働き方改革の流れや昨今のリモートワークの普及でワーケーションという働き方が注目されています。ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語です。リゾート地や地方などで休暇を過ごしつつ、その場で仕事も行うという働き方で2017年頃に日本に登場しました。この記事では、企業がワーケーションを導入する方法や導入によって得られるメリット、誘致している自治体などについて紹介します。ワーケーションについて知りたい、導入を考えている企業の担当の方はぜひ、ごらんください。また、記事の最後には、「ワーケーション」をわかりやすく漫画にまとめた資料を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。
ワーケーションとは
ワーケーションは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、2000年代にアメリカで生まれたと言われています。リゾート地や地方などで休暇を過ごしつつ、その場で仕事も行う働き方で、日本では2017年頃に登場しました。
2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、企業は従業員に対して年5日間の有給休暇を取得させることが義務になったことや新型コロナウイルス感染症の流行でテレワークが浸透した結果、ワーケーションへの注目度が高まっています。
ワーケーションの種類
次にワーケーションの種類について紹介します。
01休暇型ワーケーション
休暇型ワーケーションは、リゾート地や観光地などに赴いている休暇の合間でも、仕事ができる環境を整備して勤務日・勤務時間を組み入れる形態のワーケーションです。
勤務を挟むものの主目的は休暇であり、福利厚生の一環として取り入れられることが多いです。
02業務型ワーケーション
業務型ワーケーションは下記の3種類に細分化できます。
- 地域課題解決型:ワーケーション先の地域関係者との交流を経て、地域課題の解決を共に目指すワーケーション
- 合宿型:オフィスと異なる環境に身を置き、議論やグループワークなどを行うワーケーション
- サテライトオフィス型:サテライトオフィスやシェアオフィスなどで業務を行うワーケーション
03ブレジャー
ブレジャーは、「ビジネス」と「レジャー」を組み合わせた造語で、出張先などで滞在期間を延長して余暇を楽しむ形態の働き方です。
ワーケーションと似ていますが、出張の前後に有給休暇を組み合わせてブレジャーとするため、新たに制度を整えたり、テレワーク環境を別途用意するなどの対応が不要なので、簡単に実施できます。
企業がワーケーションを導入するメリット
次に企業がワーケーションを導入するメリットについて紹介します。
メリット01従業員のモチベーションが上がる
ワーケーションは、リゾート地や温泉地などの快適な環境で仕事ができるため、ストレスが軽減され、従業員のモチベーションアップに繋がります。従業員のモチベーションが上がれば、短時間で集中して業務を行いやすくなり、生産性の向上が期待できます。
また、普段とは異なる環境に身を置きながら業務を行うことで、新しい発想やアイデアが生まれやすくなり、イノベーションが起こる可能性も高くなります。
モチベーションや生産性の向上、新しい発想やアイデアの提案など、いずれも企業の利益に繋がるため、従業員だけではなく企業にとってもメリットが大きいと言えます。
メリット02離職率の低下
離職率の低下が狙えるのも、企業がワーケーションを導入するメリットの1つです。
オフィスや自宅などで行う普段の業務と違って、リゾート地や温泉地などの快適な環境で仕事ができるワーケーションは、従業員の満足度が高くなりやすいからです。
会社や働き方に対する不満が減れば、離職率の低下に繋がって人材の流出を防ぐことができます。それにより新規の人材採用のために割かれる時間やリソースの消費を抑えることもできます。
メリット03採用力が強化される
ワーケーションは、集中して仕事ができる、リフレッシュできる、滞在先で地域貢献ができるなどの魅力があり、ワーケーションを導入していることは企業にとって強力なアピールポイントとなります。
働き方の選択肢が多い企業は働き手にとって印象が良く魅力的に映ります。多くの人が志望することで優秀な人材が確保しやすくなり、優秀な人材がさらに人を呼ぶという好循環を生み出します。
メリット04企業のイメージアップに繋がる
自社のワーケーション先として特定の地域と連携することで、地域の活性化につなげることができます。多くの社員がその地域を訪れることで消費が生まれ、また地域の人々との交流も生まれます。さらに踏み込んで地域の課題を解決するワークショップなどを開催すれば、地域課題の解決と社員の成長を両立でき、ひいては企業のイメージアップに繋がります。
メリット05働き方改革を推進できる
2018年に成立した「働き方改革関連法」、いわゆる「働き方改革」を推進できるのもワーケーションを導入するメリットと言えます。
「働き方改革関連法」では、企業はすべての労働者に対して年5日間の有給休暇を取得させることが義務付けられていますが、現場の状況や従業員の希望する働き方によっては、ただ有給休暇を取らせるだけというのは難しい場面が多いのではないでしょうか。
しかし、有給休暇をワーケーションに活用すれば長期休暇を取得しやすくなり、従業員の有給休暇取得率向上が期待できます。
ワーケーションの誘致をしている自治体を紹介
自治体によっては、企業からのワーケーションを誘致するために、支援金や通信機器のレンタルなどの制度を自主的に設けているところがあります。以下では、具体的にワーケーション誘致に力を入れている自治体を紹介します。なお、詳細については各自治体のWEBサイト等をご確認ください。
01長野県
長野県は、「信州リゾートテレワーク」と称してワーケーション誘致の取り組みを行っています。
公式サイトでは、宿泊施設やワークスペースなどが目的や費用にあわせて検索できる他、詳細な情報について知ることができる動画や電子パンフレットなどが用意されています。
02熊本県
熊本県は、最高100万円の補助金を用意したり、デイユースプランをお得に利用できる「テレワーク促進事業」などの施策を行っています。
またテレワークを推進する組織である「熊本型テレワーク推進ネットワーク」が発足しています。公式サイトでは、阿蘇、天草、人吉球磨など地域ごとにワークエリアを探すことができます。
ワーケーションの事例
ワーケーションの実施においては、企業の目的や得たい効果に応じて、最適な地域・施設を選択するのがポイントです。他にも、ワークスペースの手配、宿泊先や交通手段の他、現地での交流プログラムや観光プログラムなど、企業や参加する従業員のニーズにあったプログラムを検討することが大切です。
以下では、実際にワーケーションを行った企業の事例について紹介します。
事例01株式会社日本経済新聞社 様
「株式会社日本経済新聞社」様は、社員を対象にワーケーション体験ツアーを実施しました。自社の働き方改革の観点や、社会テーマを取り扱う新聞社の社員として、コロナ禍で注目されるようになった新しい働き方を深く理解することが、実施の理由です。
三菱地所のワーキング施設「WORK×ation Site」にて10月~12月の間に3回行われ、テレワークで業務を行いつつ、街歩きツアーや野鳥ウォッチングなどで余暇を過ごしました。
「自然に囲まれた場所なので気分転換がしやすい」「さまざまな部署から参加したため普段は話す機会が少ない人同士の交流が生まれた」などの声が寄せられました。
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事例02IT・システム関連企業 E社 様
コロナ前からすでにテレワークを導入していた都内にあるIT・システム関連企業様がワーケーションを実施した事例です。
ワークとバケーションの曖昧さを無くすため、業務時間を細かく指定した時間割を設定する、業務時間と休日で労災の責任の範囲を切り分けるなどの対策が行われました。
都会の喧騒から離れた自然豊かな場所は、業務中の集中力の向上や、テレワークで希薄になっていた従業員同士のコミュニケーションについて見直すきっかけになりました。
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まとめ
「新しい働き方」が社会で定着しはじめています。そんな中、注目されてきたのが今回ご紹介した「ワーケーション」です。本記事では、ワーケーションの概要や種類から、導入・実施をすると得られるメリット、実際の事例までご紹介しました。
ワーケーションの導入や実施は、環境の整備や理解浸透に手間がかかる場合があります。計画や実際の流れがしっかりしていないと、実施しても効果が上がらず、費用・時間的な面での損失が大きくなる恐れがあります。
しかし、ワーケーションは、社員だけではなく、企業にとっても多くのメリットがあります。これからの貴社の働き方を考えるうえで、一度、ワーケーションの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。導入にむけての取り組みは貴社の多くの課題を見える化し、解決への道筋となるはずです。
最後に、注目の「ワーケーション」をわかりやすく漫画にまとめた資料をご紹介します。ワーケーションの導入・実施を考えている企業の担当者の方は、ぜひ、ご覧ください。