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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 デール・カーネギー流 ダイバーシティプログラム~企業の成長につながる多様性の本質を学ぶ~

2025.12.15
HR(Human Resources)
人材・組織力強化
従業員満足(ES)向上

2025年10月31日、JTB主催の「デール・カーネギー流 ダイバーシティプログラム~企業の成長につながる多様性の本質を学ぶ~」が、千葉県長生郡長柄町にある、広大な敷地を持つ体験型リゾート施設「リソルの森」にて開催されました。

『人を動かす』の著者デール・カーネギーの人間関係論を、座学と実践で学ぶ本プログラム。その様子をレポートにてお届けいたします。

目次が表示されます。(編集禁止)

デール・カーネギー×JTB×アクティビティで学ぶダイバーシティ経営

本プログラムの根幹にあるのは、「ダイバーシティ経営の起点は『他者の尊重』にある」という考え方です。一般的な属性別(性別、国籍、障害の有無など)の理解にとどまらず、人は誰もが異なる経験や価値観を持つ多様性の当事者です。

そこで「デール・カーネギー流 ダイバーシティプログラム」では、「知と経験のダイバーシティ」という考え方をもとにプログラムを提供しようと考えました。この想いとデール・カーネギーの教えを組み合わせ、他者を尊重する姿勢と行動を学ぶのが、プログラムの特徴です。

「デール・カーネギー流 ダイバーシティプログラム」ではクオリティを保つため20名という制限を設けた上で、ユニークな強みを持つ3社が協力してプログラムを提供します。

デール・カーネギー・トレーニング

1912年に発足以来、カーネギーの理論に基づく人間関係、コミュニケーション、リーダーシップなどのトレーニングを提供

チームビルディング・ジャパン

実践に重きを置き、多様性のあるチームビルディングや組織開発を支援

JTB

ツーリズム事業をはじめとした数々の事業のノウハウを活かし、人と人、人と地域の交流を促す「交流創造事業」を展開

デール・カーネギー・トレーニングが他の企業と提携しプログラムを提供するのは、日本で初の取り組みでもあります。プログラムを通して、多様な「知と経験」が組織内で自由に交わされ、化学反応を起こします。それにより生まれる集合知が、企業の競争優位性やイノベーション創出の源泉になると私たちは考えています。

「他者尊重」相手を深く知り関係構築する方法

プログラムは、デール・カーネギー・トレーニングの認定トレーナー仲澤尚氏による座学からスタートしました。仲澤氏からは、プログラムを通じて覚えておいてほしいデール・カーネギー『人を動かす』の9つの原則が紹介されました。

  • 批判、非難もしない。不平も言わない。
  • 率直に誠実な感謝や賞賛を与える。
  • 強い欲求を起こさせる。
  • 誠実な関心を寄せる。
  • 笑顔で接する。
  • 名前は当人にとって、最も快い、大切な響きを持つことばであることを忘れない。
  • よい聞き手になる。相手に自分のことを話させる。
  • 相手の関心に合わせて話をする。
  • 重要感を与える―誠意を込めて。

この原則のもとに行われたのは、他者尊重のためのトレーニングです。まずは3~4名からなるグループをつくり、世代間ギャップや人事と現場の視点の違いなど、価値観の違いを感じた経験を共有します。その上で、価値観が認められなかった経験を語り合い、他者との「違い」にまつわる会話がなされました。

その後、2人1組になり会話のトレーニングを実施。ただ会話をするのではなく、以下のポイントをもとにお互いの関係を深めていくことが仲澤氏から提案されました。

  • 質問項目は名前、住まい、家族、仕事、旅行、趣味・スポーツ、関心事
  • それぞれの質問項目を結びつけるように情報を関連付けて整理すること(メモリー・リンキングテクニック)
  • 質問中は作業をせず、相手をしっかり見て心から聞く
  • 相手の話に興味を持ち、質問を深掘りしていく
  • ただし、住まいや家族などセンシティブな話題は、相手が話しだした場合のみ深掘りする(コンプライアンスへの配慮)

後日のアンケートコメントには、「共通点を探しながら聞くことで、楽しみながらも内容がしっかり頭に残りました。2日経った今でも覚えているのは驚異的です」「明日からの部下との対話にすぐ活かせそうです」といった声が寄せられました。

成功の鍵を握る5つのドライバーと人間関係の原則

デール・カーネギーは、成功者には共通して、ある分野の能力が高いことを発見しました。それこそが、次に紹介する「5つのドライバー」です。

  • 自信
  • 人間関係
  • コミュニケーション
  • リーダーシップ
  • ストレスコントロール

仲澤氏は受講者様に、多様性の中で他者とコラボレーションして成果を上げていくために、自分はどのドライバーを高めたいか?を考えるよう促します。自問自答とディスカッションで、受講者様からは「リーダーシップに悩んでいる」「ストレスコントロールに苦労している」など、率直な悩みが打ち明けられました。

このうち、リーダーシップを効果的に発揮するうえで、重要な3つの段階が必要だとカーネギーは考えました。

  1. 人間関係を強化する
  2. 喜んで協力してもらえる関係を作る
  3. (その結果として)効果的なリーダーシップが発揮できる

この3段階のうち、もっとも重要かつ土台となる人間関係を強化するために、カーネギーがまとめたのが「人間関係の9つの原則」です。そこには、「批判も非難も不平も言わない」「誠実な関心を寄せる」など、シンプルながら実践が難しい原則が並んでいます。

受講者様は、「これらの原則をどう実践するか」「特に難しいのはどれか」を議論しました。そして、仲澤氏からあるワークが出されます。それは、「人間関係を良くしたい相手を一人思い浮かべて、どの原則を使えば有効かを考える」というもの。

受講者様は「アシスタント業務を担うメンバーのステップアップのために、『強い欲求を起こさせる』という原則を活用したい」など、それぞれの考えを共有してくださいました。

アクティビティから学ぶダイバーシティの理解と実践

「デール・カーネギー流 ダイバーシティプログラム」は、学びを実践に移せることを重視しています。そこで行われたのが、森の中でのアウトドア・アクティビティです。

研修先のリソルの森は、約100万坪という広大な敷地内に豊かな自然と宿泊施設、健康施設、スポーツ施設が完備されています。また、オリンピックの各国代表やプロスポーツ選手など、トップアスリートの練習拠点としても活用されています。

そんなリソルの森のアクティビティをリードするのは、チームビルディング・ジャパンの河村甚氏。河村氏が提案したアクティビティは、チームの連携が必要不可欠な「流しビー玉チャレンジ」です。

「流しビー玉チャレンジ」は名前のとおり、「流しそうめん」のように、竹筒を使ってビー玉をスタートからゴールへと運びます。受講者様は2チームに分かれて、制限時間内にできるだけ多く届けることを目指します。一見簡単そうですが、このアクティビティにはいくつものルールが設けられています(ルールの詳細は、ぜひプログラムに参加してお確かめください!)。

その場で与えられる簡単なルールによって思いもよらぬ制約を受け、ビー玉を次の人へ確実に渡すための綿密なコミュニケーションが必要になります。ちょっとしたことなのですが、ゲームの難易度があがりルールによって、流れを止めないための試行錯誤が求められます。もちろん、ミスしてビー玉を落としてしまっても、ミスを責めず即座にリカバリーする対応力も重要です。

ここで雨が降ってしまい、アクティビティは施設内で行うこととなりました。ものの試しということで、まずは屋外で1回目のチャレンジをスタートすることに。両チームとも苦戦を強いられ、3分間のチャレンジ終了時、両チームともゴールまでビー玉を届けることはできませんでした。

2回目のチャレンジに合わせて、2チームは作戦会議に入ります。すると、1回目の失敗で得た感覚を元に、具体的な改善策が次々と出されました。どうすればビー玉を落とさないか、誰がどの役割を担うかを話し合い、迎えた第2回チャレンジ。スタートの合図と共に、会場の空気は一変します。

「ゆっくり、ゆっくり」「うまいよ!」「大丈夫、大丈夫!」

1回目とは異なり、互いを励まし状況を共有するポジティブな声掛けが響き渡ります。その結果、一方のチームは3個のビー玉をゴールさせることに成功。最後の3回目では、両チームともに複数のビー玉をゴールへと届けられました。

アクティビティ終了後、受講者様の振り返りでは、いくつもの会話が交わされていたことが明かされました。

「背格好の大きな私が短い竹筒を持っているのを見かねて、『背の低い私が持つよ』と言ってくれた。おかげで途中からすごく楽になりました」
「個人的に『そのプランはどうなんだろう』と思ったアイディアも、非難せずまずはやってみるの精神で取り組みました」

それぞれの違いを理解したり、意見の相違を受け入れたりするという、他者を尊重する姿勢が、2回目、3回目の成果へとつながったのです。会議室という状況を逆手に取り、折り返し地点を設置し、新たなゲーム要素を追加するなどの工夫により、アクティビティは屋外とそん色ない盛り上がりを見せました。

心理的安全性と自己開示の関係

アクティビティ後は、再び仲澤氏による座学が行われました。テーマは、心理的安全性を築くための他者尊重の重要性です。そして仲澤氏は、他者尊重にはまず自分を知ってもらうための「自己開示」が不可欠だと語ります。

プログラムでは、「自分自身が経験した過去のことで、現在の自分のベースになっている経験」を語ることで、自己開示の練習を行うことに。ここでは、相手の印象に残る話し方のポイントとして、「物語形式(ストーリーテリング)」で語ることが紹介されました。

デール・カーネギー・トレーニングの認定トレーナーである佐々木千鶴氏のデモンストレーションをもとに、受講者様は多様なバックグラウンドについて語っていきました。

  • 会社への不満から一度は退職を決意したが、社内のデジタル化を推進したことがきっかけで働くモチベーションを取り戻した
  • 仕事のミスを叱責されると思ったが、自身をいたわる上司の言葉から自分も人のやる気を引き出せる人間になりたいと思った
  • 野球で大怪我をした時、周囲の人たちから優しく介抱してもらったことをきっかけに、人に優しくすることの大切さを痛感した

ワーク後、受講者様からは「会社でもみんなが聞いてくれる、受け入れてくれるという環境を作れれば、自己開示しやすくなり職場の風土も変わる」という意見が出ました。

認め合う文化、感謝し合う文化の構築

プログラムの終盤に行われたのは、「お互いの良いところを認め、しっかり伝えていく」ことの効果を体験するセッションです。互いの良いところを認め合うというのは、モチベーションや心理的安全性に直接作用します。日本では「暗黙の了解」のように、口に出さない文化もありますが、言葉にして伝えることは、他者尊重の第一歩です。

そこで役立つのが、カーネギー流の認め方・褒め方の技術です。例えば、カーネギー流のメソッドでは褒め方に3つのポイントがあり、それらを押さえることでより相手を尊重したメッセージになります。プログラムではこうしたポイントを一つひとつ学び、受講者様同士で互いを称賛し合うワークを行いました。

最初は緊張や照れが見られたものの、ワークが進むにつれて、会場は温かい空気に包まれていきます。ワーク終了後、受講者様からは万感の思いがこもった感想がもれました。

「涙が出そうになりました」
「大人になってここまで褒められる機会はなかったので、嬉しかったです」

職場にいると、「できて当たり前」という空気感が醸成されやすく、他者から明確に「認められている」と感じる機会は激減します。このワークは、人から認められることがどれほど心を動かし、ポジティブなエネルギーを生み出すかを鮮明に示しました。

受講者様の声:今日の学びを明日からの生活に役立てたい

最後に、受講者様から今日の感想をいただきました。

「今日のワークを通して、改めて相手を深く知ることの大切さを学びました。今日学んだことを、仕事に限らず生活のさまざまな場面に活かしたいです」

「広々として自然の多い環境が素晴らしいと思いました。特に午後のアクティビティは非常に盛り上がりました。実践的なワークが多くエンタメ性もあるため、一般的な研修が苦手な人も楽しく学べると思います」

「デール・カーネギー・トレーニングは歴史が長いため、理論が洗練されており、分かりやすく学べると思い参加しました。研修で学んだことやコミュニケーションのコツを参考に、職場の仲間と関係性を深めたいと思います」

「各セッションのワークは制限時間が短く設定されていて、常に新鮮な気持ちを保てました。自分の話を真剣に聞いてもらえたことが嬉しかったし、相手の意見を尊重することの大切さを改めて学べました。プログラムのように、お互いに話を聞いて尊重し合う時間を職場にも作りたいです」

「一人ひとりが他者に関心を持ち、深く理解しようと努め、そして相手の良いところを具体的に認め伝える」。ダイバーシティは、こうした日々の地道な行動の積み重ねによって築かれる文化です。

お互いの強みを認め合い、尊重し合う「心理的安全性」の高い土壌があってこそ、多様な人材は安心して個々の能力を発揮し、それがやがて組織全体のイノベーション創出へとつながっていきます。ダイバーシティというと男女や障害といった属性が思い浮かびますが、知識や経験を含む多様性=ダイバーシティこそ、企業の成長に欠かせない要素です。

企業の成長は、机上の戦略ではなく、現場の「人」と「人」との温かい関係性から始まる。それを多くの受講者様が実感したのではないでしょうか。

今回は体験会ということで、日帰りにてプログラムを開催しました。本来のプログラムは一泊二日のスケジュールで、カーネギーの教えをさらに深く学ぶ座学やアクティビティを行います。また焚き火を囲んでの自己開示など、屋外の環境を活かしたセッションなども実施いたします。

自然に囲まれた特別な環境のなかで、多様性を経営に活かすとは何か?を今一度見つめ直す。ぜひこのプログラムで、そんな体験をしていただければ幸いです。

本記事に関するお問い合わせ、ご相談、ご不明点などお気軽にお問い合わせください。

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