自社の周年記念の担当になったものの、何から手をつければいいかわからないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。この記事では、周年記念の目的や具体的な企画、周年記念を進める際の手順について解説します。周年記念を成功させるポイントについても解説しています。ぜひ参考になさってください。
周年記念とは?
そもそも周年記念とはどのようなものなのでしょうか。はじめに、周年記念の概要とともに、その実施目的をご紹介します。
企業における記念行事
周年記念は、企業の創業や設立から一定期間が経過したことを祝う記念行事です。5年ごとや10年ごとに周年記念の行事を行っている企業も多いです。企業の節目に、これまでの歩みを振り返ったり、社の発展に貢献した人を表彰したりします。周年記念の対象は、社員や販売代理店、顧客など企業によってさまざまです。
企業の未来を考えるための節目
周年記念は祝い事ですが、単に祝うだけで終わらないようにするのが理想です。自社の未来について考え、今後の目標を実現するための足がかりにするのがポイントです。そのためには、これまでの業績を振り返り、未来に向けてどのように進むべきか全員で共有できる企画が必要です。
周年記念を行う目的とは?
周年記念は、社内向けと社外向けの2つのパターンがあります。ここでは、パターンごとに周年記念の目的を解説します。
01「社内」向け周年記念の実施目的
社内向けの周年記念は主に社員を対象に開催します。企業によっては家族も含める場合もあります。目的は、改めて企業理念を浸透させ、未来に向かって一丸となって進むためのビジョンを共有することです。それとともに、経営側から社員に対して感謝の気持ちを伝え、エンゲージメントの向上にもつなげます。
02「社外」向け周年記念の実施目的
社外向けの周年記念の対象は、顧客、取引先、株主などの外部関係者です。社内向けの周年記念と同様、お世話になっているステークホルダーに日ごろの感謝をしっかり伝える必要があります。周年記念の場で、今後の戦略や新商品・新サービスを発表すれば、今後のビジネスにスムーズにつなげられます。
「社内」向け周年記念の企画3選
社内向けに周年記念を企画する場合は、社員に日ごろの感謝の気持ちを伝えつつ、自社の今後のビジョンを共有する必要があります。おすすめの施策をご紹介します。
01イベントを開催する
社内向けの周年記念として、さまざまなイベントが開催されています。たとえば、記念式典を開き、経営方針を説明したり、永年勤続者や成績優秀者などの功労者を表彰しているケースもあります。今後のあるべき姿を全員で考えるワークショップを企画してもいいでしょう。ファミリーデーや社員旅行など、社員が楽しめるイベントを開催するのもひとつの方法です。
02記念グッズを作成する
周年記念のグッズを作り、社員に配付するのもおすすめです。たとえば、オリジナルグッズを作成すれば、特別感のある記念品になります。社史や社内報を制作し、周年記念のタイミングで伝えたいことを共有するという方法もあります。また、一定以上の勤続年数の社員や優秀な社員へ褒賞を贈れば、帰属意識とモチベーションの向上も期待できます。
03企業理念やCIの刷新、オフィスの移転
周年記念を節目とし、企業の体制を刷新する企業もあります。具体的には、新しい企業理念を制定し、周年記念のタイミングで発表したり、CI(コーポレートアイデンティティ)を刷新する場合があります。またオフィスの移転やリニューアル、会社で制服を導入している場合には、デザインの刷新など、周年記念は“変化”の最適なタイミングです。
例えば、周年記念の際に企業理念を見直す場合、まずはこれまでの自社の歩みをしっかり振り返ることが大切です。そのうえで、自分たちの置かれた環境、目指すべき姿を考慮し企業理念を作り直していきます。企業理念はビジネスの基軸となるため、企業にとって特に重要です。
「社外」向け周年記念の企画3選
社外向けに周年記念を企画する場合は、ステークホルダーに日ごろの感謝を伝えるだけではなく、新たなビジネスにつなげることが大切です。ここでは、効果的な施策についてご紹介します。
01イベントを開催する
記念パーティーなどを企画し、顧客や取引先などを招待するケースはよく見られます。記念パーティーで、ステークホルダー向けに自社のビジョンや戦略を発表すると今後の関係強化につながります。また、特に売上に貢献した代理店を表彰するのもおすすめです。社内向けの周年記念と比較すると、エンターテインメント性が強いイベントを開催している企業が多いです。
02記念品の贈呈
社外関係者を対象とし、周年記念として記念品を贈呈するのもひとつの方法です。オリジナルグッズや限定品をプレゼントすれば、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。また、周年記念の企画として新商品を配付すると、さり気ない宣伝が可能です。イベントを開催するのが難しい場合でも、記念品の贈呈なら比較的簡単に実現できます。
なお、周年記念品は、使い道が限定されないものが適しています。使い道が限定されていると、人によってはほとんど使用できない可能性もあるためです。また、単に品物を贈るのではなく、自社からの感謝の気持ちが伝わるような工夫を施すことが大切です。イベントや式典で周年記念品を手渡す場合は、持ち帰りやすいかどうかも重要なポイントになります。
03消費者キャンペーンの実施
社外向けの周年記念としては、消費者に対して特別なキャンペーンを開催する場合も多くあります。たとえば、特設サイトを公開し、期間限定の商品を販売したり、抽選で旅行や商品券などをプレゼントするといったものです。周年記念としてキャンペーンを打ち出せば、大きな注目を集められる可能性があり、高い宣伝効果を期待できます。
周年記念の事例3選
周年記念は、実際にどのように行われているのでしょうか。具体的な事例を紹介します。
01顧客向けに周年記念イベントを実施した化粧品メーカーの例
ある化粧品メーカーでは、ステークホルダーとの関係強化を目的とした周年記念イベントを企画しました。具体的には、顧客との思い出を発表する企画を開催しました。さまざまな顧客の思いを理解するきっかけになり、顧客のニーズに合わせた商品やサービスを提供したいという意識が一層強まったとのことです。
02周年記念式典を実施したソフトウェア企業の例
あるソフトウェア企業は、社員や関係者を多方面から招待し、ホテルの宴会場を貸し切って、大規模な周年記念式典・パーティーを開催しました。経営陣のメッセージを紹介するだけではなく、設立当初から現在までの歴史を振り返って、経営層と社員、社員同士の関係強化につなげました。
03SNSを活用した周年記念キャンペーンを実施した飲料メーカーの例
ある飲料メーカーは、SNSを活用した周年記念キャンペーンを実施しました。写真を投稿すると、抽選でオリジナルの記念品が当たるキャンペーンです。応募期間は約1ヶ月間とし、多くの顧客からの注目を集めました。自社製品の宣伝としても高い効果を発揮しました。
周年記念企画の手順
周年記念の企画は、少なくとも1年前から取り組む企業が多いようです。ただし、社史編纂のように時間がかかる作業がある場合には、2~3年程度前から準備を始める企業もあります。ここでは、周年記念の企画の手順について解説します。
01目的・方針を決める
まずはミーティングを設け、周年記念の目的や方針を定めます。目的や方針によって周年記念の企画内容も変化するため、自社の状況や目指す姿を考慮しながら目的や方針を検討する必要があります。
02周年記念担当メンバーを決める
周年記念の企画を進めるための担当メンバーを決定します。周年記念は、さまざまな作業が発生するため、あらかじめ組織を立ち上げておくことが大切です。役職者を責任者としたうえで、現場で作業を進める社員を割り振ります。
周年記念の担当メンバーとしては、社内で異なる世代や部署、役職の人を選ぶのがおすすめです。さまざまな立場の人を巻き込めば、全社的に周年記念の企画に取り組めます。
また、社内で人望が厚い人やモチベーションが高い人を選ぶのも重要なポイントです。企画を率先して進めてくれそうな人財を集められると、周年記念を成功させやすくなります。
03企画立案
具体的な企画を立案する際は、最初に定めた目的や方針に基づいて検討します。イベントの内容だけではなく、予算、日時、開催場所などの詳細も決める必要があります。周年記念のキャッチコピーやロゴを考えると、より盛り上がります。
04告知・実施
周年記念を成功させるためには、関係者への告知も重要です。社内イントラに特設サイトを立ち上げたり、社内報に随時準備状況を掲載したりとPR活動も検討が必要です。周年記念は、イベント開催の前後も重要です。
05振り返りと反省
周年記念の企画が終了したら、振り返りや反省を行います。参加者からアンケートをとると、より具体的な改善点がわかります。周年は数年間隔で行われることが多いため、次の周年の際は、担当メンバーが全員入れ替わっていることがよくあります。そのため、改善点をまとめて資料として残すことは、次の周年記念の企画に際して、非常に大事なポイントになります。
周年記念でよくある失敗の理由
周年記念で失敗する場合、どのような理由があるのでしょうか。いくつかご紹介します。
プロジェクトメンバーのコミュニケーション不足
周年記念が失敗するときは、プロジェクトメンバーがうまく連携できていないケースが多いです。時間が合わずなかなかメンバー同士が集まらず、コミュニケーション不足に陥るケースです。周年記念を成功させるためには、プロジェクトメンバー同士の関係をしっかり構築することが大切です。
誰のための周年記念であるのかが不明確
対象が明確になっていないと、周年記念の企画を実施しても盛り上がらない可能性があります。対象が社員やその家族である場合と社外関係者である場合では、最適な企画の内容は異なるからです。経営陣の周年記念に対する思いを理解したうえで、参加者が心から楽しめるイベントを開催する必要があります。
周年記念を成功させるためのポイント
周年記念を成功させるためには、さまざまなことに配慮する必要があります。ここでは、具体的なポイントをご紹介します。
01目的を明確にしておく
周年記念では、何をするのかよりも何を伝えるかが重要です。そのため、最初の段階で目的を明確にしておかなければなりません。周年記念の目的は企業によってもさまざまです。感謝の気持ちをしっかり伝えたいという企業もあれば、ブランディングにつなげたいという企業もあります。
02経営陣との打ち合わせを十分に行う
周年記念では、社長をはじめとする経営陣の思いや意見を尊重して企画を推進する必要があります。経営陣を巻き込み、計画を進める過程でしっかり打ち合わせができるようにしなければなりません。
03周年記念イベントの開催を事前に十分に浸透させる
周年記念のイベントを開催するときは、事前の周知が重要です。社内外に対して着実にイベントの情報が伝わるよう、告知に力を入れる必要があります。イベントの開催日時や場所だけでなく、企画の内容や理念も伝わるようにするのがポイントです。
まとめ
周年記念は企業にとって重要な行事です。ステークホルダーのエンゲージメントを高める非常に良い機会です。企業が次の5年、10年とありたい姿に向かって進むためのリスタートの機会だとも言えます。社員に対して、これまでの会社の歩みを共有することで、アイデンティティを再確認したり、新しい企業理念を浸透させたりとインナーブランディングに最適な場です。また顧客に対しては、これからの経営戦略を伝えたり、新商品・新サービスを発表したりするなど、自社への企業理解の深化の場とするのがおすすめです。周年記念の効果を高めるためには、まずは目的・方針を明確にすることが大切です。そのうえで内容を検討していきます。イベントを開催したり記念品を贈呈したりし、各企業がさまざまな工夫を凝らした企画を実施しています。周年記念は単なる祝い事ではなく、社内外の関係強化やプロモーションとしても大きな効果をもたらします。自社のイメージに合わせ、最適な周年記念の企画を打ち出すことが重要です。貴社でも次の節目に周年記念イベントを行い、ステークホルダーのエンゲージメントを高めませんか。