
展示会やイベントの運営において、「新規リードを獲得したい」「商談化率を高めたい」といった課題に直面するケースが多いのではないでしょうか。JTBでは、こうした課題を解決する新たなアプローチとして“行動経済学(※1)”の視点を取り入れ、根拠をもったイベント設計に挑戦しています。
1 行動経済学とは、人が必ずしも合理的に意思決定しないことに着目し、無意識の心理や感情が行動に与える影響を読み解く学問です。マーケティングや商品設計など幅広い分野で活用が進んでおり、イベント運営にも有効に機能する可能性を秘めています。
2025年1月、幕張メッセで開催された「第12回 イベント総合EXPO」に出展したブースでは、行動経済学に基づいて来場者の行動に働きかける仕掛けを複数導入しました。その具体的な事例と成果、そして今後の展望について、JTBの展示会出展担当者がご紹介します。
行動経済学を展示会に取り入れた具体的な事例

01システム1でわかりやすいキャッチコピー

人は直感的・反射的に判断する「システム1」と、論理的にじっくり考える「システム2」という2つの思考モードを使い分けながら生活しています。展示会など多くの情報が飛び交う場面では脳が疲弊し、「システム1」を使いがちです。そのため、展示会出展においては「システム1」を活用できる設計が理想的です。
この考え方は、キャッチコピー「イベント取扱実績年間“10,000”件突破!」にも反映されています。具体的な数字を前面に出すことで、来場者が瞬時に「信頼できそう」「実績がある」と直感的に感じられるように設計されています。これは、システム1に働きかけることで、判断のハードルを下げ、スムーズな意思決定を促す工夫の一例です。
02初頭効果を狙ったプレゼン

行動経済学には、人は「順番」によって記憶の定着度合が変わるという理論があります。これを「系列位置効果」といい、その順番の中にも「初頭効果」と「親近効果」と呼ばれるものがあり、「最初」と「最後」が記憶に残りやすいと言われています。
この「初頭効果」を活用し、来場者の記憶に残るようブース内でミニセミナーを実施しました。最初に触れた情報は記憶に定着しやすいという特性を活かし、冒頭で伝えたいメッセージやブランドの印象を強く打ち出すことで、その後の行動や興味喚起につなげる狙いです。
展示会の成果

ブースでの展示や設計の工夫により、多くの来場者との接点を生み出すことができました。得られた名刺や商談リードは、興味関心の度合いに応じて分類し、それぞれに適したフォロー施策を実施しています。
たとえば、「具体的な提案・サービス説明をしてほしい」など、高い関心を示した方には、展示会終了後すぐに個別提案や打ち合わせを実施。
導入の意向は未定ながらも関心度の高い企業の方には、情報提供を中心としたナーチャリング施策を展開しています。
このように、行動経済学を取り入れたブース設計で得たリードを、より確実な商談につなげる仕組みとして活用することで、展示会の成果を最大化しています。
行動変容を促すイベント設計で、成果の出るイベントへ
