採用活動に関する企業の悩みの一つに「辞退をする内定者の増加」が挙げられます。そのような中、多くの企業が内定者懇親会を実施しています。内定者懇親会は、内定辞退を防ぐことを主な目的に、内定を出した時点から入社までの間に行われます。本記事では、内定者懇親会の開催メリットや実施内容、実施手順などを詳しく解説します。採用担当の方は、有意義な内定者懇親会の開催に向け、ぜひご覧ください。
INDEX
内定者懇親会とは
内定者懇親会は、内定者と企業のエンゲージメントを強化することで、内定辞退を防止することが主な目的です。自社について理解を深めたり、内定者同士や内定者と社員の親睦を深めるなど、さまざまなプログラムが実施されています。内定者懇親会を実施する場合、内定者の入社意欲を高めると同時に、不安を抱く内定者に対する積極的なフォローがポイントになります。
内定者懇親会を実施するメリット
ここからは、内定者懇親会を実施するメリットについて解説します。
自社理解により、入社意欲の向上が期待できる
内定者懇親会を開催すると、内定者に自社の雰囲気を感じ取ってもらえ、入社意欲を高めることができます。内定後に、本当にこの企業に入社して良いのかという不安にかられる内定者は少なくありません。内定者は、自分が入社する企業の企業理念・ビジョン・事業内容などを改めて理解することで、入社までの日々を安心して過ごせます。
内定者同士の交流により、仲間意識を醸成できる
内定者同士の交流を深められる点も、内定者懇親会のメリットです。内定者同士が仲間意識を感じると、入社への不安を軽減でき、内定辞退防止が期待できます。近年はSNSなどを通じて個々のオンラインでの交流も活発化しています。しかし、内定者懇親会のように、大勢で交流を深める機会も大切です。
内定者をより深く知ることができる
コロナ禍において、多くの企業が対面での面接を控え、オンラインでの面接が主流となりました。このような中、実際に会って、内定者の人となりを知る機会は非常に貴重だと言えます。また面接ではわからない、集団に入った時の内定者の特性も知ることができます。内定者の特性を知ることは、入社後の配属先を決めるうえでの重要な情報の一つです。
内定者懇親会の主な実施内容
内定者懇親会で企画されることが多い、食事会や交流会、グループワーク・職場見学について解説します。
食事会
食事会とは、食事やお酒を通じて適度にリラックスしながら、内定者同士や内定者と社員との親睦を深める企画です。真面目な面接の場とは打って変わり、食事会では自然なやり取りが見込め、内定者の本音を知る機会になります。バーベキューを開催するなど、共同作業を通じて参加者同士を近づけようとする企業もあります。
交流会
交流会ではゲームや座談会などを実施します。社員も含めて交流会を企画すると、深まった関係性を入社後にも活かせます。なお、社員に参加してもらうためには開催時刻が重要です。食事会とは異なり、交流会は就業時間内の開催が可能です。定時後の時間を育児や家事に充てたり、お酒の席が得意ではない社員も、就業時間内の開催なら内定者懇親会に参加しやすくなります。
グループワーク・職場見学
グループワークは、相互理解や自社理解が深まるようなテーマの設定がおすすめです。社員に発表を聴いてもらうと、内定者を知る機会にもなります。また、内定者に働くイメージを持ってもらうには、オフィスや作業現場の見学がおすすめです。若手社員によるお仕事講座も有効です。内定者に自社への理解を深めてもらうだけでなく、改めて自らの言葉で自社を紹介する機会は、若手社員の成長にもつながります。
企業の内定者懇親会実施事例
株式会社ウィル様は、毎年の内定式に、内定者だけでなく社員を交えた200名規模の大運動会を実施してきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、内定者の運動会への参加は取りやめとし、運動会後のバーベキューからの参加としました。バーベキューでは、テーブルごとの人数を減らすなど感染症対策を講じつつ、バルーンで歓迎のゲートを作るなど、内定者に楽しんでもらう工夫を取り入れました。この年の内定者懇親会も、「社員と打ち解けられた」と内定者から好評でした。企業としても、「新しい形式にチャレンジする姿勢を世間や内定者にアピールできた」と手応えを感じています。
詳しくはこちら
内定者懇親会を実施する際のステップ
内定者懇親会の成功には、入念な準備が必要です。ここでは、内定者懇親会を実施するステップを解説します。
STEP01内定者懇親会の開催時期を決定する
まずは、開催時期を決定します。開催時期は、内定者が集まりやすい時期の選定がポイントです。例えば、内定者懇親会が大学のテスト期間や卒論の提出時期と重なると、内定者にとってスケジュール調整が大変ですので、内定者に負担を感じさせないような設定が必要です。また、内定式のタイミングで開催すると、内定者の参加率を高められます。定期的に複数回行うのもおすすめです。
STEP02内定者懇親会の企画を立案する
開催時期が決まったら、目的に沿う具体的な企画を考えます。内定者にリラックスして交流を楽しんでもらいたいのなら、カジュアルな雰囲気の食事会がおすすめです。入社への不安を解消してもらいたい場合は、具体的な働き方や自社の魅力が伝わるように、社員を交えた交流会が向いています。企画の内容が決まったら、目的に適した会場を予約し、準備物を手配します。
STEP03社員に周知し、内定者に連絡をする
開催時期と企画が決まったら、社員に内定者懇親会を周知するとともに、内定者へも案内をします。内定者にはメールで連絡し、日程・場所・イベントの大まかな内容・社員の参加の有無・服装・出欠連絡の締切日などを伝えます。
事前に詳細を伝えるほど、内定者の心理的ハードルが下がり参加率を高められます。また、グループワークを開催する際は、内容によっては事前に課題を伝えておくとスムーズです。
STEP04内定者懇親会を開催する
円滑に企画を進行できるよう、必要な準備を行います。機材がない、時間の読みが甘いなどの部分を見せると、内定者に不安を感じさせてしまう恐れがあります。事前にリハーサルをすると、内定者懇親会に必要な機材や道具を把握できます。なお、当日に遅刻や欠席が発生する可能性もあるため、臨機応変な対応が重要です。
内定者懇親会の満足度を高めるポイント
内定者に、「内定者懇親会に参加して良かった」と感じてもらえると、内定辞退を避けられる可能性が高まります。内定者懇親会を行う際のポイントは次の4つです。
社員も積極的に参加する
内定者同士だけの懇親会では、入社後の雰囲気を把握しづらく不安が残りかねません。社員にも参加してもらい、内定者に実際に働く社員の人柄や、社員同士の関係性など企業の雰囲気を感じてもらうことが重要です。年齢や性別、部門、職種を問わずさまざまな立場の社員に参加してもらうと、内定者はたくさんの情報が得られます。
気軽に楽しめるような企画を考える
面接の場のような堅苦しい懇親会は、内定者を緊張させてしまいます。懇親会の場にふさわしい、気軽に楽しめるような企画が望まれます。また、企画の段取りも重要です。自己紹介やゲームのあとにグループワークや交流会をするなど、内定者の気持ちをほぐす配慮が求められます。
オンライン懇親会も検討する
感染症対策から、対面での懇親会は企画しにくいと考える企業も多いのではないでしょうか。コロナ禍によりWeb会議システムやアプリ使った内定者懇親会も行われています。オンラインとオフラインを使い分けた懇親会もおすすめです。以下ではオンライン懇親会のメリット、デメリットを解説します。
オンライン懇親会のメリット
オンライン懇親会のメリットは、開催時期を柔軟に決めやすい点です。個々が在宅で参加できるので、新型コロナウイルス感染症の状況によらず開催が可能です。また、会場まで移動する時間が不要となるため、わずかな時間でも開催しやすくなります。全国に内定者がいる場合でも移動がないため全員が参加できます。会場を確保する費用や交通費を削減できる点も、オンライン懇親会のメリットです。
オンライン懇親会のデメリット
オンライン懇親会では、通信環境の確認が必要です。通信環境によっては音声や動画が途切れてしまい、参加者のストレスを生んでしまう場合もあります。また、オンラインのイベントは開催や参加がしやすい分、通常のイベントに比べて断りにくいものです。不参加者の心労を避けることも考慮しなければなりません。
定期的に開催する
複数回に分けて内定者懇親会を実施すると、定期的に接点を持つことができ、内定者と企業のエンゲージメント向上が期待できます。企業への理解も徐々に深めることができます。定期開催のポイントは、出会えるメンバーを変えるように工夫することです。多くの内定者がいる場合には、さまざまな人とのコミュニケーションが可能となり、引き合わせられる社員の人数が増えるほど、内定者は入社後の姿をより強くイメージできます。
内定者懇親会を行う際の注意点
内定者懇親会の実施にあたっては注意点もあります。内定懇親会の内容によっては、内定者にとってネガティブな経験となる恐れがあります。社員や社風などが自分に合わないと感じると、内定辞退につながりかねません。
内定者は、懇親会が始まった直後は緊張しています。特に最初のグループ分けの際は、選考過程のデータを基に相性の良さそうなメンバーを固めるなどの工夫が求められます。 また、懇親会そのものが苦手な内定者もいるため、別途フォローを検討しておくことも重要です。
まとめ
内定者懇親会は、内定辞退を防ぐための重要な手法です。有意義な内定者懇親会にするためには、時期や企画を熟考する必要があります。社員も巻き込んだ懇親会にすると、内定者同士の親睦に加え、社員とのつながりも生まれ、働くイメージが湧くと思われます。なお、これからの内定者懇親会では、新型コロナウイルス感染症への対策が欠かせません。状況に応じてオンラインでの内定者懇親会もご検討ください。
最後に、新入社員研修に関するホワイトペーパー(お役立ち資料)をご紹介します。コロナ禍での新入社員研修において、各企業はどのような対応をしたか、Withコロナのニューノーマル時代を各企業はどのように捉えているか、新入社員研修の動向や傾向をまとめています。新入社員研修ご担当の方は、ぜひご覧ください。