イベントマーケティングは、企業のマーケティング活動において非常に有効な手段のひとつです。新規顧客の獲得や商品・サービスの認知度向上など、さまざまなメリットがあることから、事業を拡大するためには欠かせないマーケティング手法と言えます。
この記事では、イベントマーケティングの概要やメリット、開催のポイントなどを詳しく紹介しています。ぜひとも、イベントにおいて効果的にマーケティング活動を実施するための参考にしていただければと思います。
INDEX
イベントマーケティングとは
イベントマーケティングとは、セミナーや展示会などを開催し、リード(見込み客)の獲得ならびに育成をするマーケティング手法のひとつです。
企業の利益を増やすためには、顧客と継続的に取引を行うことが必要不可欠ですが、新規顧客との接点を作ることも重要です。そのため、さまざまな顧客との接点を創出できるイベントマーケティングは、とても有効な手法です。
イベントマーケティングの目的
企業のマーケティング活動においては、何を目的に行うのかを明確にしておけなければ、効果的な施策を打ち出すことはできません。イベントマーケティングにおいても、企業の目的は、責任者や担当者だけでなく、関わる社員にも共有しておくことが大切です。
イベントマーケティングの主な目的には、以下が挙げられます。
- 商談機会の創出・新規リード(見込み客)の獲得
- リード(見込み客)の育成
- 企業ブランディング
- 自社のサービスや商品の情報発信による知名度向上
- 既存顧客のフォロー(離脱防止や利用頻度増加の促進など)
- 自社商品に対する顧客からのフィードバック(改善への活用)
イベントマーケティングの目的を共有することは、企画や実施をスムーズに行ううえで役立ちます。
イベントマーケティングのメリット
イベントマーケティングを取り入れることで得られるメリットを、3つに分けて紹介します。
MERIT 01多くの見込み客と接点を持てる
イベントマーケティングを実行することで、自社やイベント会場において多くの見込み客との接触が期待できます。このように、マーケティングを成功させるには、見込み客と接点をいかに持てるかが重要です。また、性別や年代、職業など顧客の情報も多く収集できるメリットもあります。
MERIT 02自社製品をアピールできる
また、イベントでは、実際に商品やサービスを体験してもらえるため、自社商品やサービスの価値をアピールできます。来場者に実際に触れてもらうことにより、魅力が伝わりやすくなります。
MERIT 03リードクオリフィケーションができる
イベントマーケティングの実施は、商談に結びつく可能性が高い見込み客の選別、リードクオリフィケーションにもつながります。イベントに参加する顧客は、企業の商材やイベントのテーマなどに、はじめから興味関心があります。イベントへの参加は、資料を取り寄せたり、問い合わせたりするよりも遥かにハードルが高い行為です。それゆえ、商談につながる可能性も高くなるといえます。
イベントマーケティングのデメリット
イベントマーケティングには、メリットだけでなくデメリットもあります。ここでは2つのデメリットを紹介します。
DEMERIT 01ノウハウの有無に結果が左右されやすい
イベントが成功するかは、企業のノウハウに委ねられます。そのため、十分なノウハウがない状態での実施は、思ったような成果が得られない可能性があります。
DEMERIT 02コストがかかる
イベントの実施には、会場の手配や備品の用意など、手間や費用がかかります。来場者が少ないと、赤字になる可能性もあるため、来場客への十分な告知が必要です。
イベントマーケティングの手法
イベントマーケティングは、見込み客との接点を作るために有効なマーケティング手法ですが、具体的にはどのようなイベントを開催すれば良いのでしょうか。ここからは、イベントマーケティングの具体的な手法について紹介します。
01セミナー
セミナーには、自社のみで開催する「自社セミナー」、他社と合同で開催する「共催セミナー」があり、オンラインで開催されるものは「ウェビナー」とも言われます。
また、セミナーの内容によって、情報提供型セミナーと顧客獲得型セミナーの2種類に分類することができます。情報提供型セミナーは、自社商品についてのセミナーを行い、受講者からフィードバックを得ることが目的です。一方、顧客獲得型セミナーは、自社商品を購入するとどのような効果があるのかなどを受講者に伝え、商談の機会を作ることが目的となっています。
最近では、特定のテーマについて専門家などが協議や討論を行うカンファレンスイベントを開催する企業も増えています。
02展示会
展示会は、自社で開催する手法と、展示会運営会社や地方自治体などが主催している展示会に、出展料を払って参加する手法があります。
展示会運営会社や地方自治体が主催する展示会の場合、出展料はかかりますが、自社で集客する必要があまりなく、自社で開催するよりも負担が少なく済みます。
展示会は、見込み客の獲得や育成、自社ブランディングを目的として参加するケースがほとんどです。昨今では、Web展示会、バーチャル展示会とも呼ばれるオンライン展示会も行われています。
03体験型イベント
体験型イベントとは、参加者に商品やサービスの価値を実際に体験してもらうイベントのことで、試食会、試乗会、実演会などが挙げられます。
体験型イベントは、顧客満足度の向上やリピーター増加につながることが多く、自社商品やサービスのPRに有効な手法です。
04ミートアップ交流会
ミートアップ交流会は、特定のテーマに関して、参加者同士で意見交換や情報交換をしてもらう場のことです。専門家たちが集うセミナーよりも一般の人が参加しやすいものとなっています。
ミートアップ交流会に決まった定義はないため、参加者同士が雑談会形式で行うケースや、講師によるセミナー形式で行われるケースなどさまざまなものがあります。自社ブランディングのためだけでなく、採用活動などでも取り入れられることが多く、見込み客の獲得や育成などを目的とする他の手法とは異なる目的で開催されます。
05既存顧客向け交流会
イベントマーケティングでは、新規顧客の獲得を目的としてイベント開催や参加することがほとんどですが、既存顧客へのアプローチを目的とする場合もあります。
既存顧客向け交流会は、ユーザー同士のコミュニティを作ることで、既存顧客の離脱防止や販売・利用促進を目的として開催されます。システム関連の企業では多く導入されている手法です。
アップセル(上位モデルを勧めること)やクロスセル(関連商品を勧めること)によって顧客単価を上げることに有効です。
近年多くみられるイベントマーケティングの手法
これまでのイベントマーケティングでは、リアルで開催されるイベントが主流でした。しかし、近年は、会場に集まるイベントだけでなく、インターネットを利用したオンラインイベントも多く開催されています。
オンラインの普及によって、ウェビナーやオンライン展示会を実施する例や、オフライン(リアル)とオンラインを融合させたハイブリッド型イベントを開催する例もみられるようになりました。
オンライン開催のイベントは、インターネット環境さえあれば気軽に参加できるため、参加のハードルが低く、より多くの参加者を集客できるといったメリットがあります。また、参加者の情報や参加人数、他イベントとの比較などのデータ収集が容易な面もあります。
イベントマーケティングを効果的に行うポイント
イベントマーケティングは、イベント開催までの準備に手間と時間がかかります。費用対効果が悪くならないように綿密な準備が重要です。ここからは、効果的なイベントマーケティングを行うためのポイントについて紹介します。
POINT 01目的や目標を明確にする
前述したとおり、イベントマーケティングには多くの手法があるため、事前に目的を明確にし、適した手法を選ぶ必要があります。また、イベント開催後に効果測定を正確に行うためにも、目標を具体的な数値で明確にしておくことが大切です。
どんな成果をどのくらい得たいのかを明確にしておかなければ、「イベントを開催すること」だけが目的になってしまい、イベントマーケティングを実施する意味がなくなってしまいます。
POINT 02事前準備・計画を徹底する
イベントマーケティングでは、費用や手間を極力減らすために、効率的な運用を計画することが重要です。運営作業をマニュアル化することで、誰が担当になっても同じクオリティでイベントが開催できるようになります。また入念なリハーサルも必要となります。課題等があれば、その都度解決し記録をしていくことで、次回以降はより効率的な運営が可能となります。
少ない人数で運営する場合は、効率化のためのツールを活用するといった方法もあります。
POINT 03集客方法を検討する
イベントマーケティングにおいて「集客」は非常に重要なポイントです。まずはイベントの目的に応じたターゲットを明確にして、その人に届きやすい媒体でイベントの告知をすること、ターゲットにとってどのようなメリットがあるイベントなのかを明確に訴求する必要があります。主な集客方法としては以下のようなものがあり、効果的に組み合わせることで相乗効果を狙うこともできます。
- SNS
- ホームページやメルマガ
- チラシやDM
POINT 04イベント後のフォローを行う
イベントの効果を確実なものにするためには、イベント終了後のフォローが大切です。参加者には、なるべく早めにメールや電話でフォローを行います。
イベント中は実際に商談まで進まないケースもあり、その場合は、後日商談を行います。フォローが遅れると機会損失になるため、参加した見込み客に優先順位をつけて、営業と連携しながらフォローを行うことが重要です。
人力によるフォローだけでなく、CRMやマーケティングオートメーションツールなどを活用してフォローすることも有効です。
イベントマーケティングの効果測定
イベント開催後、効果の有無を確認する必要があります。効果をしっかり確認することで、今後のマーケティングに活かすことが可能です。イベントマーケティングの効果測定では、以下の数値を主にチェックします。
- 参加者数
- 名刺獲得数
- 獲得したアンケートの数
- イベント後のフォローメール開封率
- 商談、案件化数
- 受注数
- メディアへの露出数
事前に目標として設定する数値を決めておき、効果測定によってどれだけ達成できているか、達成できていないかを確認します。イベントの効果を明確にすることで、次回以降の施策の検討に役立てることが可能となります。
イベントマーケティングの事例
イベントマーケティングに関する事例を紹介します。
01 キャンプでお客様の心を掴む!?エンゲージメントを高めるイベント設計とは
企業は、従業員・お客様・地域社会など、さまざまなステークホルダーとのエンゲージメントが重視されています。しかし、そのエンゲージメント課題は簡単なものではなく、各企業では、新たな手法や工夫を試行錯誤しています。
JTBは、新たなソリューションをお客様に紹介するとともに、更なる関係構築=JTBとお客様のエンゲージメントを強めることを目的とした『JTB Engagement Camp』を開催しました。
キャンプという新たな形の空間演出によってリラックスした雰囲気をつくり、お客様との距離が縮まることで会話のきっかけが生まれ、自然とコミュニケーションを楽しまれている様子がみられました。
02 清水建設株式会社 様 豊洲MiCHiの駅賑わい創出プロジェクト~豊洲場外マルシェ~
清水建設株式会社は、新交通ゆりかもめ「市場前」駅前に日本初の都市型道の駅である「豊洲MiCHiの駅」を建設しました。これは、豊洲エリアが2019年5月に国土交通省スマートシティモデル事業において、先行モデルプロジェクトに選ばれたことによるものです。
清水建設株式会社は、施設を中心に、どの程度にぎわいを創出できるか、都市型道の駅として地域との連携を図れるかなど、まちが抱える課題を解決するための取り組みを実施しました。
施策の1つが、豊洲市場の鮮魚や青果などが集まる「豊洲場外マルシェ」の実施です。毎月第3土曜日に開催されるマルシェでは、鮮魚や青果の販売のほか、キッチンカーの出店、Yuko Ota20240307スタンプラリー、周辺イベントとの連携など、さまざまなコンテンツが充実しています。
まとめ
今回は、イベントマーケティングについてお届けしました。イベントマーケティングには、見込み客の獲得や育成、認知度向上、商談機会の創出など、企業にとって利益につながるメリットが数多くあります。そのメリットを十分に享受するためには、目的に合った手法を選択し、効率的に運用できるよう工夫することが重要です。イベントマーケティングを効率的に運用するためには、イベント計画や内容設計についてより深く理解した上で、取り組むことが大切です。
貴社の戦略として、イベントマーケティングを取り入れ活用されてみてはいかがでしょうか。