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企業・団体向け WEBマガジン「#Think Trunk」 ワークエンゲージメントの意味とは?高めるメリットや方法、取り組み事例を紹介

2022.11.02
HR(Human Resources)
生産性向上
従業員満足(ES)向上
人材・組織力強化

社員のモチベーション向上や組織の生産性向上、顧客満足度アップなど幅広い効果が見込めるワークエンゲージメントの強化に注目が集まっています。「自社でもワークエンゲージメント向上を目指したい」と考えている方が多いのではないでしょうか。ワークエンゲージメントは、令和元年度の労働経済白書でも特集されるなど注目されている考え方です。この記事では、ワークエンゲージメントを高めるメリットとその方法、取り組み事例をご紹介します。ぜひ、ご覧ください。

ワークエンゲージメントの意味とは?

ワークエンゲージメントとは、「仕事に対して充実した心理状態を保っていること」を意味します。ワークエンゲージメントの概念は、オランダ・ユトレヒト大学のウィルマー・B・シャウフェリ教授らによって提唱されました。

ワークエンゲージメントの3つの要素

ワークエンゲージメントは次の3つの要素から成り立っています。

  • 活力(Vigor):仕事から活力を得て、いきいきと働いている状態
  • 熱意(Dedication):仕事に対して誇りややりがいを感じている状態
  • 没頭(Absorption):仕事に対して熱心に取り組み、のめりこんでいる状態

ワークエンゲージメントと関連する概念

ワークエンゲージメントと関連する概念として、以下のようなものがあります。

  • ワーカホリズム:活動水準は高いが、仕事に対して否定的な状態
  • バーンアウト:ワークエンゲージメントの対義語。活動水準が低く、仕事に対しても否定的な状態
  • 職務満足感:活動水準は低いが、仕事に対して肯定的でポジティブな状態

ワークエンゲージメント向上が重要な理由

近年、少子高齢化などによる労働人口の減少や、終身雇用の崩壊などによる人材の流動化によって、企業の人手不足は深刻化しています。また、社内コミュニケーションの希薄化により、企業と社員の関係性を構築することも難しくなっています。優秀な人材を定着させるためにも、ワークエンゲージメントの向上は重要となっています。

日本におけるワークエンゲージメントの現状

「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」※によると、ワークエンゲージメントの3要素のうち、日本では「熱意」がもっとも高い要素となっています。性別ごとに見た場合は、男性よりも女性の方がワークエンゲージメント・スコアはやや高めです。「活力」については男性が女性を上回っていますが、他の二つの要素の「熱意」「没頭」は女性が男性を上回っており、女性の方が仕事に関して充実を感じていると言えそうです。

【出典元】「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について | 厚生労働省

 

企業がワークエンゲージメントを高めるメリット

ワークエンゲージメントを高めることは、企業にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下ではワークエンゲージメント向上によるメリットについて解説します。

組織コミットメントの向上につながる

ワークエンゲージメント向上によって、組織へのコミットメントが高まります。コミットメントとは「帰属意識」のことです。組織へのコミットメントが高まることで、組織や同僚に対して愛着を感じるようになり、仕事への満足度や生産性の向上なども期待できます。

離職率の低下につながる

ワークエンゲージメント向上は、離職率の低下にもつながります。仕事に対してポジティブな心理状態になり、組織コミットメントも高まるため、離職したいといった考えが生まれにくくなります。離職率が低下することで優秀な人材を確保しやすくなり、採用コストやリソース削減も期待できます。

メンタルヘルス対策ができる

ワークエンゲージメントの向上は、メンタルヘルス対策としても有効です。ワークエンゲージメントが高い場合、仕事における心理的な負担や苦痛、ストレスが少なくなります。ストレスが少なくなることで、睡眠の質が向上するなど心だけでなく体の健康状態を良好に保ちやすくなります。

顧客満足度の向上につながる

ワークエンゲージメントが高いと、社員がいきいきと働くようになります。いきいきと仕事ができれば、サービスレベルも向上します。また顧客が、やりがいや熱意をもって働く社員の姿を見ることで、その企業に対して信頼感や好感を抱くようになるなど、顧客と企業の良好な関係の構築に役立ちます。結果として、顧客満足度(CS)の向上につながります。

ワークエンゲージメントを測定する尺度と3つの測定方法

ワークエンゲージメントを測定する方法は、次の3つがあげられます。ここからは、それぞれの測定方法について解説していきます。

01MBI-GS

MBI-GSは、ワークエンゲージメントの対義語であるバーンアウトの測定尺度です。具体的には、「疲労感に関する5項目」「シニシズムに関する5項目」「職務効力感に関する6項目」の計16項目の質問に回答してもらい、その結果を測定します。MBI-GSが低ければワークエンゲージメントが高いということになります。

02OLBI

OLBIは、MBI-GS同様にバーンアウトの測定尺度で、燃え尽き症候群を表す言葉です。具体的な測定方法は、「疲弊」と「離脱」に関する項目について質問、回答してもらうことで測定します。OLBIの測定結果が低ければ低いほどワークエンゲージメントは高くなり、OLBIが高ければ高いほどワークエンゲージメントが低いという結果になります。

03UWES

UWESは、ワークエンゲージメントの大きさを指す言葉です。ワークエンゲージメントの測定方法として広く知られており、高い安定性を持つためよく使用されている測定方法です。具体的な測定方法としては、「熱意」「活力」「没頭」の3つの尺度に関する17の質問項目に回答してもらい、その結果に基づいて、ワークエンゲージメントの度合いを測定します。

ワークエンゲージメントを向上させるためのポイント

ワークエンゲージメントを向上させるには、「個人の資源」と「仕事の資源」を充実させることが重要です。

個人の資源

「個人の資源」とは、心理的なストレスを軽減させるための内的要因のことです。例えば、ポジティブ思考や自尊心、楽観性、自己効力感などが挙げられ、これらが充実することでストレス軽減やモチベーションアップなどにつながります。

仕事の資源

「仕事の資源」とは、仕事量などの負担を減らし、負担感による悪影響を軽減させる要因のことです。例えば、上司や同僚によるサポート、仕事に対するフィードバッグや裁量権、コーチングやトレーニング機会の創出などが挙げられます。仕事の資源が充実していることで、ワークエンゲージメントが向上しやすくなります。なお、「仕事の資源」が充実することで、「個人の資源」も大きくなるとされています。

ワークエンゲージメントの取り組み事例

ワークエンゲージメントを向上させるにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、実際の取り組み事例を紹介します。

事例01成績優秀者を称えるキックオフイベントの開催

某人材サービス会社では、前期の成績優秀者を最高の形で称えたい、経営方針や事業方針を社員に正しく理解してほしいという課題がありました。そこで、成績優秀者を称えるキックオフイベントを、リアルとオンラインのハイブリット形式で開催しました。

これにより、従来は会場まで行ける人のみの参加だったキックオフイベントに、家庭の事情などで土日の参加が難しい社員なども参加することができ、社員のモチベーション向上や社内コミュニケーションの活性化、会社理解の深化などにつながりました。

【詳細はこちら】

(事例紹介)想いをひとつに!一から切り開いたハイブリッド型キックオフイベント

事例02社員の本音を引き出す意識調査の実施

株式会社ワークマン様では社員の育成に力を入れており、社員の気持ちを知りモチベーションを向上させるために毎年1回、アンケートを実施していました。しかし、従来のアンケートでは社員の本音が十分にわからないという課題が出てきました。

そこで、組織変革支援システムを導入し社内アンケートを一新、アンケート実施頻度も年1回から3か月に1回に変更し、社員の心理状態をリアルタイムで把握できる体制を構築しました。これにより、社員が気軽に相談できる環境へと変化し、モチベーション向上につながっています。

【詳細はこちら】

(事例紹介)面談で社員の本音が聞き出せる!?“意識調査”実施体験

ワークエンゲージメントを向上させる方法

ワークエンゲージメントを向上させるには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、ワークエンゲージメント向上のポイントについて解説します。

01研修を実施する

ワークエンゲージメント向上につながる社内研修を実施することも良い方法です。ワークエンゲージメントを高めるためには、企業理念や担当している業務の意義、職場内でのコミュニケーションなどが重要だとされています。

そのため、企業理念を学ぶための研修を実施したり、社内コミュニケーションが活性化するようなプログラムを実施することが大切です。社内だけでは難しい場合には、外部委託という方法もあります。

02業務量を見直す

業務量の見直しも欠かせません。社員それぞれの業務量が多すぎると、仕事に対してネガティブになりやすく、ワークエンゲージメントの低下につながります。そのため、業務量が個々の社員の能力に見合っているかを確認します。必要な人員を確保できるように採用活動を行ったり、業務フローを見直すなどの対策が必要です。

03適切な人材配置を行う

人材配置についても注意が必要です。社員それぞれの適正や希望などを見極めて、適切な人材配置を行います。適切な人材配置を行うことで、社員のモチベーションが向上しやすくなり、業務効率や生産性の向上なども見込めます。社員の能力や価値観を把握し、効果的な人材配置をすることでエンゲージメントが向上しやすくなります。

ワークエンゲージメントを向上させる際の注意点

ワークエンゲージメントを向上させる際には、注意したいポイントもあります。以下では、2つの注意点を紹介します。

ネガティブな意見もキャッチする

社員がポジティブにいきいきと働ける環境を整備するためには、ストレスの要因となっているネガティブな要素や不満な点を把握することが重要です。ワークエンゲージメント向上の取り組みを行う際、ポジティブな面にだけ注目してはいけません。社員のネガティブな意見を排除せずにヒアリングし、積極的に活用する意識を持つことが大切です。

社員に寄り添ったアプローチを行う

ワークエンゲージメントは社員のメンタル面に深く関係している概念です。そのため、社員それぞれの個性や特性についてしっかりと理解することが大切です。社員の個性を考慮せずに、全員に同じようなアプローチをしてしまうと、社員にストレスを与えかねません。そのため、個々の社員に寄り添ったアプローチを行うことが大切です。

まとめ

本記事ではワークエンゲージメントについてお伝えしました。ワークエンゲージメントとは、「仕事に対して充実した心理状態を保てていること」を指します。人手不足や人材の流動化などにより、人材確保は多くの企業で課題となっています。優秀な人材を確保して定着させるためには、ワークエンゲージメントの向上が重要です。

そして、ワークエンゲージメントを高めるポイントとして、「個人の資源」と「仕事の資源」の充実があげられます。業務量の見直しや適切な人材配置などを行い、「個人の資源」と「仕事の資源」を充実させる必要があります。また研修の実施もワークエンゲージメント向上のために良い方法です。アフターコロナを見据えて、貴社でもワークエンゲージメントの取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

JTBでは、企業の総務人事の担当者の方に向けて「EVP発想による企業支援」についての講演を行いました。ワークエンゲージメントの向上に向けた取り組みをお考えの担当者の方は、ぜひご覧ください。


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価値観が多様化し、市場が急激に変化しているため、企業はそれらに柔軟に対応する必要があります。その一例が人的資本の情報開示です。人的資本の情報開示を行えば、企業価値を向上できる可能性があります。この記事では、人的資本の情報開示の概要とともに、日本や世界の動向を解説します。国際ガイドラインのISO30414の内容や他企業の事例もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。(本記事は、2022年8月31日時点の情報をもとに記載しています。)

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