観光客を歓迎している

寺本氏
ハワイ州が日本からの渡航に対して、いち早く条件緩和を行ったことをみても、日本人観光客を歓迎する気持ちが強いと言えます。日本人のマナーの良さ、節度ある行動、モラルを守る国民性などが、高く評価されているのでしょう。

コロナの感染リスクがある状況においては、旅行者を受け入れる側に躊躇や拒否反応が生じる場合もあります。楽しい旅行にするためには、現地の人々に快く受け入れてもらえるかどうかも重要なポイントです。

これからのハワイを楽しむポイント「マナーやルールを守って行動すること」

ハワイには自然環境・伝統文化を守る取り組みがあります。ハワイは観光産業を中心に発展してきましたが、同時に環境破壊や景観の悪化、伝統文化の衰退といった弊害も生じています。これからの何十年、何百年も美しい楽園ハワイであり続けるための活動を、ハワイの人々は長年にわたって続けてきました。

コロナ禍において海外からの渡航者が激減し、現地住民にも一時解雇や一時帰休、在宅勤務が増えたことにより、はからずも自然環境が大きく改善しました。ここでまた観光客が増えると、自然環境にダメージが生じるのではないかという不安を抱く現地住民もいます。マナーが良く、節度やモラルに優れた日本人が歓迎される背景には、このようなことがあります。

寺本氏
現在はアメリカ本土から格安で渡航できるため、国内旅行としてハワイを訪れる人が急増し、ちょっとしたバブルともいえる状態です。コロナ以前とはお客様の層が大きく異なり、マナーを守らない旅行客も増えて、現地住民の中にはその事を苦々しく感じている人も少なくありません。そこで期待されているのが日本人観光客です。観光産業と自然環境を共生させていくためには、マナーやモラルを守って行動できる観光客に来てほしいと、ハワイの人たちは強く願っています。

「Mālama Hawaiʻi ~マラマハワイ」とは

マラマは「思いやりの心」という意味をもつハワイの言葉です。マラマハワイとは「ハワイを思いやる心」で、ハワイの美しい自然や伝統文化に思いやりの心をもって接していくことを表しています。ハワイ州では「マラマハワイ」をスローガンに掲げ、自然環境や伝統文化を守るために、さまざまな取り組みを行なっています。

マラマハワイとは(マラマハワイ公式サイト)

寺本氏
マラマハワイは、観光客を受け入れる側だけの取り組みではありません。ハワイを訪れる人、ハワイに関わる企業や団体も、ハワイの自然や文化を守るという意識をもって行動する必要があります。実際に、さまざまな企業やNPO法人などが、自然環境の保全・啓蒙活動、教育プログラムの提供などをおこなっています。

今、日本でもSDGsに注目が集まっています。多くの企業がサステナブルな社会の実現にさまざまな取り組みを始めています。旅行先であるハワイで、このような取り組みを知り、サステナブルについて理解を深めるのも新しいハワイでの過ごし方かもしれません。

あたらしい旅のカタチ「レスポンシブル・ツーリズム ~責任ある観光~」

マラマハワイは、近年注目されている「レスポンシブル・ツーリズム ~責任ある観光~」に通じる取り組みといえます。レスポンシブル・ツーリズムとは旅行者を主体とした考え方で、自然保護や環境保全の意識をもって行動しようというものです。

責任ある観光“レスポンシブル・ツーリズム”とは(マラマハワイ公式サイト)

自然環境への配慮

レスポンス・ツーリズムの実践は、それほど難しくはありません。事前に確認や準備をしたうえで、以下のような点を意識して行動することが実践につながります。

  • マイボトル、エコバック、マイストローを持参する
  • ウミガメやクジラ、イルカなどの海洋生物に触れたり近づいたりしない
  • 立ち入り禁止区域に侵入しない
  • サンゴ礁に有害な成分を含む日焼け止めを使用しない

住民感情への配慮

寺本氏
コロナ対策の補助金制度に関して、ハワイ州は特に手厚い補償がありました。旅行客の往来がストップしてもさほど生活に困らなかったことも相まって、観光業に頼らない州にしていくべきではないかという住民感情も一部には出てきています。

そのような現状を踏まえて、現地のルールに従うこと、マナーを守ることを常に意識する必要があります。ハワイへの思いやりの心が伝わるような行動が求められています。


まとめ

ハワイ旅行再開に向けて、寺本氏よりメッセージ

寺本氏
いよいよハワイ旅行へのハードルが下がり、久しぶりに海外旅行を楽しみたいと考えている方も多いことでしょう。ハワイはコロナ前にも増して日本人観光客を歓迎しています。ハワイでは自然や環境保全への意識が高まっており、旅行者に対してもレスポンシブル・ツーリズムの実践を求めるようになりました。受け入れ側として、日本人の国民性への期待は大きいと言えます。コロナ禍からコロナとの共生への過渡期にある今、さまざまなハードルを越えて実現する旅行であるからこそ、単に楽しむだけではなく、ハワイの未来を見据えた意義のある旅行にしていただけると幸いです。

参考情報

ハワイ州観光局 公式サイト

ハワイ州観光局公式サイト「ハワイへのご旅行を計画されている皆様へ(新型コロナウイルス情報)」

マラマハワイ公式サイト(ハワイ州レスポンシブル・ツーリズム情報サイト)


ホワイトペーパー(お役立ち資料)団体旅行を再開する際のポイントは? ~2022企業担当者向け再開意向調査レポート~

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、企業が実施する職場旅行や報奨旅行、研修旅行、周年旅行といったビジネスイベントとしての旅行が延期・中止になっています。感染状況が落ち着きを見せたかと思うと、新たな変異株が猛威を振るい、今だ先が見通せない状況です。「これまで旅行を実施していた企業はどうするのか?」「これから企業が実施する旅行はどうあるべきなのか?」今後の企業旅行を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

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