社員旅行には、さまざまなメリットがあります。この記事では、社員旅行の実施を検討している企業の担当者に向け、適した時期やその理由などを解説します。コロナ禍において、社員旅行の代替案になるアイデアについても併せて紹介しますので参考にお読みいただければと思います。
社員旅行を行う意義
労働生産人口の減少にともない労働市場は一層流動化していくことが予想されます。また人生100年時代といわれる現代では、社員の職業観が多様化してきています。このような変化から“企業が社員を選ぶ”のではなく、“社員が企業を選ぶ”時代になってきています。社員にとっては、自分のライフプランを実現しやすくなる一方、企業にとっては人財確保が死活問題になってきます。そこで今、注目されているのが「エンゲージメント」です。優秀な人財を確保し続けるためには、「エンゲージメント=個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係性」を高めることが重要だと考えられています。そして、この「エンゲージメント」向上のための手段の一つが『社員旅行』なのです。
日常を離れて楽しめる社員旅行は、社員にとって疲れを癒やせる機会でもあります。英気を養い、日常生活に戻ったときには新たに頑張ろうと思えることもあるでしょう。社員旅行にはリフレッシュ効果やモチベーションアップの効果があると考えられています。
また普段はかかわりが少ない経営層や上司、社員とのコミュニケーションの機会にもなります。非日常の場で語り合うことは、お互いの関係性向上だけでなく、会社理解の深化にもつながるため、コロナ禍で顕在化した社内コミュニケーションの不足や会社としての一体感の欠如といった課題に対しても効果的です。社員のモチベーションアップや社内コミュニケーションの促進、一体感の醸成は、「エンゲージメント」向上につながります。
社員旅行に適した時期とは
社員旅行は業種・業態によって適した時期に違いがあるほか、個人旅行がピークになる時期とも異なっています。ここでは、一般的に企業の団体旅行の実施が多いといわれている時期について解説します。
社員旅行が多い時期
社員旅行が多い時期としては、6月が大きなピークの一つです。そのほか2月や、9月から11月にかけての秋にも多く実施されています。
上記の時期に多い理由
6月や2月、秋などは、社員旅行(団体旅行)を実施するうえで都合のよい条件がそろっています。社内の状況としては人事異動や決算の時期に重ならない企業が多く、旅行に出やすいタイミングと言えます。
また気になる旅費の面ですが、ゴールデンウィーク明けから夏休み前までは比較的安く抑えられる傾向にあります。時期によって差があるため、予算に応じて検討が必要です。
また、6月は一般の家族旅行も少ないシーズンです。すでに梅雨が明けた沖縄を旅行先に選べば、一足先に夏の雰囲気を味わえ、梅雨の影響が少ない北海道であれば、爽やかで過ごしやすくおすすめです。
2月も場所によっては比較的旅費を抑えられる時期であるとともに、国内ではスキーやスノーボードも可能です。冬の寒さを避けられる海外を目的地にする旅行も喜ばれるでしょう。秋は個人旅行も比較的多い時期ですが気候もよく、紅葉やフルーツ狩りなどを楽しめます。
社員旅行が少ない時期
逆に4月や5月、夏の時期は国内が目的地の社員旅行では、あまり選ばれません。海外に出かける社員旅行の場合は5月と12月が少ない時期です。
上記の時期に少ない理由
4月下旬から5月上旬にかけての大型連休や年末年始、春休みと重なる時期は旅費自体が高額になり、企業の負担も少なくありません。予約も取りにくく、社員旅行が少ない理由の一つになっています。ただし、社員の家族も一緒に参加する旅行を実施している場合は事情が異なり、子どもの学校が休みになるタイミングをあえて選ぶケースもあります。
社員旅行の時期を決める方法
ここからは社員旅行の時期を決める方法について4つのポイントを挙げ、具体的に解説していきます。
POINT 01個人旅行のピークの時期を外して決める
先述したように、春休みやゴールデンウィークなどは個人旅行が多い時期です。団体旅行の予約は取りづらい時期になります。また人出も多く、せっかく旅行に出かけたのにもかかわらず、余計なストレスを感じることもあります。オフシーズンを選べば旅費を抑えられるのはもちろん、旅行先もピーク時ほど混雑していません。そのため人混みも少なく、ゆっくり社員旅行を楽しめるというメリットがあります。
POINT 02業務に支障の出ない時期を検討し決める
社員旅行は会社の業務の流れも考慮して決めることが大事です。繁忙期や決算の時期などに社員旅行を実施してしまうと、社員に負担をかけるリスクもあります。1カ月の間でも、業務が立て込んでいるタイミングは外した方がいいでしょう。いくつかの出発日に分割するのも有効な手段です。せっかくの社員旅行で業務に支障が出てしまわないように時期を決めることがポイントです。
POINT 03社員旅行の目的によって決める
同じ社員旅行でも、実施目的によって適切な時期が異なる場合もあります。具体的には新入社員との交流を兼ねた社員旅行なら、新年度が始まって日が浅いほうがおすすめです。忘年会や新年会などの社内行事を兼ねて実施する場合は、12~2月までなど、その時期に合わせた日程にするといいでしょう。
POINT 04行き先の季節ごとのイベントなどに合わせて決める
社員旅行を実施する時期は、社員の希望を取り入れて決めることも有効です。具体的には社員への事前アンケートで目的地を先に決定し、そのうえで目的地のベストシーズンを選んで計画していく方法です。ただし、場所も季節も人気が高い場合は、個人旅行のピークと重なることも考えられます。その際は目的地が混雑したり旅費が高くなったりすることもあるため、その点を考慮する必要があります。
季節ごとにおすすめの社員旅行先(例)
季節によっておすすめの旅行先は違ってきます。それぞれの季節について紹介しますので、参考にしてください。
春(3月・4月・5月)におすすめ
新入社員との交流を兼ねた社員旅行や、社員のコミュニケーションを活発にすることを目的とする旅行が多い春の場合、会社から近場で社員の会話が弾みやすい環境がある場所がおすすめです。
東京ならば神奈川県の箱根や千葉県のリソルの森などがあります。春は桜をはじめとした花が美しい季節であり、お花見ができるスポットもおすすめです。
夏(6月・7月・8月)におすすめ
梅雨が明けていない6月から7月上旬でも、梅雨の影響が少ない北海道やすでに梅雨が明けた沖縄ならレジャーも楽しめる社員旅行が可能です。北海道や沖縄ならではのグルメを味わえ、夏休みを避ければ旅費も比較的抑えられます。そのほかBBQなど日帰りでアウトドアを楽しめるプランもおすすめです。
秋(9月・10月・11月)におすすめ
秋の行楽シーズンはさまざまな農作物が収穫時期を迎え、旬の食材が美味しい季節。社員旅行のプランのなかにフルーツ狩りやキノコ狩りなどを組み込むのもおすすめです。また、晩秋になれば紅葉も始まります。紅葉が美しいスポットを巡りながら、温泉でリラックスできるプランを計画するのも秋の社員旅行に向いています。
冬(12月・1月・2月)におすすめ
冬は忘年会や新年会を兼ねて温泉地に行き、日頃の疲れを癒す旅行にピッタリです。スキーやスノーボードなど冬にしかできないレジャースポーツや、カニ料理をはじめとする冬の味覚を堪能できる旅行もこの時期にしか計画できません。海外を視野に入れるならサイパンやグアム、近いところでは台湾など、暖かい地域を選んで海外を目的地とするのもおすすめです。
旅行会社への問合せはいつ頃するのが良いか
問い合わせの時期に関しては、データ上3~4カ月前ぐらいから問い合わせを始めるケースが多くみられます。社員旅行の規模や国内旅行か、海外旅行かによって違いがあるものの、会社によっては、1年以上前から準備しているところも珍しくありません。繁忙期のように、出発時期によっては予約が取りにくい場合もありますので前広に進めることをおすすめします。社員のニーズや企業の事情、予算などを伝えたうえで旅行会社にプランを提案してもらい、参考にするのもおすすめです。
コロナ禍で社員旅行が行えない場合の代替案は?
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、社員旅行を延期・中止する企業は少なくありません。時代とともに働き方が多様化していることもあり、福利厚生としての社員旅行を見直そうと考えている企業も増えつつあります。そこで社員旅行の代わりとして、社員のコミュニケーションを促進する方法をいくつか紹介します。
01社内コミュニケーションを活性化するイベントを考える
コロナ禍によるテレワークの推進や働き方の多様化により、出社する機会そのものが減っている企業が増えています。直接顔を合わさないことで社員同士の関係が希薄になることも懸念されるため、コロナ禍でも無理なく開催できるイベントを検討してみるといいでしょう。例えば、オンラインイベントや屋外イベント、社内ポイント制度などがあります。
「オンライン」を活用した社員旅行や謎解きイベントの実施
オンラインを活用すれば3密を避けたさまざまなイベントを実施できます。現地の料理やお菓子を用意し、オンラインで風景も楽しめるバーチャル旅行や謎解きイベントなどが好評です。
- WEBマガジン「#Think Trunk」
- オンラインでできるチームビルディングとは?テレワークでもチーム・組織は活性化できる!
- 事例紹介
- 数時間でバンコクとシドニーへ!? オンラインならではの職場旅行
社内ポイント制度の導入
給与以外に企業独自のポイントシステム(社内通貨)を導入している企業も増えており、それをコミュニケーションの活発化に利用することも一つの方法です。社内ポイント制度は企業の状況や課題に合わせて独自のインセンティブを設定できるものも多く、社員のモチベーションを維持することにも役立っています。
- ソリューション紹介
- JTBの「THANKS COLLECT(サンクスコレクト)」では1万点にものぼる豊富なラインナップがあるほか、JTBならではのプレミアムな商品も含まれています。
- 業績アップを実現する新しいポイントサービス「THANKS COLLECT」
02社員のニーズに合った福利厚生を考える
社員のニーズに合った福利厚生を考えることもポイントです。具体的にはフィットネスジムや各種スクールに通う費用、旅費や食事購入、ショッピングサイトを利用する際の補助なども考えられます。
まとめ
コロナ禍により社員間コミュニケーションに課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。テレワークの浸透により、対面で会う機会が少なくなっているからこそ、これからの時代、「会う」時間の価値は一層高まっていくはずです。
コロナ禍により、働き方の多様化など社員にとって多くのメリットが生まれましたが、社員同士の関係が希薄になることは避けなければなりません。社員旅行はリフレッシュ効果やチームワークの醸成、コミュニケーションの活性化などさまざまな効果が期待され、エンゲージメント向上に役立つ施策です。貴社でも、アフターコロナの社内施策の一つとして、社員旅行の活用をご検討されてみてはいかがでしょうか。