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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 昔ながらの素材が大人気…世界市場における「日本食人気」の現状

2023.05.09
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欧米だけでなく、近年は中国やアジア圏でも健康志向が高まりを見せていると言います。そんな中、日本食の人気はうなぎのぼりですが、とくに昔ながらの「発酵食品」は、SDGsの観点からも注目を集めています。日本の食材が世界でどのように受け入れられているのか、また今後はどのように海外市場へアプローチしていくべきなのか、見ていきます。

ブームは何度目か?世界を席巻する日本食

国外での日本食ブームは歴史が古く、1960年代後半に、巨大市場であるアメリカで巻き起こりました。「寿司バー」が大人気になったこと、また脂肪分やコレステロールの少ない食生活が連邦政府により推奨されたこともあり、条件に適う日本食に熱い注目が集まったのです。そしてそのブームは、やはり肉食中心のヨーロッパ大都市にも波及しました。1970年代以降に欧米で制作された映画の中では、日本食レストランで食事をする主要キャラクターの姿が頻繁に登場します。日本食は、ひとつのトレンドになったのです。

それから数十年の時を経た現在、日本食ブームが新たな高まりを見せています。2013年にはユネスコが、和食を無形文化遺産に登録。そして農林水産省が令和3年に発表したデータによると、海外における日本食レストランの数は15.9万件に上り、コロナ禍以前の2017年から2019年の2年間で、1.3倍に増加しました。

欧米や中米、そしてオセアニアにおいて、日本食レストランはすでに定着しています。ではそれ以外のエリアの内実を、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

01中国

コロナ禍以前の日本に訪れるインバウンドの中で、多勢を占めたのは中国人でした。彼らの日本食体験が、SNSを通じて中国国内に拡散されました。また「かもめ食堂」「深夜食堂」といった日本食がテーマとなっている日本の映画・ドラマが動画配信サービスを通じ人気を集めました。これらに後押しされ、日本食への関心が一層高まっている傾向があります。

近年の中国では上海や北京といった大都市だけでなく、大連や青島、蘇州や杭州といった地方都市でも日本食レストランが続々と開店。人気を集めています。

02中東

先述の農林水産省発表のデータによると、近年日本食レストランの増加が著しいのは中東エリア。特にアラブ首長国連邦(UAE)の中心都市・ドバイにおける現象と考えられます。ドバイは移民の数が全体の90%という都市なので、日本食が受け入れられやすいのでしょう。

日本貿易振興機構が2021年に行った調査の結果、UAE内の日本食レストランの軒数は288店。その8割は寿司店ですが、近年は「焼きそばパン」が人気のパン店やラーメン店など、庶民的なメニューを提供する店舗も増加中です。

03タイ

親日感情が高いタイには数多くの日本食レストランが開店しており、「吉野家」や「とんかつ和幸」など、馴染み深いチェーン店の展開も目立ちます。また経済成長に伴う富裕層の拡大が顕著な近年においては、寿司や焼き肉を提供する高級店も増加しているようです。

日本貿易振興機構が2022年に行った調査の結果、タイではすべての県内に日本食レストランが開店しており、総店舗数は5,325軒。前年に比べ20%以上の伸び率と、まさに日本食ブームが沸騰中です。

世界を魅了する「うま味」

「うま味」をご存じでしょうか?うま味は甘味や塩味、酸味や苦味と同列にある、「5大基本味」のひとつです。しかしイメージがしやすい他の4味に比べ、うま味と聞いてもピンとこない人がいるかもしれません。またおいしさを表現する「うまみ・旨味・旨み」とは、似て非なる同音異義語です。

甘味は砂糖、塩味は塩。ならばうま味とは?「グルタミン酸」、「イノシン酸」、「グアニル酸」などがその成分にあたります。具体的には鰹節や煮干し、昆布など、日本料理の風味を決定づける「出汁」の味こそが、うま味なのです。

欧米や中国の料理にはソースが多用されており、時に食材を覆いつくしてしまいます。素材の持ち味をシンプルに引き出す日本料理は、そのミニマリズムにおいて世界中の人々を驚かせました。近年の日本食ブームの中には、寿司や天ぷらだけでなく、うま味が活きる蕎麦や煮物も含まれます。そして必要以上の味を添加せずメニューを成立させる調理法が、世界的に高まる健康志向に見事合致するのです。

世界が注目する日本の発酵食品の力

先に紹介した中国や中東などに比べ、早い段階から日本食に魅了されてきたアメリカでは、日本食ブームもネクストフェーズに進んでいます。そのキーワードになるのが「発酵食品」。アメリカの食文化にもヨーグルトやチーズなどの発酵食品があり、その価値は十分に認識されてきましたが、近年は納豆やぬか漬け、そして味噌など、日本人に馴染み深い発酵食品が大きな注目を集めています。

日本の10倍以上の価格で販売される納豆

ファストフードやメガ盛りの文化が爛熟したアメリカでは、毎日の食生活によって健康を害す人が後を絶ちません。その反動から特に富裕層の間で食の健康への関心が上昇。ロサンゼルスの高級オーガニック食材ブティックチェーン「エレウォン・マーケット」では、納豆が20ドル近い高値で販売されるという現象も起きています。日本で一般的に販売されている納豆に比べ、10倍以上の高値なのですから驚きです。

またコロナ禍は、「日本の発酵食」ブームの追い風ともなっています。パンデミックやロックダウンを経験したアメリカ人が、自己免疫力の重要性を再認識した結果、豊かな発酵食文化を持つ日本食に注目しているのです。

とは言え、発酵食品には独特の風味があります。たとえば納豆を食べ慣れないアメリカ人が「パンの上に載せてランチにしよう」と考えても、なかなか習慣化には至りません。このため同国で納豆ブランドを展開する日系人は、アメリカの食生活に合致する納豆メニューをSNS上で発信するなど地道な販売努力を続けています。

日本の発酵食品が、SDGsへつながる取り組みを生む

近年高まりを見せる環境意識によって可視化されたフードロスの削減は、世界各国の課題。また工業型畜産の流れの中ではフードロスだけでなく、温室効果ガスの発生など、深刻な環境負荷につながる問題が多数発生しています。

そんな中「日本の発酵食のアイデアを問題解決へ活かそう」と考える人たちが世界中で増加。特にアメリカのPrime Roots社は日本の麹菌を活かし、菌類を構成する菌糸を原料とした代替肉を開発しました。他社の代替肉は大豆やエンドウ豆を原料としていることが多いため、Prime Roots社の試みは大きな反響を呼んでいます。菌類がヘルシーで消化は容易な原料であることも強みとなっているのです。

このように近年のアメリカでは、日本食を楽しむだけでなく「日本の食文化を研究し、新たな価値を創造しよう」という動きが活発になっています。

世界各国でさまざまな分野に属す人々にインスピレーションを与える日本食の価値は、今後もますます高まりそう。日本人自身も社会問題を鑑みつつ、新たなアプローチを模索すべき時が来ています。


まとめ

今回、海外における日本食のブームについて紐解いてみました。そのブームは私たちがイメージしているよりもはるか昔、60年ほど前からという事実は驚きだったのではないでしょうか。
一方、日本食の注目ポイントは、時代時代によって変わってきていることも明らかとなりました。昨今、世界的に注目されているSDGsの観点でも日本食が注目されているという事実は、海外展開でのキーポイントになるでしょう。
海外視点で日本を考える。すべての業界においてビジネス創出のヒントになるのではないでしょうか。


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