新型コロナウイルスの蔓延以降、ビジネスのあり方は大きく変わりました。非接触、非対面が前提となり直接対面の機会が減少、WEB会議システムなどオンラインを活用したビジネススタイルが定着しました。PCR検査やワクチン接種が進んだとはいえ、各国における入国規制や帰国時の入国規制があることから、海外出張は依然厳しい状況と言えます。
仮に海外出張が再開できる環境になったとしても、オンライン会議やオンライン展示会は、これまでの常識だった対面での商談に代わる一つの手段として今後も定着していくでしょう。とはいえ、JTBの調査では、リアルな場の「通常では得られないコミュニケーションが図られる」「普段会えない人に会うことができる」「商品やサービスを実際に体験することができる」点に価値を感じているビジネスパーソンが多く、相対する他者との関わりが強い展示会などは「遠くても現地で参加したい」という意向が強いこともわかっています。今後は、リアルな場のひとつである海外出張のあり方、そのものの価値がより洗練されるのではないでしょうか。本記事では、変わりゆくビジネストラベル再開に向けての企業の備えについてご紹介します。
INDEX
- 進むアフターコロナ、海外出張の在り方にも変化が
- アフターコロナでの海外出張再開に必要な準備とは?
- ビジネストラベルマネジメントとは?
- まとめ
進むアフターコロナ、海外出張のあり方にも変化が
株式会社テレコムスクエアが実施したインターネットアンケート調査「海外へのビジネス渡航に対する意識調査」によると、出張に行けない現状の心境への回答のうち、「すぐにでも」18%、「できるだけ早く」31%、「皆が行くようになったら」23%を加えた、全体の72%が海外渡航再開を希望していることがわかりました。
その理由の一つとして挙げられるのが、新型コロナウイルスの蔓延以降、ビジネスのあり方が大きく変わり、今まで国内だけのマーケットにとどまっていた企業が海外市場を視野に入れるケースが増えたことにあります。
海外でビジネスチャンスを得るために、オンラインできっかけを作ったあとは現地へ赴き商談を決め、現地拠点を構えたいという意図があります。株式会社テレコムスクエアが行った調査で、海外出張を実施する目的で最も多かったのが「商談・営業」27%でした。
Web会議ツールを活用した商談や営業は着実に増えています。しかし、オンラインでの対話には微妙な空気感やニュアンスが伝わらない場合もあります。
アフターコロナは、オンラインの持つメリットとオフラインの持つメリットを掛け合わせたハイブリッド型がビジネスの主流になると予想されます。アフターコロナのビジネストラベルは、「出張する」ことの定義が変わり、オンライン以上の効果が求められるのではないでしょうか。
アフターコロナでの海外出張再開に必要な準備とは?
アフターコロナの海外出張は、出張の重要度の見極めがポイントになりそうです。そのため、企業側としても管理体制や出張規定などを見直す必要が出てきます。
では、アフターコロナでの海外出張に必要な準備にはどんなものがあるのでしょうか。企業が備えることと出張者が備えることに分けてまとめてみました。
企業が備えること
01従業員の安全を確保する管理体制
海外出張には当然ながら感染リスクが伴います。従業員本人はもちろんのこと、その家族、また移動先の関係者を感染させないための対策が必要です。万が一従業員が感染した場合、宿泊先を複数手配する、帰国後の隔離先を確保する、労災認定された場合の協力体制を構築するなどの措置が必要になってきます。
02出張規定の見直し
そもそも出張規定を見直すことも必要となります。国内事情や海外事情が悪化している場合の海外出張の基準を見直すことはもちろん、オンラインで事足りる内容なのか、海外出張の必要性を判断できるよう企業として定めておくことが必要です。
出張者が備えること
01出発前の準備ポイントは?
まず、渡航先の規制情報を確認する必要があります。渡航先によって手続きが異なる可能性があるため、必ず各国の在外公館、日本の厚生労働省や外務省などから正確な情報を集めましょう。総務や人事が情報収集を行い出張者に情報提供している企業もあろうかと思います。入国が可能なようであれば、査証(ビザ)発行※(1)の申請手続きをします。
次に、新型コロナウイルスの陰性証明書(検査証明書)を要する国も多いため、その手配を行います。検査によっては、証明書発行までに一定期間の時間を要する場合もあるため注意が必要です。
それとともに、航空券、宿泊先、送迎車など必要な手配を行います。また、万が一に備えて海外旅行傷害保険への加入を強くおすすめします。
(1)渡航に際しての査証(ビザ)の有無は各国の規定によります。
02帰国に向けての準備のポイントは?
帰国に際しては以下のことが求められています。これらは、日本人を含むすべての入国者が対象です。※(2)
01検査証明書の提出
感染症への罹患を確認するため、出国前72時間以内に実施したCOVID-19に関する検査による「陰性」であることの検査証明の提出が必要です。陰性証明書については、現地の病院での検査が必要です。予約が取れないというケースも発生しているようですので注意が必要です。
02検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書の提出
日本入国前に滞在した国・地域に応じて、検疫所が確保する宿泊施設での待機、検査が必要になります。また14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入についての誓約が必要です。
03スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用
誓約書の誓約事項を実施、位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンの所持が必要になります。
04質問票の提出
入国後14日間の健康フォローアップのため、検疫時にメールアドレス、電話番号等の連絡先の確認が必要です。
05ワクチン接種証明書の「写し」の提出
入国時・帰国時の検疫で、有効なワクチン接種証明書の「写し」を提出する方は、検疫所が確保する宿泊施設での3日間の待機や、入国後14日間の待機期間の一部が短縮されますが、「水際対策強化に係る新たな措置(20)」に基づき、令和3年12月1日午前0時(日本時間)から本措置は停止となっています。
(2)2021年12月10日現在の情報をもとにしています。日本及び各国の感染状況により変わることがあります。必ず最新の情報をご確認ください。詳しくは、厚生労働省のHPをご覧ください。
なお、厚生労働省より、日本へ入国・帰国した場合の「14日間の待機期間中」のルールが定められています。
- 自宅や宿泊施設で待機し、他者と接触しないこと
- 毎日、位置情報と健康状態の報告を行う(誓約義務)
自宅もしくは宿泊施設先へ向かうのに公共交通機関を使用することはできませんので、移動手段の手配も必要です。
また、家族がいる従業員への配慮も必要になってきます。家族と同居している場合は、万が一を想定して隔離先ホテルの手配などをしておくことも念頭に入れておきましょう。
出典: 日本へ入国・帰国した皆さまへ「14日間の待機期間中」のルール|厚生労働省
関連情報(株式会社JTBビジネストラベルソリューションズ WEBサイト)
ビジネストラベルマネジメントとは?
海外出張の復活に向けて、企業として導入を検討していきたいのが、ビジネストラベルマネジメントです。ビジネストラベルマネジメントとは、ビジネストラベル(業務渡航)に特化した旅行会社が、必要な航空会社やホテルの選定・予約・手配を代行、企業の出張を包括して支援するサービスです。
感染症対策のための検査や隔離期間の滞在先や移動手段を手配するなど、手続きも通常より煩雑になっており、業務負担も増しています。特に、新型コロナウイルスの感染拡大以前と比べると、査証(ビザ)の申請の手続きが非常に煩雑になっています。国により手続きが異なるため、各国の大使館や領事館、旅行会社等へ綿密に確認をしなければなりません。それらをプロに任せ、出張を最適化するのがビジネストラベルマネジメントです。ビジネストラベルマネジメントの導入により、管理体制の強化、業務効率化が期待できます。
まとめ
今回は、アフターコロナにおける海外出張のあり方と、海外出張再開に向けて企業が備えること、そして出張者が備えること、アフターコロナの世界において企業が導入すべきビジネストラベルマネジメントについてご紹介しました。
アフターコロナでは、オンラインの持つメリットとオフラインの持つメリットを掛け合わせたハイブリッド型がビジネスの主流になると予想されます。アフターコロナのビジネストラベルは、「出張する」ことの定義が変わり、これまで以上の効果が求められるのではないでしょうか。
より安全に海外出張を行うための体制づくりは、社全体で向き合わなくてはいけない目下の課題と言えます。社員と家族を守るだけではなく、ビジネスチャンスを逃さない意味でもビジネストラベルマネジメントを導入して海外出張を適切に管理していく体制が今後は不可欠だと思われます。出張管理・海外渡航をサポートするサービスには、出張費の清算代行やPCR検査の予約までワンストップで対応するものもあります。貴社でも、この機会にビジネストラベルマネジメントの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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通信技術や移動手段がどれだけ進化しようとも、どの企業・団体も出張は必ずあります。出張すなわちビジネストラベルのコスト適正化、業務効率化を実現する最適なソリューションを提供します。