周年事業ブランディングとは、企業の創立や創業からの事業継続を祝う節目の年を企業ブランディングにつなげる方法です。新しいファンを作るきっかけになり、企業としてさらに飛躍するチャンスです。この記事では、企業の周年事業ブランディングの企画担当者に向けて、周年事業ブランディングの成功事例や実施の流れをご紹介します。
周年事業ブランディングとは
周年事業ブランディングとは、創立や創業からの節目の年を活用し、企業ブランドを確立する手法です。周年は、社内外から注目を集めやすいトピックスです。このタイミングで自社の経営理念や商品・サービスの魅力を発信すれば、効果的なブランディングにつながります。
周年は、普段は触れる機会がない創業秘話や企業の歴史も発信しやすいため、新たな顧客に自社に興味をもってもらえたり、既存顧客には自社への理解深化のきっかけにしてもらうことができます。
周年事業ブランディングを行うメリット
10年、20年と企業が事業を継続できているのは、社員や顧客がいるからこそです。周年記念のタイミングで社員や顧客に感謝の気持ちを伝えることで、エンゲージメントを強化できます。その他にも周年事業ブランディングにはさまざまなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットについて解説します。
01 周年事業ブランディングを行うメリット 社員のモチベーションを高める
社員の日頃の努力に対する感謝を伝えれば、仕事に対するモチベーションを高められます。周年記念では改めて自社の経営理念を社員へ共有し、確認してもらうのが効果的です。自社に対する理解を深めてもらえれば、仕事へのモチベーション向上とともに企業としての一体感も高まります。
また、社員同士のコミュニケーション活性化もメリットの1つです。社員の交流を促すことで相互理解が深まり、結果、他の社員の仕事に協力しようという気持ちが生まれやすくなります。
02 周年事業ブランディングを行うメリット取引先・株主との信頼関係を強める
周年事業ブランディングに取り組めば、取引先や株主との信頼関係の強化につながります。取引先や株主にも日頃の感謝の気持ちを伝え、今後も良好な関係を築いていきたいという意思を改めて示すのがポイントです。
それと同時に、新商品や新企画を発表するのも効果的です。記者会見やプロモーションを実施すれば、新しいビジネスチャンスを獲得できるかもしれません。周年事業ブランディングの機会をうまく活かせば、取引先や株主に興味をもってもらうことができます。
03 周年事業ブランディングを行うメリットリブランディングにも最適
リブランディングとは、自社のブランドのイメージを刷新し、新しいイメージを定着させることを意味しています。何の前触れもなくリブランディングを行う場合は、周囲からネガティブな印象をもたれる可能性があります。しかし、周年記念のタイミングは転換期ととらえられるため、計画的にリブランディングを進めればポジティブな印象を与えやすくなります。そのためには自社の歴史を再確認しつつ、未来に向けて飛躍するためのリブランディングであることをアピールする必要があります。
周年事業ブランディングの成功事例
周年事業ブランディングに成功している企業はたくさんあります。ここでは、周年事業ブランディングの成功事例をご紹介します。
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 様
10周年の記念の取り組みとして外交官 杉原千畝の偉業を紹介するイベントを開催。新型コロナウイルスの流行により、当初の予定を変更してオンラインでのイベントに切り替えました。リアルイベントとは異なり多言語対応ができたため、より多くの人に参加してもらえました。海外からの反響も多く、当初の想定よりも遥かに高い効果を得られました。
ハーゲンダッツジャパン株式会社 様
創立35周年を記念し、消費者向けのキャンペーンを実施しました。消費者に特別な価値を提供し、日頃の感謝の気持ちを伝えることが目的です。また、取り組みを通じてコアファンをさらに増やしたいという思いもありました。
具体的には、商品の原料の生産地を訪ねたり、オリジナルのデザートを味わえるオリジナルツアーを開催。参加者からは高い評価を得られ、「商品がさらに好きになった」「また参加したい」という声が多く寄せられました。
某人材サービス会社 様
40周年を祝うため、社内向けのキックオフイベントを開催。新型コロナウイルスの感染対策のため、オンラインで配信するスタイルを選択しました。ただし、プログラムのひとつである表彰式は、社長と受賞者のみを同じ場所に集めて実施しました。
オンラインで開催したため、会場への来場が難しい社員も参加できました。また、表彰式では受賞者に対して特別な演出ができ、離れた場所で見ている社員をしっかり惹きつけられました。
周年事業ブランディングを実施する流れ
周年事業ブランディングを実施する際は、さまざまな準備が必要です。実施の流れを順番にご紹介します。
01目的・コンセプトを決める
まずは、周年事業ブランディングの目的やコンセプトを明確に設定する必要があります。すぐに目的やコンセプトが決まらない場合は、現状を紙に書き出すとイメージしやすくなります。これまでの自社の歩みを振り返り、現在の課題や今後提供していく価値などを整理することが大切です。複数人でブレストを実施したり、ワークショップ形式で行うのも効果的です。目的やコンセプトが決まったら、どのようなメッセージを発信するのか検討しましょう。単に周年記念を祝うだけでなく、自社のブランディングにつながるメッセージにするのがポイントです。
02プロジェクトメンバーを選任する
周年事業ブランディングの企画を進めるためにはさまざまな準備が必要です。そのため、社内からプロジェクトメンバーを専任し、チームを結成する必要があります。世代や部署、職種を横断してメンバーを選定すると効果的です。プロジェクトメンバーに周年事業の意義をしっかり伝えると、企画に取り組むモチベーションを高められます。実施内容によっては、プロジェクトメンバーだけでなく、ほかの社員の力も必要になるかもしれません。その場合は、積極的に社員を巻き込みながら進めることが重要です。
03企画立案をする
周年事業ブランディングにかけられる予算を意識し、具体的な企画を決めていきます。企画の内容が決まったら、時間軸に合わせて準備の計画を立てていきましょう。プロジェクトメンバーの役割分担も重要です。周年事業ブランディングの企画立案をするノウハウが自社にない場合は、周年事業を支援している会社を利用する方法もあります。魅力的な企画を練るには、さまざまなポイントがあるため、状況に合わせて利用すると効果的です。
04準備・事前告知を行う
周年事業ブランディングを成功させるためには、事前告知が重要です。社内向けの場合はあらかじめ周年事業ブランディングのコンセプトを浸透させると、当日を楽しみにする社員が増えます。社外向けの場合はプレスリリースで情報を発信するのがおすすめです。そのためには、イベントの会場の確保、Webサイトの構築、パンフレットやグッズの制作などの多岐にわたる業務を余裕をもって進めていかなければなりません。
05企画を実施する
企画を実施するフェーズに入ったら、それまでの準備をもとにイベントやキャンペーンを実施していきます。あらかじめ決めた計画に基づき、タスクを着実に進めていくことが大切です。企画の内容によっては臨機応変な対応が求められる可能性もあるため、さまざまな状況に対応できるようにしておく必要があります。
06振り返りを行う
企画が終了したら、振り返りを行います。プロジェクトメンバー同士で反省会を開くだけでなく、社内外からアンケートを取るなどすると具体的な改善点を把握しやすくなります。課題が明確になったら、次回の周年事業ブランディングに活かせるようまとめておくのがおすすめです。次の周年事業は、5年後、10年後と先になる可能性があります。周年事業の担当は全員変わるケースがほとんどです。ノウハウが残りにくいため、しっかり振り返りを行い、記録を残すことが大切です。
まとめ
周年事業ブランディングをうまく活用すれば、顧客とのリレーションを強化したり、社員のモチベーションを高めることができます。コロナ禍によるテレワークの浸透により、会社への帰属意識が低下していると言われています。このような時だからこそ、企業理念や方針を全員で共有する場がこれまで以上に重要となってきます。サービスを提供する社員はブランディングの最前線にいると言えます。そのため、企業理念やビジョンに対する理解を深めることは、顧客に対するブランディングにもつながります。周年事業ブランディングを成功させるためには、早い時期からさまざまな準備を進める必要があります。貴社でも、次の周年記念の機会を上手く活用するため、今から検討を始めてみてはいかがでしょうか。