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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 クルマと旅が紡ぐ体験価値の創造。レクサス×JTBが語る富裕層マーケティングの新潮流

2026.02.02
ミーティング&イベント
会議・イベント運営
売上拡大・販売促進

富裕層マーケットが拡大する中、どのように顧客の心を掴み、長期的な関係性を築いていくのか。多くの企業がアプローチに試行錯誤しているのではないでしょうか。

2025年11月14日、レクサスとJTBの対談セッションをメインとしたサロン形式イベント「第7回JTB Engagement Salon 」を開催しました。

テーマは「レクサスとJTBの富裕層マーケティングから考える新しい体験価値創造」。富裕層の価値観を捉え、顧客エンゲージメントを高める「体験価値創造」のヒントをお届けします。

DX推進

JTB Engagement Salonとは・・・
皆さまとJTB、そして皆さま同士の絆を生む機会にしたいという想いから企画した、特定のビジネステーマについて考え、ディスカッションし、気づきを得ることを目的としたサロン形式のイベントです。テーマに関する理解を深めるのみでなく、同じ悩みを抱える異業種の担当者との交流の場として、多様なテーマにて開催しています。

目次が表示されます。(編集禁止)

お話を伺った方

島田 泉 氏

トヨタ自動車株式会社
Lexus International
BRレクサスSDV推進室 電動車エネルギーマネジメントグループ 主任
島田 泉 氏

2024年1月よりトヨタ自動車株式会社に入社。レクサスバッテリーEVオーナー向け専用プログラム「LEXUS Electrified Program」の企画・運営として、顧客満足度を高めリテンション率を向上すべく食、旅など体験サービスの強化と認知向上を推進。前職のソニー株式会社では新規事業の商品企画やBtoB領域の営業、マーケティングを担当。

谷 宏司

株式会社JTB
ツーリズム事業本部 ロイヤルロード事業部 マーケティング戦略部 マーケティング戦略担当部長
谷 宏司

1991年、株式会社JTB入社。1998年に東京 丸の内にオープンした、ロイヤルロード銀座の前身組織「ロイヤル倶楽部」の開設に携わり、富裕層向けパッケージ旅行「夢の休日」ブランドを立ち上げる。その後、2003年のロイヤルロード銀座の開設にも携わり、商品造成や富裕層顧客の新規開拓を担当。現在は、マーケティング戦略部でマーケティングおよび富裕層マーケット開発を担う。

ラグジュアリーブランドとしての成長

――まずは両社の富裕層向け事業の取り組みについて発表していただこうと思います。トヨタ自動車の島田様、よろしくお願いいたします。

島田 泉様(以下、島田)

私は現在、トヨタのブランド「レクサス」のバッテリーEV(電気自動車、以下BEV)オーナー様向けの専用プログラム「LEXUS Electrified Program」の企画運営を担当しております。

レクサスは、トヨタのラグジュアリーブランドとして1989年に米国で誕生しました。ブランドとして静粛性や乗り心地といった品質の追求など、新しいことへの挑戦を続けてきた結果、2023年には世界での販売実績が85万台を突破しました。また、電気自動車比率※は全体の52%に到達しています。2024年には誕生から35周年を迎え、ブランドとして長い実績を築いてきています。

ハイブリッド自動車(HEV)/プラグインハイブリッド自動車(PHEV)を含む

35周年を迎え、ブランドとして新しい動きにも乗り出しています。その一環として、10月30日~11月9日に開催された「Japan Mobility Show 2025」にて、トヨタグループ全体のブランディング再構築が発表されました。

その中でレクサスは、ラグジュアリーの中心で「さらに自由に進化を目指す」というコンセプトを掲げています。その象徴が「Discover」という言葉です。この言葉には、お客様がクルマと共に新たなライフスタイルを発見していくという想いが込められています。

例えば、ショーで大々的に展示したコンセプトカーは、従来の「ラグジュアリーセダン」を意味するLSではなく、「ラグジュアリースペース」としてのLSを提案しました。クルマを単なる移動手段ではなく、移動する道中そのものを体験に変える空間にしようという考え方です。

現在、レクサスは冒険的で革新的なブランドとして、お客様の新しい発見につながる価値を提供していくために試行錯誤を続けているところです。

――島田様はBEVを担当されているとのことですが、レクサスの電動化戦略についても教えてください。

島田
レクサスはBEVのラインナップ拡充を積極的に進めています。2020年のコンパクトSUV「UX300e」に始まり、2023年にはBEV専用プラットフォームで作られた「RZ」を発売しました。

今年発表した新型RZでは、モーターの高出力化や航続距離の伸長、充電時間の短縮など、スペック面でも大きな進化を遂げています。

富裕層に寄り添い続ける旅のプロフェッショナル

――続いて谷さん。JTBの富裕層向け事業について紹介をお願いします。

谷 宏司(以下、谷)

私は1998年から富裕層マーケットに携わっています。現在に至るまで、ラグジュアリー旅行専門店「ロイヤルロード銀座」や、富裕層向けパッケージ旅行「夢の休日」の立ち上げに関わってきました。

「ロイヤルロード銀座」は、2003年9月に東京・銀座の並木通りにラグジュアリートラベル専門店としてオープンしました。その後、全国のお客様からのご要望に応え、名古屋と大阪にも拠点を構えています。

JTBというと赤い看板の店舗をイメージされるかもしれませんが、私たちの店舗は、富裕層のお客様をお迎えするにふさわしい、落ち着いた高級感のある空間作りを心がけています。オープンから20数年、旅を通じて富裕層のお客様と対話を重ね、そこで得られた知見こそが、私たちの最大のケイパビリティ(能力)だと考えています。

JTBの富裕層向け事業は、以下の4つの柱から成り立っています。

  1. 「夢の休日」に代表される富裕層向けパッケージ旅行
  2. お客様一人ひとりのご要望にお応えするオーダーメイド旅行
  3. 海外富裕層向けの訪日旅行
  4. 富裕層を顧客に持つ企業様と連携し、私たちの旅行サービスをご活用いただくBtoBtoC事業

例えば「夢の休日」は、国内・海外ともに「ゆったりと贅沢に旅を楽しんでいただく」がコンセプトです。ご参加されるお客様は開業医やオーナー経営者の方が中心で、平均旅行代金は国内で約60万円、海外では約300万円となっています。この旅行の価値は、内容もさることながら、「同じ価値観や経済レベルの方々と一緒に旅ができる」という点に強く感じていただいており、高いご支持をいただいています。

一方、オーダーメイド旅行ではお客様の価値観をどれだけ深く理解できるかが重要になります。例えば、南仏の高級リゾート地にある、かつてロスチャイルド家が所有していた邸宅を貸し切り、ウェディングを挙げられたお客様がいらっしゃいました。日本からプライベートジェットをチャーターしてのご旅行の料金は、約1億5,000万円です。別のお客様には、「静かな時間を過ごしたい」というご要望に対し、島を丸ごと貸し切る約1,500万円のご旅行をご提案しました。

いずれも非常に大きな金額に感じられますが、ここで重要なのは、富裕層のお客様はご自身の価値観やニーズを満たすものであれば、金額を惜しまないということです。提案する側である私たちが「これは高いかも」と自分の物差しで測ってしまっては、特別な旅行は決して生まれません。お客様の価値観を正しく理解し、寄り添うことが何よりも大切だと考えています。

最後のBtoBtoC事業は、富裕層を顧客にお持ちの企業様と連携して、パッケージ旅行やオーダーメイド旅行を提供し、顧客ロイヤルティの向上を図るというものです。具体例としては、クレジットカード会社様の上級カード会員様向けに、ご旅行を販売するといった取り組みが挙げられます。

――ありがとうございます。こうした旅行を利用するお客様のリピート率は高いのでしょうか?


非常に高く、約9割のお客様にリピートしていただいております。一方で、若年層の富裕層のお客様にはなかなかリーチできていないという点が、現在の大きな課題の一つです。

両社が捉える「富裕層」の実像とアプローチの課題

――ここからは、両社がターゲットとする「富裕層」について深掘りしていきたいと思います。JTBでは、富裕層をどのように定義していますか?


野村総合研究所様が出されている「純金融資産保有額によるマーケット規模の調査」によると、純金融資産1億円以上の「富裕層」、5億円以上の「超富裕層」のお客様を意識した商品作りを行っています。これらの層は世帯数として伸びていますが、日本全体の世帯数から見るとわずか2.9%程度であるため、どうリーチしていくかが常に課題です。レクサス様はいかがですか?

出典:野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計|野村総合研究所(NRI)

島田
レクサスの場合は範囲がもう少し広く、純金融資産5,000万円以上1億円未満の「準富裕層」からがターゲットになると考えています。レクサスの場合、一度購入されたお客様のリピート率が非常に高い一方で、JTB様と同様に若い層のお客様をどう取り込んでいくかという点で、共通の課題を抱えています。

――新しい若い世代の富裕層、いわゆる「ニューリッチ」へのアプローチが共通の課題ということですね。こうした層と従来の富裕層とで、価値観の違いなどを感じることはありますか?


「オールドリッチ」と呼ばれるお客様と近年台頭しているニューリッチのお客様は、価値観が全く異なると感じています。

例えば、先ほど紹介した「夢の休日」といったパッケージ旅行は、同じようなバックグラウンドの方々と一緒に旅をすることに価値を感じていただいています。しかし、ニューリッチの方々が同じコンセプトの旅を求めるかというと、おそらく違うでしょう。

オーダーメイド旅行でも、行き先は豪華にしたいけれど飛行機はエコノミークラスでいいとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。これまでの私たちの常識が通用しなくなってきているので、プロダクトやサービス自体を変えていく必要があると感じています。

島田
同感です。特に今の20代のお客様は短期間で資産を築かれる方も増えており、これまでの世代とは全く違う価値観をお持ちだと感じます。レクサスとしては、「お父さんやお母さんがレクサスに乗っていたから」といった、家族を起点としたブランドの継承など、若い方への継承サイクルを作っていくことは重要だと考えています。

――新しい価値観を持つ富裕層に対し、具体的にどのようなアプローチを模索されていますか?


彼らがどこに関心を持っているかを常に探っています。そのうちの一つが、「海外不動産投資」です。当社では、投資や移住といった目的で若い富裕層が集まるドバイなどをターゲットに、現地の不動産会社と提携してセミナーを開催するなど接点作りに注力しています。

もう一つの取り組みは、デジタルへの対応です。当社では近日中に、暗号資産で決済ができる新しい旅行サイトがオープンします。サイトではNFTなどを活用しつつ、今までにない体験を通じてニューリッチのお客様と積極的に関わっていく予定です。

参照:JTBが富裕層に向け「anyBOUND」展開へ、オンチェーンの世界へ進出|JTB

島田
私たちも試行錯誤の最中ですが、今までとは違う市場に目を向けることを大切にしています。例えば現在、協業しているダイニングサービスを通じて分かったのですが、シェフの方々はクルマや時計が好きな方が非常に多い。そして、彼らのコミュニティは非常に強いつながりを持っています。

このように、これまであまりアプローチしてこなかった方々にレクサスを体験していただき、そこからネットワークを広げていくという取り組みを始めています。

エンゲージメントを高める「体験価値創造」の取り組み

――両社が実践する「体験価値創造」について、具体的な取り組みについて教えてください。

島田
レクサスでは、お客様の心の豊かさに寄り添い、「素の自分になれる時間や空間」をクルマと共にお届けしたいと考えています。その思想を具現化したのが、私が担当するBEVオーナー様専用プログラム「LEXUS Electrified Program(LEP)」です。

このプログラムには大きな目的が二つあります。一つは、航続距離や充電に対するBEVの不安・不便の解消。そしてもう一つが、レクサス独自の体験価値の提供です。

不安解消の面では、高出力なメーカー直営の充電ステーションを全国の主要都市に展開しています。東京ミッドタウン日比谷にもありますが、アプリで事前予約ができ、充電中は隣接のカフェでお過ごしいただけるなど充電時間を快適にする工夫も凝らしています。

これらの取り組みは、充電という行為のネガティブな要素をゼロにするというものです。それに加えて、プラスの価値を創造するためのサービスが、レクサス独自の体験価値の提供です。

このように、同じ目標を持つ共創パートナー様と共に、レクサスのBEVだからこそ楽しめる特別な時間を提供しています。

――ここミッドタウン日比谷には、「LEXUS MEETS...」という直営カフェがありますね。

島田
「LEXUS MEETS...」は、レクサスの車作りの想いを込めたコンセプトカフェです。ミッドタウン日比谷の充電ステーションで充電中のお客様には、こちらでスイーツなどを無料でご提供しています。

私たちが目指しているのは、「充電が苦にならない」、もっと言えば「あそこに行きたいから充電しに行く」というくらい、お客様の価値観を変えるようなサービスです。BEVの不安や不便がないのはもちろんのこと、レクサスのBEVを買ってよかった、と思っていただけるような体験を作っていきたいと考えています。


今の話を聞いて、やはり「非日常の体験」をいかに提供するかが非常に重要だと改めて感じました。富裕層のお客様は、普段なかなかできない特別な体験を求める傾向にあります。レクサス様はまさに、それを具体的に実践されているのだなと思います。

――JTBの体験価値創造の取り組みも聞かせてください。


私たちが主に行っているのは、他社様との共創による体験の提供です。

例えば、ある金融機関様と特定のお客様に向けたツアーを企画しました。その金融機関様では、預金残高に応じてお客様にステージを設けています。そして、最上位ステージの会員様限定で、チケット入手が困難な「ザルツブルク音楽祭」に行くツアーを企画しました。

すると、下のステージのお客様が「どうしてもこれに行きたい」と、ご自身で預金残高を増やして最上位会員になられ、ツアーにご参加いただいたのです。商品そのものの希少性と、会員限定という限定感がお客様の心を動かした好例です。

また、レクサス様とも共創ツアーを実施しました。「夢の休日」の四国を巡るツアーの中で、レクサスに試乗していただく機会を設けたのです。移動には、私たちが保有する座席わずか10席のラグジュアリーバスを使用しました。この2つを通じて、移動そのものの体験を特別感あるものとして演出したことで、お客様から多くのご好評をいただきました。

――いずれも素晴らしい取り組みですね。体験価値を創造する上で、根底にある考え方や大切にしていることはありますか?

島田
デジタル化が進む時代だからこそ、「人」の価値はむしろ高まっていると感じています。

レクサスは創業以来、販売店での対人接客や、ボタン一つでコールセンターにつながる機能など、「人」を軸にしたおもてなしを大切にしてきました。最後の最後で人の助言によって心が動かされるという体験は、AIがどれだけ進化してもなくなりません。人によるおもてなしという部分は、若年層に対しても含め、残し続けていくべきだと考えています。


同感です。共創においては、パートナー企業様と「同じ価値観」を共有できているかが鍵になります。お客様にどのような体験をしていただきたいか、というゴールが一致していなければ、良いパートナーシップは築けません。自分たちだけのリソースではできないことを補い合い、一緒にお客様に満足していただく。その姿勢が何より重要です。

ライフスタイルに寄り添うパートナーを目指して

――最後に、両社が今後チャレンジしていきたいこと、目指す未来についてお聞かせください。

島田
私たちがチャレンジしたいのは、お客様の購買行動を変えるほどのサービスを作ることです。高価格帯のクルマを購入する際には、性能や補助金などさまざまな要因が絡みます。そうではなく、「『LEXUS Electrified Program』があるからレクサスを買おう」と思っていただけるような、ライフスタイルブランドへと進化させていくことが目標です。


私たちは、富裕層のお客様とどれだけ長いお付き合いができるか、という点を追求していきたいです。旅行にはどうしても健康の問題がついて回ります。ですから、お客様に長く健康でいていただくためのサポートを他の企業様と組みながら提供するなど、旅という領域を超えてお客様の人生に寄り添っていきたい。

ライフスタイルそのものを支えるパートナーになれるかどうかが、私たちのチャレンジです。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

顧客との関係は、取引を越えて「絆」を育むものです。

JTBでは独自の「カスタマーロイヤルティマネジメント®」メソッドを開発し、顧客ロイヤルティ分析、ロイヤルティ向上戦略の立案から具体的な施策の開発・運営まで、一貫したコンサルティングサービスを提供し、様々な法人企業様の事業発展の支援をしています。

満足度だけでなく、共感や信頼を育み、ブランドへの愛着を高めることで、企業と顧客の未来をより豊かにします。このメソッドでは、企業と顧客・商品・サービスの間の「絆のコンディション」を可視化し、好感体験の積み重ねによって生まれる感情を分析。ロイヤルティが何で醸成されているのかを体験ベースで把握し、具体的な打ち手を導きます。

――JTBは豊富な実績と独自の知見で、企業の挑戦を支え、強固なロイヤルティ構築をサポートします。

参照:お客様との絆を醸成・向上させるJTB独自のコンサルティング|JTBコミュニケーションデザイン

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