リモートワークが「当たり前」となった現代、多くの企業が直面しているのが社員のエンゲージメント低下やコミュニケーション不足という課題ではないでしょうか。オフィスでの偶発的な会話が減り、チームの一体感が希薄になる中で、「組織が活性化しない」「メンバーのモチベーションが上がらない」と感じている方も少なくないはずです。
しかし、物理的な距離があっても、社員同士の絆を深め、組織を強くする方法は存在します。その鍵を握るのが、オンラインチームビルディングゲームです。
本記事では、オンライン環境下で実践できるチームビルディングゲームの具体的な実践例を徹底解説します。単なる遊びで終わらせず、確かな効果を出すための「成功の秘訣」まで、余すことなくお伝えします。
記事の最後には、オンラインソリューション戦略的活用のすゝめをご用意しました。ぜひダウンロードいただき、貴社の組織活性化にご活用ください。

オンラインチームビルディングゲームとは?その目的とメリット
リモートワークが浸透した現代において、「オンラインチームビルディングゲーム」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、「単なるレクリエーションでしょ?」と捉えている方もいるかもしれません。ここでは、その本質と、組織にもたらす多大なメリットについて深掘りしていきます。
オンラインチームビルディングゲームの定義と目的
オンラインチームビルディングゲームとは、ビデオ会議ツールやオンラインホワイトボード、専用のプラットフォームなどを活用し、物理的に離れた場所にいるチームメンバーが協力・交流することで、チームとしての結束力や生産性を高めることを目的とした活動全般を指します。
一般的なレクリエーションが「楽しむこと」を主眼に置くのに対し、チームビルディングゲームは明確な「目的」を持っています。具体的には、以下のような目的を達成することを目指します。
- コミュニケーションの促進
- 日常業務では生まれない対話の機会を創出し、情報伝達だけでなく、感情や考えの共有を促す。
- 相互理解の深化
- メンバーの個性、価値観、強み、意外な一面などを知り、互いへの理解を深める。
- 心理的安全性の確保
- 失敗を恐れず発言できる、安心して協力し合える雰囲気を作り出す。
- 協力体制の構築と課題解決能力の向上
- 共通の目標に向かって知恵を出し合い、協働する体験を通じて、チームとしての課題解決能力を高める。
リモートワーク環境におけるオンラインチームビルディングゲームの重要性
物理的な距離があるリモートワーク環境では、オフィスで自然発生していた偶発的なコミュニケーションが激減します。結果として、「チームの一体感が薄れる」「メンバーの孤立感が増す」「情報共有が限定的になる」といった課題が生じがちです。
こうした中で、オンラインチームビルディングゲームは、意図的にコミュニケーションの場を設け、チームの「つながり」を再構築するための重要な手段となります。場所を選ばずに参加できる柔軟性は、普段接点の少ない部署間の交流を促したり、子育てや介護中の社員でも気軽に参加できる環境を提供したりと、オンラインならではのメリットを最大限に活かせます。ゲームを通じて、普段の業務では見えないメンバーの意外な一面を発見し、人間的な魅力を感じ取ることも可能です。
エンゲージメント向上に貢献する理由
では、なぜオンラインチームビルディングゲームが社員のエンゲージメント向上に貢献するのでしょうか。そのメカニズムは多岐にわたります。
- 一体感の醸成と帰属意識の向上
- ゲームを共に楽しみ、達成感を分かち合うことで、「自分はチームの一員である」という強い一体感が生まれます。これが会社への帰属意識を高め、エンゲージメント向上に直結します。
- 心理的安全性の向上と発言しやすい環境
- 安心して本音を話せる場が提供されることで、業務においても建設的な意見交換が活発になります。自分の意見が尊重される環境は、社員のモチベーションと満足度を高めます。
- 相互理解の深化と協力体制の強化
- メンバー間の信頼関係が深まると、困った時に助け合える協力的な文化が育ちます。これにより、業務効率が向上し、個々の社員が「貢献できている」という実感を持ちやすくなります。
- ストレス軽減とリフレッシュ効果
- 業務とは異なる楽しい時間を共有することで、ストレスが軽減され、心身のリフレッシュに繋がります。ポジティブな感情は、仕事への意欲を高める上で不可欠です。

【目的別】リモートワーク主体の組織を活性化するオンラインチームビルディング例
前章では、オンラインチームビルディングがリモートワーク環境におけるチームの一体感醸成やエンゲージメント向上に不可欠な戦略的施策であることを解説しました。ここでは、オンラインチームビルディングの主要な目的ごとに、具体的な活動例とそのポイントを簡潔にご紹介します。これらの活動は、明確な意図を持って設計・実施することで、組織に確かな効果をもたらします。
目的01コミュニケーション促進
リモートワークでは、オフィスで自然発生していた雑談や立ち話が減少し、コミュニケーションが業務連絡に偏りがちです。意図的に非公式な対話の機会を設け、心理的な距離を縮め、円滑な情報共有を促します。
- オンラインチェックイン・チェックアウト
- 会議の冒頭や終わりに短い非業務的な質問を共有することで、心理的バリアを低減し、発言しやすい雰囲気を作ります。
- テーマ別オンラインランチ / コーヒーブレイク
- 少人数グループでカジュアルなランチやコーヒーブレイクを設け、業務外の交流や気分転換を促します。
- オンラインクイズ大会 / 共通点探し
- メンバーの趣味や会社の歴史に関するクイズ、または共通点を見つける活動を通じて、楽しみながらチームの一体感を醸成します。
目的02相互理解を深める
互いの個性や価値観、強みや弱みを理解することは、信頼関係構築の土台となります。オンラインでの活動を通じて、メンバー一人ひとりの人間性を深く知る機会を創出します。
- オンライン他己紹介ワーク
- 2人1組でインタビューし合い、相手の紹介をチーム全体に行うことで、新たな視点でのメンバー理解と傾聴力を養います。
- 個人の「トリセツ(取扱説明書)」共有ワーク
- 各自が自身の働き方の特徴やコミュニケーションの好みをまとめ共有することで、相手に合わせた円滑なコミュニケーションを促進します。
- オンライン「人生曲線」共有ワーク
- 自身のモチベーションの浮き沈みを曲線で示し、その背景を語り合うことで、メンバーの価値観や経験への深い理解と共感を育みます。
目的03心理的安全性を確保するための活動例
チームメンバーが「自分らしくいられる」「安心して発言できる」と感じる心理的安全性は、創造性や生産性の向上に直結します。オンラインでも、このような環境を意図的に作り出すことが可能です。
- Good & New / 感謝の言葉リレー
- 最近あった良いことや発見、または感謝したいことを共有することで、ポジティブな雰囲気と承認し合う文化を醸成します。
- 困りごと・課題の共有会(匿名性も考慮)
- 業務上の小さな悩みや課題を共有し、チームで解決策を議論することで、助け合いの文化とチームへの信頼感を向上させます。
- 失敗談から学ぶワークショップ
- 各自の失敗談とその学びを共有することで、失敗を恐れず挑戦できるマインドを育み、チームのレジリエンスを強化します。
目的04協力体制の構築と課題解決能力向上
チームとしての連携を強化し、実務における課題解決能力を高めるためには、共通の目標に向かって協力する体験が不可欠です。オンライン環境でも、インタラクティブな活動を通じてこれを実現できます。
- オンライン脱出ゲーム / 謎解きゲーム
- チームで協力してオンライン上の謎やパズルを解くことで、共同での問題解決能力、役割分担、コミュニケーション能力を向上させます。
- オンラインホワイトボードを活用したブレインストーミング&アイデアソン
- MiroやMuralなどのツールを使い、特定の課題についてチーム全員でアイデア出しから解決策の検討までを行うことで、創造性と協働による課題解決力を高めます。
- オンラインビジネスシミュレーション
- 仮想のビジネス環境で経営判断を下し、目標達成を目指すことで、戦略的思考力、データ分析力、チームでの意思決定プロセスを実践的に改善します。
これらの実践例は、各組織の文化や目的に合わせてカスタマイズし、単発で終わらせずに継続的に実施することが重要です。活動後の振り返りを通じて学びを深めることで、オンラインチームビルディングはリモートワーク主体の組織が持続的に成長するための強力な推進力となるでしょう。

オンラインチームビルディングを成功させるための秘訣
オンラインでのチームビルディングは、物理的な制約があるからこそ、事前の準備と当日の運営、そして事後のフォローアップが成功の鍵を握ります。ここでは、効果的なオンラインチームビルディングを実現するための重要なポイントを解説します。
POINT01目的の明確化とプログラム設計
どのような効果を期待するのかを明確にし、それに合致したプログラムを設計することが成功の第一歩です。
- 目標設定
- 「部門間連携強化」「心理的安全性の向上」など、具体的な目標を設定する。
- 参加者配慮
- 参加者の職種やIT習熟度、年齢層、参加可能時間などを考慮し、全員が楽しめる内容を選定する。
- 時間配分
- 休憩を適切に挟み、集中力が続く適切な時間設定を心がける。(1~2時間程度推奨)
- ツール選定
- 活動内容に適したビデオ会議システムやオンラインホワイトボードを選び、操作方法を共有する。
POINT02ファシリテーションの質向上
オンライン環境では、オフライン以上にファシリテーターの役割が重要になります。スムーズな進行と参加者のエンゲージメント維持を意識しましょう。
- 事前の準備
- 進行役はプログラムの流れとツールの操作を完全に把握し、可能であればリハーサルを実施する。
- 声かけ・誘導
- 発言が少ないメンバーへの声かけや、議論の方向転換など、場の活性化に努める。
- タイムキープ
- オンラインでは時間が延びやすいため、厳格な時間管理で進行する。
- トラブル対応
- 音声・画面共有の問題やツールの不具合に備え、ヘルプ体制や代替案を用意する。
POINT03参加しやすい環境と雰囲気作り
参加者が安心して、積極的に関われる環境を整えることが、活動の効果を最大化します。
- 参加の自由度
- 基本的に自由参加とし、「やらされ感」を排除する。
- アイスブレイク
- 本題前に簡単なアイスブレイクを設け、緊張をほぐし、発言しやすい雰囲気を作る。
- カメラオン
- 一体感のため推奨するが、心理的負担にならないよう強制はしない。
- ルール共有
- 発言方法、チャット利用、ミュートなど基本的なルールを事前に共有する。
POINT04活動後の振り返りと継続的な改善
一度の活動で終わらせず、その後の行動や次の活動に繋げることが、真のチームビルディングへと繋がります。
- 振り返り
- 活動後にアフターミーティングの時間を設け、学びや気づきを共有する。
- フィードバック
- アンケートなどで率直な意見や改善点を収集し、次回に活かす。
- 成果共有
- 活動の様子や参加者の声、得られた成果を社内で共有し、意義を発信する。
- 定期的実施
- 一過性ではなく、定期的に異なる目的や内容で実施し、効果を継続させる。

導入時の注意点
オンラインチームビルディングを成功させるためには、事前の準備段階で陥りやすい落とし穴を避け、効果的に導入することが重要です。円滑なスタートを切り、参加者が安心して活動に臨めるよう、以下の点に特に注意して導入を進めましょう。
- 目的の明確化と共有
- なぜこのオンラインチームビルディングを行うのか、参加者にどのような効果やメリットを期待するのかを具体的に伝え、活動の意義に対する納得感を醸成することが不可欠です。これを怠ると、参加者は活動の真意を見出せず、「やらされ感」が先行してモチベーションが低下します。結果として、表面的な参加に留まり、チーム内の連携強化や相互理解といった本来の目的が達成されにくくなります。
- 事前の周知徹底
- 日程、時間、参加方法、使用ツール、準備物などを十分に余裕を持ってアナウンスし、不明点を解消する機会を設けるべきです。周知が不十分だと、当日になって参加者が集まらなかったり、必要な準備(例えば、特定の資料やWebカメラの準備など)ができていなかったりする事態が生じます。これにより、開始が遅れたり、スムーズな進行が妨げられたりして、貴重なセッション時間が無駄になるだけでなく、参加者の不満やストレスにも繋がってしまいます。
- ITリテラシーの差への配慮
- 参加者のITスキルレベルは多様であることを前提に、操作が簡単なツールを選定するか、必要に応じて事前の操作説明会やヘルプ体制を用意しましょう。ITリテラシーの差を考慮しないと、特定の参加者がツールの操作に戸惑い、発言の機会を逃したり、活動から疎外感を感じたりする可能性があります。これにより、本来ならば活発な議論や交流が生まれるはずが、技術的な障壁によって参加意欲が削がれ、チームビルディングの効果が半減してしまいます。
- 心理的安全性の確保
- 特に初回のセッションでは、参加者が失敗を恐れず、安心して発言や行動ができる雰囲気作りを意識し、少人数でのブレイクアウトセッションなどを活用することが有効です。心理的安全性が確保されていない環境では、参加者は他者の目を気にして本音を言えなくなり、表面的な交流に終始してしまいます。活発な意見交換や率直なフィードバックが期待できず、チームメンバー間の深い信頼関係の構築が困難になるため、チームビルディングの根幹が揺らいでしまいます。
- 短時間からのスタート
- 最初から長時間のプログラムを設定するのではなく、まずは30分~1時間程度の短時間から始め、徐々に慣れてもらうことをお勧めします。初めから長時間のセッションを設定すると、オンラインならではの疲労感(いわゆる「Zoom疲れ」など)が早期に表れやすくなります。集中力の低下や飽きを招き、次回の参加意欲を削ぐ原因となりかねません。まずは負担の少ない時間で成功体験を積ませることが、継続的な活動へと繋がる鍵となります。
まとめ
オンラインチームビルディングは、単なる娯楽に留まらず、リモートワーク環境下でのコミュニケーション不足の解消、相互理解の深化、心理的安全性の醸成、そしてひいては生産性向上へと繋がる、多岐にわたるメリットを組織にもたらします。ゲームという形式を通じて、メンバーはリラックスした雰囲気の中で本音で交流し、新たな一面を発見しながら、自然と強固なチームワークを育むことができるでしょう。
もし、自社内において、コミュニケーションに課題を抱えているようでしたら、ぜひこのオンラインでもできるチームビルディングゲームを、人材育成や組織開発のための戦略的な投資として検討してみてはいかがでしょうか。多様な働き方に対応し、メンバー間のエンゲージメントを高め、より生産的で、何よりも働きがいのある組織へと進化させる「鍵」となるでしょう。
さらに、オンラインチームビルディングを成功させるための具体的なノウハウや、貴社に最適なプログラムを見つけるヒントについては、「オンラインソリューション戦略的活用のすゝめ」の資料の中でご紹介しています。ぜひ貴社の組織活性化にご活用ください。
