社員旅行に行きたくないと感じる社員は、決して少数派ではありません。団体行動への苦手意識や、休日が使われること、費用負担、余興の準備など、理由はさまざまです。一方で社員旅行には、普段関わらない社員同士の交流を深め、組織のコミュニケーションを活性化する効果も期待できます。
本記事では、社員旅行に行きたくないと感じる理由を整理したうえで、参加者の満足度向上につながる企画・運営の工夫を解説します。
この記事から分かること
- 社員旅行に行きたくないと感じる人は少数派ではなく、団体行動への苦手意識、上司や同僚への気疲れ、休日の拘束、費用の自己負担、余興の準備、行き先を選べないことが、参加に消極的になる主な理由である。
- 適度な自由時間の確保、無礼講の徹底、土日を避けた日程、旅費の会社負担、余興の任意制、事前アンケートの実施などの工夫により、行きたくない理由に一つずつ対応して参加へのハードルを下げ、前向きに参加しやすい環境づくりにつながる。
- 社員旅行には、コミュニケーションの活性化、チームワークの深まり、モチベーション向上、ストレス軽減、定着率の向上といった、組織と社員の双方にとってのメリットがある。
- 参加を断る社員には、本人の意思を尊重し、理由を詮索せず、不利益を被らないよう配慮するとともに、断られた理由を次回の企画改善に活かすことが重要である。
社員旅行に行きたくない人は少なくない
社員旅行に行きたくないと感じる人は、近年めずらしくありません。終身雇用を前提とした働き方が変化し、仕事とプライベートを切り分ける価値観が広がったことが、背景の一つと言えるでしょう。さまざまな記事で、社員旅行に行きたくないという悩みや角の立たない断り方に関心が集まっている現状が取り上げられています。
一方で、社員旅行に否定的な見方ばかりではありません。社員旅行でコミュニケーション促進の効果を感じられたという声もあります。行きたくない人が一定数いる事実を踏まえつつ、参加してよかったと思える企画へ近づける工夫が、企画する側には求められています。では、社員旅行に行きたくないと感じる背景にはどのような理由があるのでしょうか。
社員旅行に行きたくないと感じる理由
社員旅行に行きたくないと感じる背景には、いくつかの共通した理由があります。主なものは次の6つです。
- 団体行動や大人数での行動が苦手
- 上司・同僚に気を遣って気疲れする(職場に苦手な人がいる)
- 休日やプライベートの時間を使いたくない
- 旅費の自己負担が大きい
- 余興・出し物の準備や本番が負担
- 旅行先や食事を自分で選べない
以下では、それぞれの理由について順に説明します。
団体行動や大人数での行動が苦手
社員旅行では、朝から夜まで長い時間を集団で過ごします。一人になれる時間や自由に動ける時間が持ちにくく、常に周囲に合わせる必要があるため、団体行動が苦手な人ほど負担を感じやすくなります。入浴など、プライベートな場面を同僚に知られることへの抵抗感も、行きたくない気持ちにつながる要因です。
上司・同僚に気を遣って気疲れする(職場に苦手な人がいる)
社員旅行はレクリエーションでありながら、上司や同僚と長時間行動を共にするため、気を遣う場面が多くなります。仕事の延長のように感じられ、かえって疲れてしまう人も少なくありません。職場に苦手な人がいる場合、休日にまで顔を合わせたくないという心理から、参加に消極的になりやすい傾向があります。
休日やプライベートの時間を使いたくない
土日や祝日に開催される社員旅行では、本来自由に使えるはずの休日が拘束されます。仕事とプライベートを分けたいと考える人にとって、これは大きな不満につながる点です。自分の時間を会社に使われていると感じられ、社員旅行に行きたくないという気持ちが強まりやすくなります。
旅費の自己負担が大きい
旅費が自己負担であったり、積立方式であったりする場合、社員にとって金銭的な負担は小さくありません。会社負担でない場合、旅行の内容に納得できないと、費用に見合わないという不満が生じやすくなります。お金を使ってまで参加したくないという心理は、行きたくない理由の一つとして挙げられることがあります。
余興・出し物の準備や本番が負担
宴会での余興や出し物は、人前に立つことが苦手な人にとって精神的な負担となります。とくに新入社員や若手は、幹事や出し物を任されやすく、通常業務と並行して準備を進めなくてはなりません。本来の仕事に加えた作業となるため、負担を理由に参加をためらう人が増えています。
旅行先や食事を自分で選べない
社員旅行では、全員の希望どおりに行き先や食事を決めることは困難です。スケジュールや食事場所があらかじめ決まっていることも多く、自分の好みと合わない場合に不満が生まれます。行き先や食事の内容が自由にならない点が、社員旅行に行きたくないと感じる理由の一つです。
社員旅行への参加意欲を高める工夫8選
社員旅行に行きたくないと感じる理由は、企画する側の工夫によって和らげられます。前章で挙げた理由に対応させると、参加しやすい環境づくりにつながる工夫は次の8つに整理できます。
- 適度な自由時間を設ける(一人の時間を確保する)
- お酌などの礼儀作法を省き「無礼講」にする
- 土日・連休を避けた日程にする(代休や手当も用意)
- 旅費は会社負担(福利厚生費)を基本にする
- 余興・出し物を強制しない(任意制にする)
- 行き先・食事は事前アンケートで希望を反映する
- 普段関わらない社員と交流できる仕組みをつくる(席・部屋割りの工夫)
- 非日常を楽しめる体験・アクティビティを取り入れる
以下では、それぞれの方法について順に説明します。
適度な自由時間を設ける(一人の時間を確保する)
スケジュールを詰め込みすぎず、自由時間を設けることが効果的です。一人で過ごせる時間があれば、団体行動から一時的に離れて気持ちを切り替えられます。行きたい場所や食べたいものを楽しめる余地が生まれ、参加者の満足度も高まります。
お酌などの礼儀作法を省き「無礼講」にする
宴会でのお酌や席次といった礼儀作法を省くことで、気疲れを減らせます。経営層と相談し、無礼講である旨を正式に共有しておくと効果的です。気を遣う場面が少なくなれば、上司や同僚との交流も気兼ねないものになります。
土日・連休を避けた日程にする(代休や手当も用意)
社員の休日を使わない日程を選ぶことで、プライベートを優先したい人の不満を抑えられます。やむを得ず休日に重なる場合は、代休を設けたり、休日出勤手当を支給したりする配慮が必要です。日程への納得感は参加意欲に影響する要素の一つです。
旅費は会社負担(福利厚生費)を基本にする
旅費は会社が負担することを基本にすると、金銭的な不満を軽減できます。社員旅行は一定の条件を満たせば、福利厚生費として経費に計上できます。負担が難しい場合は、日帰りなど別の形を検討し、社員の出費を抑える工夫が有効です。
余興・出し物を強制しない(任意制にする)
人前での余興や出し物に抵抗を感じる人は少なくありません。参加を強制せず、任意制にすることで精神的な負担を和らげられます。新入社員や若手に準備を一方的に任せず、意義や目的を伝えて依頼する姿勢が望まれます。
行き先・食事は事前アンケートで希望を反映する
行き先や食事を会社が一方的に決めると、不満につながりやすくなります。事前にアンケートを取り、社員の希望を反映させることが大切です。双方向で内容を決めることで、納得感が生まれ、参加への前向きな気持ちを引き出せます。
普段関わらない社員と交流できる仕組みをつくる(席・部屋割りの工夫)
食事の席や部屋割りを部署の異なる人同士で組むことで、普段は接点の少ない社員との交流が生まれます。相互理解のきっかけとなり、業務に戻ってからも社員旅行の効果を実感しやすくなります。交流の輪が広がる設計を目指しましょう。
非日常を楽しめる体験・アクティビティを取り入れる
普段は経験できないアクティビティを取り入れると、社員旅行ならではの魅力が高まります。アクティビティをサービスとして提供している会社もあり、年齢や性別を問わず楽しめ、チームワークの向上にもつながる体験として活用できます。
社員旅行のメリット
社員旅行に行きたくないと感じる人がいる一方で、社員旅行には組織と社員の双方にとって見逃せないメリットがあります。社員旅行は単なる慰労の場にとどまらず、職場の関係性や働く意欲に良い影響を与える機会となり得ます。企画する側がメリットを正しく理解しておくことで、参加をためらう社員にも意義を伝えやすくなります。主なメリットは、次の5つです。
- 社員同士のコミュニケーションが活性化する
- チームワークや相互理解が深まる
- 仕事へのモチベーションが向上する
- 日常業務から離れてストレスを軽減できる
- 社員の定着率向上につながる
以下では、それぞれのメリットについて順に説明します。
社員同士のコミュニケーションが活性化する
社員旅行は、異なる部署や職位の社員が一緒に行動する貴重な機会です。普段の業務では接点の少ない人同士が同じ時間を過ごすことで、自然と会話が生まれます。非日常の場では立場を越えて交流しやすく、新たなつながりが生まれることもあります。社内全体の交流が広がり、部署を超えた関係構築の機会となります。
チームワークや相互理解が深まる
社員旅行で非日常の体験を共有すると、社員同士の協力関係が育まれます。普段は見えにくい相手の考え方や人柄に触れることで、相互理解が深まります。共通の体験を通じて信頼関係が構築されることで、業務上の相談や連携もしやすくなり、チームとしての一体感向上にもつながります。
仕事へのモチベーションが向上する
日々の業務から一時的に離れることは、心身のリフレッシュにつながります。社員旅行で新しい体験や挑戦をすることで、社員のエネルギーが引き出され、仕事への意欲が高まります。普段とは異なる環境に身を置くことが、業務の新たなアイデアやヒントを得るきっかけになることもあります。こうした体験が、前向きに業務へ取り組む原動力となります。
日常業務から離れてストレスを軽減できる
社員旅行では、普段は訪れない観光地や海外が選ばれることも多く、非日常を味わえます。日常の業務を忘れて旅行を楽しむことで、心身の疲れが和らぎ、ストレスの軽減が期待できます。仕事を離れた場で接することで、同僚に感じていた心理的な距離が縮まり、互いへの理解が深まるきっかけにもなります。
社員の定着率向上につながる
社員旅行を通じて社員同士の関係が深まると、職場への愛着や帰属意識が高まります。普段関わりの少ない社員と交流し、互いの人柄を知ることで、孤立を感じにくい環境が生まれます。働きやすさや人間関係への満足度が高まることは、離職防止や定着率向上に寄与する要素の一つと考えられます。
参加を断る社員への対処方法
社員旅行を企画しても、さまざまな理由から参加を見送る社員が出る場合があります。そうした際の対応次第で、社員との信頼関係や次回以降の参加意欲に影響を与える可能性があります。社員旅行は福利厚生の一環であり、参加は強制されるものではありません。欠席の申し出を受けたときに担当者が取るべき対処は、次の4つです。
- 参加を強制せず本人の意思を尊重する
- 欠席の理由を無理に詮索しない
- 欠席者が不利益を被らないよう配慮する
- 断られた理由を次回の企画改善に活かす
以下では、それぞれの対処方法について順に説明します。
参加を強制せず本人の意思を尊重する
社員旅行は任意参加が前提であり、欠席の申し出を無理に覆そうとすることは望ましくありません。参加を強く求めると、かえって不満や反発を招くおそれがあります。本人の意思を尊重して欠席を受け入れる姿勢が、結果として社員からの信頼につながり、次回の参加意欲を保つことにもなります。
欠席の理由を無理に詮索しない
欠席の背景には、体調や家庭の事情など、人に話しにくい理由が含まれることもあります。担当者が理由を細かく問いただすと、社員に心理的な負担を与えかねません。本人が伝えた範囲で受け止め、それ以上は踏み込まない配慮が求められます。プライバシーを尊重する対応が、安心して相談できる関係を築きます。
欠席者が不利益を被らないよう配慮する
参加の有無が人事評価や職場の人間関係に影響すると、社員は安心して判断できません。欠席を選んだ社員が不利益を感じることのないよう、公平な環境を整えることが大切です。参加しないことを理由に疎外感を与えない配慮があってはじめて、社員は自分の意思で参加可否を決められます。
断られた理由を次回の企画改善に活かす
欠席の理由には、日程や費用、内容への不満が隠れていることがあります。これらを個人の問題として片付けず、企画側の課題として受け止める姿勢が重要です。断られた背景を分析し、次回の日程調整や費用負担、内容の見直しに反映させることで、より多くの社員が参加したいと思える社員旅行へ近づけられます。
JTBが関わった社員旅行の実例
JTBは、社員旅行を「社員の新たなモチベーションを充たす旅=投資」として、価値ある社員旅行を提案しています。
01 総合広告代理店 A社 様感動の35周年記念をハワイで実施した事例
総合広告代理店A社様は、コロナ禍のため創立30周年記念行事の実施ができませんでした。そこで35周年の前年にプレ周年イヤーとしてハワイで記念行事を実施。経営者様が社員の皆様への想いをカタチにしたサプライズ演出の数々で埋め尽くされ、心に残る特別な時間をお過ごしいただきました。
02 不動産サービス会社 A社 様パラダイスシティ観光で、若手社員大満足の社員旅行の事例
不動産サービス会社 A社様は若手社員のコミュニケーションに課題を感じていたため、流行に敏感な若手社員が満足できるよう韓国を職場旅行先として選定。スケジュールはあえて到着日の夕食のほかはフリーとしました。非日常の体験を通し、参加者同士の会話が増え、コミュニケーション活性化につながりました。
03 株式会社マイト 様大人気のグランピングで、ユーモアあふれる1泊2日の社員旅行の事例
株式会社マイト様では、社員同士のコミュニケーションの場として会社としても社員旅行を大切にしてきました。非日常空間でリフレッシュしてもらうことでモチベーションアップにつなげることを目的にグランピングの社員旅行を実施。社員同士のコミュニケーションを見事に活性化することができました。
まとめ
社員旅行に行きたくないと感じる人が一定数いる一方で、社員旅行には社員同士の交流を深め、組織のコミュニケーションを活性化する効果が期待できます。
大切なのは、団体行動への苦手意識や費用負担、余興の負担といった理由に丁寧に向き合い、自由時間の確保や会社負担、任意制の導入などで不満を一つずつ和らげることです。参加してよかったと思える企画を重ねることで、行きたくないと感じる要因を軽減し、参加しやすい環境づくりにつなげることができます。
あわせて、欠席を希望する社員にはその意思を尊重し、不利益が生じないよう配慮することも欠かせません。断られた理由を次回の企画改善に活かす姿勢が、より多くの社員に支持される社員旅行へとつながります。企画を毎年のルーティーンとせず、少しずつでも改善していくことを意識しましょう。
社員旅行を成功させるには、社員の希望や多様な価値観に配慮した企画づくりと、運営面の負担軽減が欠かせません。JTBでは、職場旅行(社員旅行)をはじめ、従業員満足や組織活性化につながる法人向けの旅行・イベントの企画から運営までをサポートしています。行きたくないと感じる社員にも配慮しながら、参加しやすい社員旅行を検討する際は、ぜひJTBへご相談ください。