イベントマーケティングとは、企業がセミナーや展示会などのイベントを通して、自社や自社の商品やサービスをPRし、リード(見込み客)の獲得(リードジェネレーション)ならびに育成(リードナーチャリング)をする、マーケティング手法のことです。イベントマーケティングでは、セミナーや展示会、カンファレンス、プロ-ションイベント、トレードショーなど、様々なイベントを活用して、ターゲットとの接点を創出します。
この記事では、イベントマーケティングの概要やメリット、成功のための手順、注意点について紹介します。記事の最後に「実録イベントマーケティング~JTBのイベントマーケティング180日間の舞台裏~」についても紹介していますので、ぜひご覧ください。
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イベントマーケティングとは?
イベントマーケティングとは、企業が自社や商品・サービスのPRをセミナーや展示会などのイベントを通して行い、リード(見込み客)の獲得(リードジェネレーション)ならびに育成(リードナーチャリング)をするマーケティング手法です。イベントマーケティングは、集客や販促効果を得るための重要な手段として、広く認知されています。
イベントを通じてリードを獲得(リードジェネレーション)・育成(リードナーチャリング)し、企業や商品・サービスの認知度やブランディングの向上が期待できます。
イベントマーケティングの主な種類
イベントマーケティングにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。以下では、イベントマーケティングの主な種類と特徴を紹介します。
セミナー型
「セミナー型」は、イベントマーケティングの代表的な手法の1つです。セミナー型には、情報提供によって受講者からフィードバックを得ることを目的とした「情報提供型セミナー」や、商談を創出することによる顧客獲得を目的とした「顧客獲得型セミナー」などの種類があります。
セミナー型のイベントマーケティングでは、明確な目的を設定し、情報提供型セミナーや顧客獲得型セミナーといった種類を選択することが重要です。主にセミナー型は、情報発信やリードの獲得に役立つ手法として活用されています。
展示会・オンライン展示会型
展示会・オンライン展示会型とは、展示会運営会社などが集客し、企業が出展料を払って参加するパターンと、自社のみで独自に開催するパターンがあります。展示会運営会社が開催するものに出展する場合、自社で集客しなくて済むのでイベントマーケティングの実施における負担が少なくなる点がメリットです。
展示会・オンライン展示会型では、製品やサービスを展示することで、リードの獲得やブランディングを図ることが可能です。多様なチャネルを活用して、顧客とのコミュニケーションや商談を進める機会として役立ちます。業界関係者や潜在顧客との交流の場としても重要です。
体験イベント型
体験イベント型は、内覧会や実演デモ、試乗会といった、参加者に実際に商品の価値を体験してもらえるイベントマーケティング手法です。オンラインでは伝わりにくい臨場感や感動を通じて、顧客との深い関係を築き、ブランドの価値を伝えられます。参加者が直接的な体験を通して、「感じること」が可能な点に魅力があります。
ユーザー交流会型(既存顧客向け)
イベントマーケティングは、新規顧客との接触だけでなく、既存顧客との関係づくりも可能です。ユーザー交流会型は、既存顧客との関係作りを目的としたイベントマーケティングの手法です。ユーザー同士が知識を共有し、コミュニティを形成することが目的となります。企業にとっても顧客とのつながりを強化し、長期的な関係構築に効果的な手法として活用できます。
顧客の解約防止や利用頻度の増加などを促せる点に、ユーザー交流会型のメリットがあります。
ミートアップ型
ミートアップ型は、あるテーマに関して参加者同士が交流し、情報や知識を共有することが目的のイベントマーケティング手法です。コミュニケーションを促進する効果があり、セミナーよりも気軽に参加できるカジュアルな印象を持つ点が特徴です。ブランディングや企業の採用活動の一環として、実施される傾向もあります。そのため、リード獲得を主な目的としていない点が、ほかのイベントマーケティングの手法との違いです。
イベントマーケティングのメリットや効果
イベントマーケティングの実施時には、さまざまなメリットや効果が見込めます。以下では、主なメリット・効果について紹介します。
見込客との効率的な接触
イベントマーケティングは、営業がお客様先にうかがわずに、一度に複数のお客様との接触ができるので、営業活動を効率化できることがメリットの一つです。交通費や移動時間なども節約できるため、その分のコストを別の作業のリソースに割けます。
商品やサービスのデモンストレーションが可能
実際のイベントに参加することで、顧客はサービスを直接体感できます。リアルな体験を通して製品やサービスに触れ合う機会を設けることで、商材の価値を強く印象付けて訴求性の高いアプローチが可能になります。実際の体験によって、顧客からのサービスへの信頼感や満足度が向上することも、イベントマーケティングの効果の1つです。
ブランド認知度の向上
イベントに参加する人々はすでに自社製品・サービスに興味を持っているため購買意欲が高く、顧客から積極的にSNSなどで、情報を拡散してくれるケースが多いです。メディアに露出できるケースもあり、企業の認知度向上やブランディングにつながる可能性にも期待できます。
イベントマーケティングを行う手順
イベントマーケティングを実施する際には、いくつかの手順があります。以下では、イベントマーケティングにおける基本となる手順について紹介します。
01全体設計・プランニング
イベント開催前に、イベントの目的とKPIを設定する必要があります。例えば、新規顧客の獲得、ブランド認知向上、売上の増加など、イベントで達成したい目標を明確に定義することが重要です。その上でプログラムの方向性や基調講演を決めて、キックオフを実施します。
02企画・プログラム設計
イベント目的に沿ったイベント企画、およびプログラムを作成します。 特にその目玉となる基調講演テーマやスピーカー選定は、キーポイントです。また、達成したい目的に合わせて、開催形態もさまざま。リアル、オンライン、さらにはリアルとオンラインのハイブリッドや、 複数拠点をつないでの実施など、適切な方法を決定します。
03コンテンツ設計
テーマごとに担当者を決定し、具体的なコンテンツを企画します。スライド資料のフォーマット・字幕のフォント・タイトルなどの調整を実施し、閲覧しやすさを意識して作成します。
04デジタル設計
イベントのデータ収集や分析が可能なツールを導入して、施策における効果を明確に可視化します。グローバルに利用されている「Cvent」などを利用することで、より緻密なデータ分析が可能になります。
05集客設計
イベントマーケティングでは、広告やメルマガ、SNSなどさまざまな媒体で宣伝活動を展開し、イベントの認知度を高めます。目標を達成するには、マルチメディアで集客を実施して、リアルタイムで状況を把握する環境構築が重要です。
06事後設計
イベント開催がマーケティング施策として成功したか、効果測定によって確認し、次回の改善点を見つけるために振り返りを行います。インサイドセールスとも連携して、リードスコアが閾値に達した参加者に対して、速やかにアプローチできるように備えるのも重要です。イベント後も参加者とのコミュニケーションを継続し、関係を築いていきます。後日オンデマンド配信などをすることも有効です。テーマを深掘りしたセミナー企画などの開催も視野に入れつつ、マーケティング活動の改善を進めます。
イベントマーケティングを成功させるポイント
POINT01マーケティングの高度化
マーケティング領域でも、現代における施策内容はデジタルがメインとなっています。具体的には、データ分析を活用したターゲティングや、ソーシャルメディアやオンライン広告を活用した広報活動、参加者とのエンゲージメントを促進する為のコンテンツ戦略などが含まれます。効果的なマーケティングの実施のために、AI技術を導入してイベントの運営を最適化するのも手法の一つです。
POINT02イベント内での回遊性
参加者のエンゲージメントを高めるために、イベント内での動きを活性化する必要もあります。イベント当日は、インタラクティブなセッションや参加者型コンテンツを取り入れるなど、参加者の興味関心が高まるような設計をすることが成功のポイントです。そのためには、参加者のインサイト(消費者の購買行動の根底にある根拠・動機)を分析することが重要となります。
まとめ
イベントマーケティングはリードの獲得および育成など、さまざまな効果を見込める施策です。イベントマーケティングの種類や手順などの基本を把握した上で、成功させるためのポイントを理解することが重要となります。この機会にイベントマーケティングの基本的な意味やメリットを把握し、実際に施策を考案してみてはいかがでしょうか。
イベントマーケティングを成功させるためには、具体的な事例を参考にすることが大切です。事例から読み取ることができるさまざまな情報は、実際にイベントマーケティングを企画する上でのヒントとなります。「実録イベントマーケティング~JTBのイベントマーケティング180日間の舞台裏~」は、実際のイベントを題材として、プロジェクトマネジメント、イベントのマーケティング活用、イベントテクノロジーの可能性などをまとめています。
この機会にこちらの資料をご覧いただき、イベントマーケティングへの理解にお役立ていただけたら幸いです。